~魔剣グリモカリバー~
この章は激甘です。
砂糖です。
「では本題だが···メイジ=アリムラ!アステラの町を救った英雄よ、褒美として勲章を与える。また、その際討伐した魔物を8億アルで買い取るものとする。して、その魔物をここに運んできて貰えんか?一目みておきたいのだ。」
その言葉のあと、騎士たちが広い謁見の場に大きな木の板を運んできて玉座から少し離れた場所に設置した。
「分かった。ここに出すわ。」
アイテムボックスから巨大蜘蛛の死体を出す。
────オオッ────
人の何倍もある巨大な体がその姿を表した。
しかしその体は1点を起点にヒビが入っており、想像を絶する力で殴打されたと考えられる。
「キミ、もしかして一撃で倒したの···?」
「あぁ、頭にドコーンってやりました。殴ると変な粘液出てくるから蹴りましたけどね。」
「身体強化魔法を使ったのか?」
「身体強化魔法は使えますけど、そんなの使う必要無かったですね。」
「バケモノか···君、王宮に使えないか?」
「めんどくさいのでいいです。」
「残念なのだよ···まぁ、いい。ところで君は女神祭にも、出るんだったよね?女神様を見るのは初めてだよね女神様って凄い美人だからね、優しいけど惚れちゃダメだよ~。天使達が怒るからね~。」
もう惚れてます、恋人です。すいません。
可愛いです。
────俺、惚気すぎじゃね?
「それと、今回の女神祭には創造神様も来られるみたいですからね。創造神様には粗相はしないでね?国が滅ぶから。」
アルケー?そんなことしたら膝枕10分減らすからね?
その代わりに他の女神様にジャンケンで10分争奪戦開始するよ?
『ヒエッ!?し、しないのじゃっ!それだけは勘弁するのじゃっ!』
これでひとまず大丈夫なはずだ。
俺の膝枕10分で守られたこの国の未来。
安すぎる···
「大丈夫です、何とかしました。」
「うん?何とかした?」
「陛下、このメイジはですな、女神様と話が出来るのですよ。それも神託では無いようです。」
はいはい、俺は神の使徒じゃ無いですよ?
「なんだって?それはまるで『神の使徒』ではないか、【パーフェクトヒール】といい巨大蜘蛛といいキミには驚かせられるね。」
その後少し雑談をした。
「────さて、そろそろ仕事があるのでな、そろそろ。」
「分かりました、では失礼します。」
俺達はさっきの騎士に連れられる。
その途中。
「先程は本当にありがとう、陛下の腰を直してくれて、感謝する。」
それを機に他の騎士やメイドも次々にお礼を言ってくる。
「陛下はこれまでずっと走ることが出来なかったのだ、それが今日貴殿に治してもらったお陰で初めて走ることが出来た。ありがとう。」
「いえ、あれは私が信用を得るためにした事でして、そんなに大層なものではありませんよ。」
「···それでもだ、ありがとう。私はこの国の騎士団長をしている『アゼル=アルメリア』だ、よろしく頼む。」
「よろしくお願いします、メイジ=アリムラです。」
ガッチリと握手をする。
やっぱり強そうな人だな。
その後、俺達は王城を後にした。
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sideアゼル=アルメリア(騎士団長)
ふむ、あの者なかなかいい男だな。
最初は只の少年で町を救った『英雄』に見えなかったが···
あれは強い、私よりもな。
ふふふ···あの者ならセシリーに紹介しても良いかもな、性格も悪くなさそうだしな。
嫁に出すのは私より強いものにしようと思っていたが···女神祭の時にでも紹介するか···。
騎士団長は知らない···女神祭で娘を紹介する隙など無いということを────
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sideメイジ
王城から出た俺は王宮に用意された宿舎に移動する。
宿舎は貴族街にあり、町の宿とは違い敷地が大きく、内装も凝っていた。
その中でした食事もコース料理であり、1品1品が少なかったが、とても美味しく、特に主菜の『ステミック・バードのローストチキン』は絶品だった。
話を聞くと、稀に王都の近くの森に出現するらしい『ステミック・バード』はCランクの魔物で、敵対した時に嘴をこちらに向け、突っ込んで来るらしい、攻撃を避けると嘴が土に刺さるため1度避けると討伐は楽なのだそう。
しかし、その攻撃はとても早く、避けるのは困難であり下手な盾だと貫いて来るらしい。
話しているうちに俺は料理長と意気投合しており、料理について話した。
この世界に存在しない料理を教える事にし、今回は簡単に出来る『フレンチトースト』にした。
早速今夜試作して明日の朝試食させてくれるらしい。
その際、王都のオススメの食事処や店を教えてもらった。
夜、自分の部屋で自分のスキルについて確認した。
【武器】
武器?ただの武器だけなのか?その後に『作成』とか無いのだろうか。
早速詳細を見てみる。
【武器】
自分に合った武器を取り寄せ、又は作成できる。
作成の場合必要な材料が消費される。
取り寄せの場合、使用者が決まっていない武器を魔力を消費し、取り寄せる。
武器の質が高いほど使用魔力は増大する。
ほう、武器か、そろそろ自分専用の武器が欲しかったんだよな。
「【武器】取り寄せ」
魔力が消費される、これまでで一番の消費量である。
しかし、メイジの魔力は無尽蔵なので全く問題は無かった。
部屋の床に紫色の魔法陣が現れ、そこから紫色の光と共に、黒い鞘に入った剣が現れた。
「おおっ?なんかヤバそうな剣だな。」
【神眼】で見る。
魔剣グリモカリバー
世界的に有名な魔剣、1000年程前に空から突如降ってきたとされる魔剣。
『世界最強』の力を持っているとされる。
この魔剣が刺さった場所は呪われ、500年程生命が立ち入ることが出来なくなったとされている。
この魔剣には意思があり、使用者を呪い、精神を崩壊させる。
その際ある程度、体が強いものは肉体を乗っ取られる。
この魔剣を本当に使用できたものはいない。
魔族の王宮の地下で封印されていた。
レアリティ 神級
やばかった。
掴んだら精神崩壊とかやばそう。
けど【武器】がこの魔剣を選んだんだから、俺には操れるはずだ。
俺はその剣の柄を掴んだ。
声が響いた。声は中性的だかどっちかっていうと女性っぽいかな?
『やったのですよ!久しぶりの肉体なのですよ!』
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
『ふえぇっ!?何なのですよ!私の呪いが無効化されたのですよ!ありえないのですよ!』
「えっと?キミは魔剣グリモカリバーなのか?」
『そうなのですよ!キミは何なのですよ!これまで私の呪いが無効化されるなんてありえないのですよ!魔王だって私が支配したこともあるのですよ!』
魔王か···あの蜘蛛が魔王とか言ってたしそこまで強くないからな。
「まぁ、そんなことはどうでもいい。俺はメイジ、これからキミの使用者だ、よろしく。」
『認めないのですよ!私が使われるなんて嫌なのですよ!』
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
【魔力抵抗により呪いを無効化しました】
·········
······
···
そんな事が1時間ほど続いた時、ようやく呪いが止まった。
「終わった?」
『もう···ダメなのですよ···堪忍なのですよ···あの魔力···ふえええぇ···』
うーん、声だけ聞くと可愛いな。
「それで?俺はキミのことを使っていいのか?」
『はいぃ!思う存分使ってくださいなのです!貴方は私のご主人様です!』
良かった、魔剣とかロマンがあるよな。
『メイジさん!その剣は神界から落ちてきた剣ですね!アフラクが寝ている時うっかり落としちゃったのを忘れてました。メイジさんが使うのなら問題はありませんね!』
神界から落ちてきた剣か···
アフラクさん、寝てないでちゃんと仕事くらいしてよ···。
『·········zZZ(照)』
この女神様は···
こうして俺は世界最強の魔剣を手に入れた。
ここは夢の中
いつも地獄の6時間を送っている場所である。
────が今回はアメリアとアルケーしかいなかった。
「今日は女神祭の準備で忙しいので···ほんっっっっっっっとうに悲しいんですけど膝枕をする時間がありません。」
「悲しいのぅ、女神祭に行くのをやめるかのぅ、でも、メイジとのデートもあるしのぅ···」
マジか!
俺はこれまで何回も死地を乗り越えてきたが今になってもまるで余裕はない。
今日は休養出来るな···
「私達も忙しいのですが···どうしてもしたいことがあったので仕事の合間を縫って来ました。」
アメリアさんとアルケーは座っている俺の左右に座ってきた。
···?何をするんだ?
「ちょっと緊張しますけど···いきます!」
「ふふ~!やるのじゃ!」
その瞬間、頬に柔らかいモノが同時に触れた。
そこには2人の顔、キスをされたのだ。
「ちょっ!」
「ふふっ、じゃあメイジさん!女神祭で会いましょう!」
「妾達とのデートも忘れるで無いぞ!」
「······ありがとう。」
重くなる瞼に身を任せながら意識が遠のいた。