~んん?~
ニャルラトホテプの体が変化していく。肉が引きちぎられる音、血が滴る音。なにものにも例えられない肉の塊が出来上がる。
「これが?」
『まだ変身途中だからしばらくまってくださいね!』
お、おう。これでも目茶苦茶グロいんだけど···。
クチャリ···グチュグチュ···
肉塊が更に変貌を遂げる。肉が蠢き変貌する。移動し収束する。
「アニメでも見てるみたいだ。敵の覚醒シーンみたいな」
そうして次第にその姿は巨大なモノへと変貌していく。
「巨人?」
シルエットだけなら人に見えるだろう。しかしその体にはおぞましい数の触手が蠢いていた。触手一本一本が意思を持っているかのように蠢いている。
『ここまではまだ序の口です!』
·········
······
···
その後も、『グロいモンスター』や『一つ目の翼の生えた人』などの色々の姿を鑑賞させられた。
「どうですか!?」
元の姿に戻って目の前で目をキラキラさせる。
「あぁグロかったな」
「···え···それだけですか?」
メイジは『特異点』である。全てを受け入れられる者とされる。つまり寛容なのである。簡単に言うとSAN値(精神力)がものすごく高い。そのお陰でメイジには『グロっ』ぐらいにしか感じられなかった。
「さ、流石私の運命の人です!これまでの奴らなら私の最初の姿で狂い、発狂していました!」
「お、おう。なんか分からないが何とも無かったぞ」
「えへへ。やっと···やっとぉ···」
ニャルラトホテプはその場にへたりこみ、泣き出してしまった。自分はただ単に見ていただけだがそれでも彼女の助けになったのなら嬉しい。
·········
······
···
「ちょ、もう離れて···」
「えへー!まだですぅー!私の運命の人ー!」
アステラの自分の部屋に帰ってきた。くっつかないと帰れないとか言うのでくっついて帰ってきたらこうだ。
『マスター······これでコンプリートですね!』
いきなり帰ってきてそれかい。
「おかえりー」
「良く帰った!」
その後どういう訳かニャルラトホテプも神界に復帰。なんて言うか···拍子抜けだったな···。
『こんなにスムーズに行ったのはマスターだからなのですよ!』
そうなのか?でもソウちゃんでも何とか出来たんじゃないか?
『私が何とかするとなると力ずくになるので···。相当な被害が出ていたでしょうね···』
···それはどのくらい?
『世界の大半が消滅するのは確実ですね』
···ヒエッ。そ、それは俺が対応して良かった···。
メイジ君のSAN値は100以上です。神話的出来事に遭遇してもSAN値は減らないでしょう。




