~アルケーの婚約大作戦!part6~
メイジがギールに帰ってきた翌日。ロゼは慌ただしく働いている……訳でもなく。
「ご主人様、パーティの準備が終わりました」
何と、ものの数分でパーティの準備を終わらせてしまったのである。
「……早いな」
「はい、アイリス様以外の皆様は到着しております」
「じゃあアイリスを迎えに行ってくるな」
「はい、行ってらっしゃいませ」
アイリスを迎えにギールへ飛んだ。今回は直接城へ転移する事の許可を貰っていたので、城門へと転移した。転移した後の光景は、華やかなドレスを纏ったアイリスの姿だった。
「メイジ様!」
「……おぉ」
何時もドレスを来ているアイリスは、今日は一層綺麗で華やかなドレスを着ている。
「えへへ、どうですか。これ、私の勝負服なんです」
「……綺麗だよ」
その言葉を聞いたアイリスの頬は真っ赤に上気し、耳まで赤くなっている。手を前で組みもぞもぞと動かしている。
「は、はい!ありがとうございます!」
「……じゃあいくぞ。アイリスを連れて行くとうるさそうな騎士がいるし、早く行こう」
「はい、色々と今日は戦う事になりそうですし」
「戦う?」
「はい、女の戦いです」
「……そうか」
メイジは苦笑し、二人はギールへ転移した。
………
……
…
アイリスを連れ、屋敷の大広間に行くと小さいながらもパーティ会場が出来ていた。
「おぉ、皆来てたのか」
「あ、メイジさん!」
ハスタが出迎えてくれる。
「あれ?なんだか可愛い子が居ますね」
「ひ、姫様!!?」
ローズはアイリスに向かって跪く。
「はえー、姫様なんですかこの娘。可愛いですね!」
ハスタはアイリスの周りをうろちょろし、アイリスを観察している。頬を引っ張ったり、顔をじっくり眺めたりしている。
「あ、あの?何か?」
「ハスタ、何してんだ?アイリスが困ってるだろ?」
「でもメイジさん。新たな恋敵かもしれない相手ですよ?メイジさんモテるんですから」
ハスタのうさ耳がピコピコとメイジに突き刺さる。
「……恋敵?」
先程のハスタの言葉にアイリスが反応する。
「メイジ様、それはどういう?」
「あ、あぁそ「私、メイジの恋人です!」」
どこかでゴングが鳴った気がした。
「む、なんですか。メイジさんの恋人ですって?」
「ええそうよ。貴方はメイジのなんなの?」
「む、こ、婚約者ですけど!!?」
「…………え?」
最後の声の主はメイジ。険悪なムードになりそうでおろおろしている。
「あら、それなら貴方に耳寄りな情報がありましてね」
「……なんですかそれ」
二人はメイジから離れ、何かを話しているようだ。
「…………なら…………よ」
「……ですか!?」
「……ら……た?」
「……い…………でも……えへへ」
二人はメイジの方向を見て、コソコソ話している。
「……こわい」
「ご主人様、ファイトです」
「……おう」
「強い意思が必要ですよ」
「……そうだな」