~面接2~
しばらくして、アメリアが家の奥から戻ってきた。アメリアはそのままイスに座った。
「はふぅ。疲れました」
「大丈夫か?母さんたちに変なことをされてないか?」
「大丈夫ですよ。ちょっとした面接のようなものだったので」
面接か···。どんな事を聞かれているのか。
「次は全能神様の番です。このまま奥に向かってとの事です」
「う、が、頑張ります。マスター行ってきます」
「あ、ああ頑張って」
ソウちゃんはそのまま家の奥へと向かって行った。
「なぁ、アメリアはどんな事を聞かれたんだ?」
「えへへ。それはですね···」
·········
······
···
ソウちゃんは家の奥にある来客室へ向かっていた。全能神であるソウちゃんは勿論こんなシチュエーションに出会う事は無く、経験もない。しかしソウちゃんは全能神の名の通り全能である。失礼だが、下界の者との面接なんて余裕のよっちゃんである。しかしこの時のソウちゃんはその名の"全能"の面影は無かった。
初めて感じた愛しいという感情。最初はこの感情を理解することが出来なかった。全てを統べる者として一人の人を愛する事は許されるのだろうか。私はこの悩みを解決させるのに時間は掛からなかった。
『愛しい人のためなら』
危ない思考だが、そんなのを吹き飛ばすほど彼に夢中になった。そうして努力の甲斐あって、彼と恋人として結ばれることが出来た。もうその日の晩は顔は真っ赤、人間の体に似せて作った心臓は鳴りやまなかった。
そうしてこれから会うのはその愛しい人のご両親。マスターと結ばれた夜より、心臓は早く強く鳴り響いていた。そしてその心臓は部屋のドアに近づくほど高鳴る。そして、遂にドアの前までたどり着く。そしてドアをノックする。
『入りなさい』
「し、失礼します」
緊張しながらも部屋の中に入る。中に入ると一般的な来客室に、ご両親はいた。
「どうぞ」
「失礼します」
着席を促され席に着く。うう、緊張してきました。
·········
「まず名前ですね」
·········
「とりあえず名前を聞きましょうか」
「えっと私には名前は無いんです」
「えっと、じゃあじゃあさっき名人が"ソウちゃん"って呼んでたのは?」
「もともと私には名前は無かったんです。しかしマス···名人さんが名前···というよりはあだ名のようなものをくれたんです」
「···分かったわ(何よあの子、カッコいいことしてるじゃない)」