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女神の恋人  作者: おうどん(きしめん)
第9章【転移者】
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~アルケーの婚約大作戦!part57 ~

「もう、私の安眠を妨げるなんてメイジさん以外がやったら即死確定ですよー」


ベッドを消されて尻もちをつくニャルが吠える。


「ごめんごめん。ちょっとこれを見てもらいたくて」


ニャルがベッドですやすやお眠り遊ばせていた時にやっていたことがある。勿論ニャルがやらかした事の片づけ以外でだ。


「ん~?」


ニャルが辺りを見渡すと、空は雲一つなく一面オレンジ色に染まっていた。


「夕方ってどういう事ですか?時間止まってるはずですよね?」

「あぁちょっとやりたい事があってソウちゃんにお願いしたんだ」


『私は良い(おんな)なので何も言わず彼のいう事を遂行するのです』


とよくわからない事を言って時間を進めてくれた。でも感謝、ありがとう。


「なんですかここ、めっちゃ奇麗じゃないですか……」


ニャルは立ち上がり目をキラキラさせて辺りを見回している。


そして、場所も移動している。ここは二条城の『桜の園』という桜の木が沢山植えられている場所。しかし今は時期ではなく、桜の花は全て落ちている。


他の観光客は一時的に移動してもらった。このムードでは言っちゃあ悪いけど目障りだからね。


「なんですかこれ!?どういう状況なんですか?」

「いや、少しサプライズを……とね」


そして用意しておいた『とある粉』の入った器を懐から取り出す。


「これ、なんだと思う?」

「ん……?」


盃のような器に入っている粉。一見すると校庭とかで使う石灰とかにも見える。


「なんですかこれ?危ない奴ですかこれ?吸い込んだら脳がパァンとして気持ちよくなる奴ですか?」

「そ、そんな危ない奴ではないよ?」

「だって私の配下が常用してる粉に似てるんですもん」


やっぱりニャルの配下って皆キャラ濃そうでカオスな雰囲気がプンプンしそうだ。正直関わりたくない。


「じゃあ何ですかこれは?なんのためにこれを出したんですか?」

「一応聞くけど……『はなさかじいさん』って知ってる?」


日本で有名な昔話である『はなさかじいさん』。おじいさんとおばあさんが可愛がっていた犬が『ここほれわんわん』と言うので二人がそこを掘ると大判小判がザクザク。それを妬んだ隣のおじいさんが犬を連れ去り、無理やり犬に命令した。しかし犬が言った所を掘ってもゴミが出てくる。苛立った隣のおじいさんは犬を殺してしまう。


悲しんだ二人は犬のお墓を作る。死んだ次の日、お墓には大きな木が立っていた。おじいさんはその木で臼を作り、その臼でモチをつくとモチが大判小判に。


しかしまた隣のおじいさんが妬み臼を強奪。モチをつくがやはりゴミしかでない。苛立った隣のおじいさんはその臼に火をつけ燃やしてしまう。おじいさんたちはまたたいそう悲しみ、その『灰』を集めた……。


というそんな物語。


「日本については疎いのでわっかりませーん」

「ですよねー」


まぁ知ってるとは思ってなかったけど。


「じゃあニャルはそこで見てて。今からこの粉を使うから」

「はーい」


ホントならこの粉は枯れ木に使うものなのだろうけど。


粉を一握り掴み、桜の木に向かって放る。


「花を咲かせましょーう!」

「え?」


その粉が降りかかった桜の木は先端からみるみるうちにつぼみを作り、淡いピンク色の桜の花を咲かせた。


「ふわぁ……」

「どんどんいくよ」


周囲の桜の木にどんどん粉を振りかける。どんどん桜の木は花びらを咲かせ、気が付けば辺りは満開の桜並木になっていた。桜の木からの黄金色の木漏れ日が、風に揺られ落ちる花弁が、幻想的な雰囲気を出している。


「奇麗……」


それはニャルが思い描いていた物語の風景で……ニャルはしばらくその風景をじっと見ていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 花を咲かせましょう より 枯れ木に花を咲かせましょう の方が良くないですか?
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