~変わる日常~
最近アステラで日本人らしき姿が見られるようになった。俺の姿を見て射殺すような目で見てくるような者(男)もいるし、憧れの目を向けてくる者もいる(女)。
「二人きりのデートなのです!」
今日は指名依頼があるそうなのでグリモを肩車しながら、久し振りにギルドに向かっている。グリモかエクスと二人きりの場合はいつもこうやって肩車している。因みにエクスは恥ずかしそうにするが最終的におとなしく肩車される。
────ほら、あいつだよ。男の敵
────ッチ、あいつがSランクじゃなかったら
冒険者ギルドに入ってからも男からは針の筵である。こればっかりはしょうがない。人は順応する生き物、慣れればどうってことは無い。
「あ、メイジさん!こっちです!」
ハスタさんのカウンターは混んでいたが、俺が来たのを見たのか、並ぶように促される。
···長い。
俺の番が来るまで15分は掛かった。というか前に並んでいた冒険者達が意図的に長引かせていた気がする。
「ふぅ、やっとメイジさんの番ですね♪」
ハスタさんは疲れているように見えた。それもその筈、ハスタさんのカウンターに異様に冒険者が並んでいるのだ。これまではそんなことは無かった筈なのに。
「申し訳ありません♪これより後ろの方々は他の受付カウンターにお願いします♪」
後ろの冒険者達からブーイングが出る。
「すみません♪メイジさんの依頼が大きいものなので、私と二人きりで奥で話をしなければいけないんです!」
「「「「「は?」」」」」
大多数の怒りの声を受けながら、ハスタさんは俺の手を引き、ギルドの奥へ連れていく。
「むっーー!私もいるですよ!」
剣の姿に変わってもらっていたグリモが人型になる。
「分かってますよ♪では三人でお茶しましょうか」
お茶についてくるであろうお菓子に釣られたグリモはご機嫌でスキップしながら歩いている。
程なくして部屋に付いた俺達三人、部屋のイスに座り、グリモが俺の膝に乗るとハスタさんがお茶二つとジュース、ケーキを持ってきた。
「さて、早速依頼内容ですが、依頼者は私です♪」
「···?ハスタさんからの依頼?」
「はい!最近転移者がこの街に多く来ていることが確認されています。依頼の主な内容は転移者の監視です!」
「だから俺に指名依頼か、納得だ」
異世界から転移してきた奴がいるなんて混乱を招くだけだろう。
「という事でこれから数日間私とデートです♪」
「へ?」