~アルケーの婚約大作戦!part55 ~
……うぅん?うぅん。ねて……寝てた?ってなんで寝てるんだ?
「あ、メイジさん起きましたね?」
「うおう」
目の前にニャルの顔。はい、これ膝枕されてますね。
というかなんでこんな状況になったんだっけ……?
………
……
…
「う、うおおおおおおおおおおおおおおお!」
ニャルを追いかけてた鹿が全部こっちに来るーーー!?
「か、『回避』!」
膝を曲げ、両足に力を込め、ジャンプする。
「お、バク宙カッコイイですね!」
「そんな悠長にしてる場合じゃなぁあああああい!」
バク宙で突っ込んでくる鹿の上を翻し回避に成功する。けど着物だからか飛ぶの目茶苦茶難しい。これ大丈夫か!?
ってUターンしてまた向かってきてるし!
「なんだこれぇぇぇぇ!」
『回避』ィ!『回避』ィ!『回避』ィ!
「わははは!追いかけっこ楽しそうですねぇ!私も混ざります!」
な、なに言ってるんだニャル!?
「あはっは!いけー!」
なんかニャルがこっちに指をさしたかと思うと鹿の体が淡く光ったかと思うと鹿の走る速度がぐんと増加した気がする。
「ほら!そこだ!いけー!」
しかもなんか分隊を組んで周囲を包囲し始めたんですけど!なんでこんな地獄みたいな鬼ごっこが始まった!?
く、空中に逃げるしかない。
「『飛行』」
流石に空までは追ってはこないだろう。
「レッド◯ル!翼を授ける!です!」
ニャルがそう言った矢先、みるみるうちに白い翼が生えていく。
悪ふざけが過ぎるぞこらぁぁぁぁぁぁ!
鹿たちは生えたての翼を器用に操り、また鬼ごっこが再開する。
何だこれ!空戦じゃん!鹿とドックファイトするってどういう事だよ!しかも敵多すぎ!
「角ミサイル!」
生えていないはずの角が急激に伸びる。
「うっそだろ!」
「発射~!」
鹿の角がミサイルのように発射される!そして追尾もしてくるし!殺す気かぁ!俺はフレアなんて搭載してないぞ!
『回避』ィ!『回避』ィ!『回避』ィ!『回避』ィ!
ドカーン!
うげ!しかも爆発するのかよあれ!マジでただのミサイルじゃん!
うおおおおおおおおおおお!!!!
『数分後』
ま、まだ追ってくるよあいつら……。そろそろ疲れてきたんですけど……。
というかなんで追われてるんだっけ……?って鹿せんべいじゃん!ずっと右手に持ってたよ!
「ほら、全部上げるよ!こっちくんなよ!」
鹿せんべいを翼の生えたペガサス鹿たちに放り投げる。と鹿たちは鹿せんべいに群がっていき、俺への興味を失ったのか追ってくることは無くなった。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"……つっかれた……」
「メイジさーん!」
ニャルが後ろから近づいてくる。
「隙ありです!」
ニャルが抱き着いてくる。
「お、おう」
「ね、ほらメイジさんこれ見て下さい!」
ニャルが自分の頭を指差すと、先程までさんざん追い掛け回された鹿の角が生えていた。
「ちょ、おま」
「えっへへへ、可愛いですか?」
するとニャルの頭に生えている角が淡く光り……。
爆発した。