閑話~学校パロディ20~
side 名人
「で、この『名前決まってない』部に名前を付けるわよ」
「え?名前を付けるんですか?」
「そもそも何をする部活なんだ?」
「あら、そんなの決めてないけれど?」
アマテラスは座布団の上で余裕綽々だ。
「まずそれを決めないと名前を決めるなんて無理だろ」
「じゃあまぁ、そうね……毎日テキトーに集まってテキトーにわちゃわちゃして帰る。それでいいじゃない?」
「それ、部活でいいのか?」
それ、帰宅部とやってること変わらない気がするぞ。しかし、アマテラスは不満そう。
「ならあなたは何がしたいの?言っておくけれど他の男子と関わるような部活はごめんだからね」
「それならこの部室だけで出来ることか?」
「あ、私!見たことあります!小説とかでこういう時は『お悩み相談』とか『何でも屋』みたいな部活が良いって!」
「えぇ!?いやよそんなの!私、誰かもしれない人達に奉仕するなんてありえないわ!」
「でも最低限部活と呼べる事をしないといけないんじゃないのか?」
「……むぅ、ならさっきアメリアさんが言ったやつ」
アマテラスは渋々と言った苦い表情でそう呟いた。
「それってお悩み相談とかってことですか?」
「そうよ、そうだけれど!但し、女性限定でね!ここだけは譲れないわ」
「女性限定って、俺が女性の悩みを叶えられる気がしないんだけど」
性別を女性に固定してしまうと、俺が協力できる悩みは少ない気がする。女性特有の悩みが多いと思うし、そういう悩みは男の俺がいると話しずらいかもしれない。
「まぁ、大丈夫よ。あなた、有村名人ならね」
「はい、私も大丈夫だと思いますよ!名人さんなら!」
「その根拠は何処からくるんだ?」
名人がそういうとアマテラスはニマニマと、アメリアは頬を赤らめてこちらを見つめている。
「……言葉で伝えてくれないか?」
「安心しなさい、一回相談を受けてみたらわかるわよ」
「はい、それに名人さんだけじゃありません。私も協力します!」
「……分かったよ」
結局その日は役割は決まったのだが、名前が決まることは無かった。




