~アルケーの婚約大作戦!part1~
というわけで、ギールに帰って来ました。しばらく留守にしていた屋敷へ帰るなるとちょっと緊張する。アステラの様子もあまり変わってなさそうだし。…そうだな、ローズとハスタに会っておくかな。しばらく会えてなくて寂しがってるだろうし。
メイジは大通りを進む。アステラは人の行き交いが激しく、進むのにも一苦労である。ここアステラではメイジの顔は広く周知されている。メイジは容姿は抜群であることから、女性からの人気も高い。しかし、男性からは一部を除き、嫉妬の対象となっている。このアステラの美女、美少女達を片っ端からモノにし、ハーレムを形成している事から、メイジがアステラから消えた時から、メイジは異名の『万能』ではなく『ハーレム野郎』と男の中では呼ばれている。
そんな事から、しばらくメイジがアステラから去り、男たちはここぞとばかりに女性を口説いていた。しかし、今日この日にメイジが帰還した。冒険者の人気投票で屈指の人気を誇ったメイジが帰って来た。メイジの近くを通りがかった女性達はメイジに見惚れ、目線を外せなくなる。男達は憎らしい視線をメイジに送っていたが、メイジはただそれをスルーするだけ(男目線)。
そんなこんなでメイジ帰還の噂は瞬く間にアステラ中に広がっていったのだった。
(なんか何時もより騒がしいし、視線も多いな)
当の本人は訳が分からないと、頭にクエスチョンマークを浮かべるだけだった。
………
……
…
ここは冒険者ギルド。いつも冒険者達で騒がしいその場だが、今日は様子が違っていた。皆、目の前の光景に目を背けたい、という事だ。
「メイジさ~ん!」
「め、メイジ…」
冒険者人気投票で、一位と二位の人気を誇った二人がメイジにピッタリとくっついている。メイジがアステラから居なくなった時間、ハスタの元には多くの男が集まった。
『あんな浮気者なんか捨てて私の元に来ませんか?私なら貴方を幸せに出来ると誓いましょう』
『な、なんでぇあんな奴の元にぃ!俺の方がお前を大切にしてやれる!』
などなど。ハスタは笑顔で断ったが、メイジの事を『浮気者』などで馬鹿にした者達に対しては、容赦が無かった。上記の二人は、男の象徴が使用不可能になり、その反動なのか、オネェになってしまった。
ハスタに言い寄り断られた冒険者は目の前で見せつけられ、ワナワナと震えるだけだった。
「このままメイジさんとランデブーと行きたいところなんですけど、生憎まだ仕事中なもので」
「うぅ…、ワシも仕事が無ければ…」
「…まぁ、仕事はしょうがないさ。…仕事してない俺が言うのもなんだけど」
ローズとハスタはギルド中からの視線を受けている事にも構わず、メイジに抱き着いている。
「…明日、ウチの屋敷でパーティでも開こうと思うんだけど、二人は来るか?」
「「行きます!(のじゃ!)」」
「お、おう。そうか」
メイジは二人の頭を撫でる。
「…むぅ」
「ちょ、ちょっと。ギルドマスターは分かりますけどなんで私まで撫でるのですか!」
「な、なんでワシは分かるんじゃ!」
それでも、二人はメイジの撫でる手を止めたりせず、ただ気持ちよさそうに頬を緩めるだけだった。
………
……
…
ローズとハスタに見送られ、メイジは自分の屋敷の目の前にいた。その姿は変わっておらず、屋敷は綺麗に整備されているようだ。
メイジが屋敷の扉を開くと、目の前には小柄な二人のメイドの姿が。言わずもがなグリモとエクスである。
「お帰りなさいなのです!」
「お、遅いじゃない!」
その二人のメイドのその奥にはメイドが一人と狐耳の女性が一人。
「お帰りなさいませ。ご主人様」
「帰ってくるのにえらいかかったなぁ」
この四人に会えたことにより、ようやく此方の世界に帰ってきたことを実感した。




