~アルケーの婚約大作戦!part48 ~
「~♪」
デートが始まった訳だが、歩きだしてからニャルがご機嫌で楽しそうだ、鼻歌まで歌っているし。
「メッイジさんと手を繋いでデート~♪」
二人きりで歩く京都の街並みはとても新鮮だった。高い塀に両側を挟まれた狭い小道、モノトーンで統一された家屋。そして着物姿の俺達。
「でもあれだな、今この世界に俺達だけってのが意外と欠点多いな」
街の店などが全て止まっているのだ。これじゃあ食べ歩きとかはできそうに無い。
「お店で買い物ができないので困ってるんですか?」
「うん、なんか京都で食べ歩きするってのがイメージにあって」
「そうですね……ほい」
ニャルは両手をパンと合わせた。
「ん~……ほい!」
合わせた両手を開くと、その手には二本のみたらし団子。
「いぇーいマジックです」
「おお、すごい」
ニャルはみたらし団子を一本渡してくれる。
「さっき通った店のみたらし団子を複製しました。というかメイジさんもこれくらいなら出来ると思うんですけど」
「でもお金払わずにただで食べるのはなぁ……」
それを言効くとニャルは何で?と首をかしげるのだった。
「まぁ材料費とかは複製したからかかってないかもしれないけど、このタレとかを作るのに経験とか知識とかが詰まってるんだと思うんだよね」
「……ふーん、そんなもんですか」
「これってさっき右側にあった店の団子だよね?お金二本分置いてくるわ」
「……はーい」
………
……
…
「……さっきより近づいてきてないか?」
「……え?そんな事ないですよ!」
「いや、さっきは手を繋ぐだけだったのに腕まで組みだしたじゃないか」
現に今俺の左腕はニャルに拘束されている。頭もこちらに預けており、だーいぶ密着している。
「だってぇ、この下駄とかいうもの歩きづらいんですもん!」
わざとらしくニャルが甘えてくる。その姿はオスに媚びるメス猫のようだ。
「まぁ良いけどさ……」
「やった!」
ニャルは更にこちらに体重を預け、すり寄ってくる。そして手を強く握り……。
「この時間が永遠に続けばいいのに……」
「……永遠ねぇ」
「はい、メイジさんと二人きり、なんてこの状況はそうそうありませんもの。それでこそ全能神様の力を借りないと」
「うーん、ソウちゃんに頼まなくても時間が合えばまたこうやってデートしてもいいけど?」
「ぶー、私は今みたいに世界に二人きり!の状況が良いんです!」
「なんてわがままな……」
「メイジさん、私が何歳乙女してるんだと思いますか?メイジさんの何億倍以上もこんな状況を夢見てきたんですよ」
うっげ、そうだった。これまで普通に会話してきたけど皆神様とかだった。そりゃあ年齢もバカみたいに高いに決まってる。
「ニャル、忘れてる?」
「何をですか?」
「俺も今神の位に居るって事」
「……えーっと確か『現人神』でしたっけ」
「そう、だから寿命が無いんだ。だから一緒にこれからも過ごせるよ?」
「……え?それってプロポーズですか?」
「……え?違う!違う!」
「……えー?私は今直ぐ結婚して幸せな家庭を築いて永遠にいちゃいちゃちゅっちゅしてもいいんですけどね?」
「……それはまた今度な?」
「……え?」
「ほら、行こうか。まだまだデートは始まったばっかりだよ」
メイジはニャルの腕を引いて駆け出す。
「ちょっと!メイジさーん!今度ってどういう意味ですか!」
ニャルも困惑していたが、その顔は満面の笑みであった。
あ、次もデートは続きますよ。因みにFGOの☆5交換は玉藻ちゃんにしました。