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女神の恋人  作者: おうどん(きしめん)
第9章【転移者】
135/368

~転移者達~

side 柊木正義(ひいらぎしょうぎ)


俺達が転移してから結構経った。皆各々地球の知識を利用し、日々自立して生活しているだろう。俺だってそうだ。まぁ俺の場合は特殊だが。


俺の場合は『勇者』として召喚されたわけだから他のみんなより基本ステータスも上だし強いはずだ。自惚れる訳ではないが他の転移者より一歩リードしているはずだ。俺は少なくともこの人族の王都周辺にいる転移者達とはコンタクトは取っている。


俺の他にはクラスメイトの橘香織(たちばなかおり)が『魔女』としてこの世界に転移してきたからだ。クラスで同じ委員長をしていたこともあって勇者としての戦いの時も連携は取れている筈だ。


だがしかし最近橘の様子がおかしい。どうも四種族祭があってから何かを思案しているようだ。


「···」

「橘」

「ん?何?」


ふとした時に何もない方向を一心に見つめている。


「最近気の抜けている時があるけど大丈夫か?」

「ん?大丈夫だよ?」

「そうか···何か悩みがあるんだったら相談してくれよ?」

「うん、分かった」


橘はこう言っているがやはり心配だ。そして···片思いしている相手としてもだ。


柊は地球で一目惚れした。本人としては初めての恋で漫画のように『胸 ドキドキ』などで検索してみたりもしてみたが心臓の病気のページしか出てこなかった。


異世界に来てからは橘と二人でいることが多くなった。そうして生活してからようやく俺はこれが恋だと自覚した。


(はぁ···橘さんは俺の事をどう思っているのだろうか···)



───────────────────────────────────────────────

side 橘香織(たちばなかおり)



こんなことをしている時間はない筈なのに!私は早く教会に顔を出して聖女様と────!あぁ!偉大なるメイジ様!早くお祈りしたい!


メイジ様はこんな私の事も認知しておられる!はぁ!あの時の事を思い出すと!


「ではここで!」

「あぁ」


私は一目散に自室のお風呂に入る。流石に教会に行く前に汚れている体で行くわけにはいかない。小一時間かけて汚れを入念に落とした。


そうして私は『女神愛好会』の制服を身に着け、教会に向かった。



·········

······

···



ここは女神愛好会の集合場所。多くの同志たちがこの場所に集まっていた。今日はこれまでで一番重要な日となるでしょう···。なにせ···あの崇め称えるべき至高のお方メイジ様がここに現れるというとても素晴らしい日なのだから!


今日の同志の集合率は100%。何時もは外せない仕事などで90%ほどだが、流石に今日は皆仕事はキャンセルしてきたようで会場は不思議と緊迫していた。


「お待たせしました!我が同志達!メイジ様です!」

「「「「「「「「「「「「「キャァァァァァァァァァ!!!」」」」」」」」」」」」」


た、耐えましたよ···!み、魅了耐性をこの時のために身に着けておいて正解でした!御身を少しでも脳に焼き付けておかなければ!


「アメリアに懇願されてきてみればここは相変わらずだなぁ」

「さぁ!メイジ様!私と同志たちにハジメテの痛みを教えて下さい!」


ゴクリ。私が処女を上納するべき相手はメイジ様ただ一人。同志達は皆同じように思っているようだ。女神同好会では処女はメイジ様に捧げる以外は認められていない。というかそれ以外は考えられない。


「嫌です」

「はうっ!ハァハァ!それもご褒美です!」

「駄目だこりゃ」


今ので力の弱い同志達はほとんど倒れてしまった。今ならメイジ様にアプローチできるチャンスなのでは!?今目立てば私だって認知してくれる可能性がっ!


「有村名人様!」

「···ん?俺の本名?」


作戦勝ちです!これは同じ同志の中ではクラスメイトである私しか知らない!


「···へ?た、橘?」

「お、覚えててくれたの?」


ずっと妄想上の存在だったメイジ様が此方を向いて私と会話してくださっている!


「···もう···らめぇ···」


そこで私は決壊した。

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