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女神の恋人  作者: おうどん(きしめん)
第9章【転移者】
141/368

~冒険者内人気投票~

免許取れました。ぬわあああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおおおおおおん。

一年に一回行われる、冒険者ギルド人気投票。男性部門と女性部門があり、一人一票それぞれの部門に投票できる。今年の男性部門の優勝候補はイケテル=ヤツという男性冒険者。女性部門はハスタさんらしい。


「なんでメイジさんが優勝候補じゃないんですか?」


とハスタさん。噂によると俺は男性冒険者からの人気がワースト一位らしい。そのため、人気投票一位にしないために癪だが次に女性人気を集めやすい奴に男性冒険者一同で票を集める予定だそうだ。


「そんな故意に票を集めるなんて許せませんね」


ハスタさんはギルドの奥に入っていった。何をしようとしているんだ?


『『『『『おー!』』』』』


中から女性たちの声がしたかと思えば、奥からギルドの受付嬢達が一斉にギルドの外へと飛び出してきた。ちょ、ちょちょっと!?どういう事?そうすると、奥からハスタさんがスッキリした顔で出てきた。


「任せてくださいメイジさん!」

「···何を?」


これは嫌な予感しかしない。



·········

······

···



数日後、投票日がやってきた。冒険者ギルドの前には早朝から物凄い数の人が並んでいた。それもほとんどが女性(・・)だ。男性は殆どいない。


「ど、どういう事なんだ?」


ギルドの通りが騒がしいので起きて来たらこれだ。その女性達が俺の姿を捉えた。


「め、メイジ様よ!」

「キャァァァァ!!本物!」

「夢みたい···」


しかし囲まれることは無く、皆列からはみ出さない。というかこの街なら俺に会うことなんて特別な事ではない筈なのに。


「動物園のパンダってこんな感じなのかな」


女性達の視線を受けながら、俺はもうひと眠りしようと屋敷に戻った。






だがしかし、屋敷はもぬけの殻。ロゼやグリモ、エクス、キョウの姿は見えない。


「まさかあの行列の中に?」


この日、アステラの町の女性の九割以上が早朝に家から居なくなるという事件が発生し、残された男性はただただ困惑するのみだった。



·········

······

···



「ねぇねぇハスタさん?」

「はい♪何でしょう♪」

「どうしてこんなことを?」


ハスタさんはこの数日間ずっと忙しそうにしていた。居なくなった受付嬢の分の仕事を一手に引き受けているのか、邪神としての力を活用し、超スピードで処理していたが。ハスタさんがここまで必死に何かに取り組む姿は初めて見た。


「そろそろ下界の世界にもメイジさんの力を見せつけようかと!」

「え?」


ハスタさんってそんなキャラだったっけ?あの狂信者たちじゃあるまいし。


「まぁ結果的にすることと言えばメイジさんが神と関係を持っている事を公表するという事ですね♪」

「ん?なんで今そんなことを?」

「いいですか?メイジさんの周りには美しい女性が多すぎるんです。それこそ下界の男性がイチコロのような。前までは皆加護が強い人以外に顔がぼやけて見えるようになってたんです。しかし皆自分たちの顔がメイジさんの一種のステータスの様になると知ると皆解除しました」


アメリアをはじめ俺の彼女達はとてつもなく可愛い。それこそ二次元の世界から飛び出してきたかのように。


「メイジさんの周りの美少女の情報が知りたいっていう依頼が貴族から来たことがあるんですよ?」

「え?まさかギルド側が承認したわけじゃないよね?」

「そりゃあそんな内容却下しましたけど。結局ギルドを介さないで調査しているみたいですけどね」

「だから俺とアメリア達の関係を公表するって事か」

「そういう事です~♪」


流石にアメリア達が神だってことがわかったら手は出せないだろう。というか出す前に始末されそう。


「ありがとう、こんど何か礼をするよ」


方法はアレだけど俺達のために行動してくれたハスタさんには何かお礼をしなければいけないだろう。


「じゃあ貴方たちの夢に介入させて下さい♪」

「夢?」


夢···アメリア達との営みの場所である。


「へ!!?夢!!?それって分かってるのか!!?」

「えへへ♪楽しみにしてますね」


ハスタさんはうさ耳をぴょこぴょこさせながらギルドの中に入って行った。

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