表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の恋人  作者: おうどん(きしめん)
第9章【転移者】
223/368

閑話~学校パロディ13~

「……?」

「ちょっと、聞いてるの?」

「い、いえ。えっとはい。有村名人ですけど」


正座をしている金髪の女子生徒。その眼はしっかりと名人を睨みつけており、思わず名人の背筋が伸びる。


「ふぅん、こんな不法侵入するあんたが?」

「い、いやこれは不可抗力で!今すぐ出るから!」


と、名人はドアノブに手をかけたが。


『名人様はどこにいらっしゃるのかしら!』

『どこかの教室にかしら!?』


外には明らかに名人を追っている生徒達の声が。


これは今出たら確実に掴まるやつ。


名人のドアノブを回す手が止まる。


「仕方がないわね」


そう言って金髪の女子生徒は何かをこちらに投げ渡してくる。名人がそれを受け取ると、それは和室と書かれたタグのついたカギだった。


「彼女達をここに入れるわけにはいかないわ。鍵を閉めなさい」

「すみません」


メイジは鍵を使いドアにカギを掛けた。


「ありがとうございます」

「いいわ、少しアンタとも話してみたかったし、こっちに来なさい。勿論靴は脱ぎなさいよ」


名人は招かれるがままに靴を脱いで畳に上がる。


(ふぅん、とりあえず顔はすんごいのね)


金髪の女子学生はジロジロと名人の顔を見ている。


「あの……なにか?」

「あぁ、そのね?あんた顔は良いのに中身は残念そうだなって」

「中身……って、顔もそんなにいい方じゃない筈だと思うけど」

「……?あんた何言ってるの?」


女子生徒は心底訳が分からないといった表情でこちらを見ている。


「あなた、超イケメンよ?少なくとも私がこれまで見たことある全ての男でね?」

「……冗談でしょ?」

「なんで初対面の私があなたにそんな冗談かますのよ」

「えぇ?」

「あなた、鏡を見た事があるの?」

「鏡?」

「えぇ!かがみよ、かがみ!普段の生活で貴方も見るでしょ?」


この有村名人。高校二年生になるが『これまで鏡を見たことがない』いや、正しくは『見ようとしてこなかった』が正しい。記憶はないが子供の頃は普通にしていたらしいが、幼稚園の頃の同級生にいきなり避け始められたらしい。それを名人は自分の顔だと断定。そこから名人は自分の顔を見なくなったらしい。


これを女子生徒に話したところ。


「あなた、馬鹿ね」

「いや、自分でもそう思うけどもう習慣づいちゃって。やめられないんだ」

「そんな話をなんで私にしたのよ」

「いや、聞いてきたから」

「そんな踏み入った話をしろとは言ったつもりはないのだけれど。ごめんなさい」

「俺が良いと思っただけだから」


そういうと女子生徒はため息を付く。


「やっぱり貴方、中身は残念ね」

「そ、そうですか」

「まぁ、自分の容姿を鼻にかけて調子に乗ってる奴よりはマシだから安心してちょうだい」

「うれしくないなぁ」

「あら?褒めてるつもりよ?」


そうして女子生徒と話していると、始業五分前を告げるチャイムが鳴る。


「あら、此処に用はなくなったでしょ?あなた見た目だけは良いからまたここにきてもいいわよ?隠れ場所としてね」

「……いや、ありがたいんだけど。どうして?」

「あんたって噂になってるし、助けておけば得かなって思っただけよ」


その女子生徒は靴を履き、ドアを開ける。


「天照大御神って知ってる?」

「え?えっと日本の神様の……」

「そう、そして私の名前でもあるわ。アマテラスでいいわよ?」


女子生徒……もといアマテラスはそのまま教室に向かって行った。


「鍵……返し忘れた」



アマテラス(本来の世界線バージョン)「何が『顔だけは良い』よ。早くメイジをオトして正妻の座を勝ち取りなさいよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ