~アルケーの婚約大作戦!part41 ~
side アメリア
パタ…パタ…と近づいてくる足音が聞こえる。その足音は段々と大きくなっていき、そのたびに私の鼓動は大きく跳ね上がる。
メイジさんとするのは初めてじゃないのに、そしていつもは私から誘っているのに。
「皆さん、初夜ってこんな気持ちなのでしょうか?」
不安から出た無意識の一言。
ガララと扉が開いた音がする。
今アメリアは敷かれている布団の上に正座をしている。その顔は火照っており、なんとも艶っぽい。
「何時もの通り出来る気がしません……」
………
……
…
side メイジ
ガララと扉を引く。中に、アメリアがいる気配を感じ取れる。
やばい、目茶苦茶緊張してる。さっきまではまだまだ落ち着いてた気がするのに!
部屋まであとは襖一枚。
「アメリア、入るぞ」
「は、はい!」
声が上ずってしまったけどもう気にしない。襖を開ける。
「……あ」
そこにはこれまで一番美しいと断言できるアメリアの姿があった。アメリアが俺をじっと見つめてくる。
「え、えへへ」
え、えへへって……。その顔で言うのはやめて下さい。破壊力が高すぎます。
「アメリア」
「はい、メイジさん。私は幸せですよ?」
「う、うん、それはうれしい」
「えへへ、なんか照れちゃって普通の事が言えません」
やばい、入ってから立ち尽くしているだけだ。
「こっちに来ないんですか?隣が寂しいです」
「うん、行くよ」
メイジは恐る恐るアメリアの隣に座る。
「なんでそんなにびくびくしているんですか?」
「アメリアだって肩が震えてるぞ」
「えへへ、バレちゃいましたか?」
アメリアはそう言ってメイジの肩に頭を預ける。メイジの周りに温泉にあったシャンプーの香りが漂う。
「緊張してるんですよね?私も、メイジさんも」
「それは否定しない」
はい、目茶苦茶してます。声震えてないかな?
「ふふ、声震えてますよ」
「うっ……」
「可愛いですね、メイジさん」
「可愛いって、女が男に言われるのはな……」
「私は?可愛いですか?」
アメリアは首をかしげてこちらに目線を向けてくる。その姿を見て、メイジは顔を背ける。
「目、合わせないんですか?」
「恥ずかしくて無理」
「女性にばっかり話させないでください」
そりゃそうだ。というか今日のアメリアはいつもにもましてぐいぐい来る気がする。というか来ている。
「今日は可愛いというか綺麗だ、ドキドキする」
「……ありがとうございます」
笑顔でこちらを見られるとマジで今は心臓が困る。死にそう。
「アメリア」
「はい、メイジさん」
「す、好きだぞ?」
「なんで今更どもってるんですか……ふふ、私も愛してますよ」
手玉に、手玉に取られている!男として、男として!このままじゃいけない!
「きゃっ!?」
「……」
メイジはアメリアに抱き着き、精一杯の抵抗を見せる。
「あ、あわわわわわ!」
ギリギリで保っていたアメリアの理性が崩壊する。
「や、や、やっぱり緊張してどうしようもありません!しましょう!」
「えぇ!?ムードもなにもない!」
「もう辛抱たまらないんですよ!初夜!アメリア!行きまーす!」
「ひ、ひぇぇぇぇぇ!?」
クトゥルフ神話TRPGのシナリオを投稿しました。
『American Roleplaying TRPG』
と言います。良かったら見てって下さい。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12316858#1