~恐れよ 崇めよ 見惚れよ~
ニャルラトホテプ、這い寄る混沌。千の容姿を持ち、地球では不特定多数の人物から崇拝されているらしい。
「それでいて一番強い···と」
「んー多分ね!戦ったことはないから正確には分からないけどの。本気を出せば負けないとは思うけど勝つのは無理だの」
うへぇ、そんな敵が俺の事をストーカーしてるのか···。
「アイツは力が強いだけで中身はいっぱしの少女だからね。まぁその力が強すぎるんだけれど」
「それが問題なんだがのぅ」
ニャルラトホテプはかなーり少女的思考のようで、物語のような王子様との出会いを求めているらしい。
「これまで容姿だけなら彼女のお眼鏡にかなった男が数人いたけれど。皆性格が悪いか彼女の力に耐えられなかったかのね」
「あいつは我が儘だのう」
これから現れるであろうニャルラトホテプの危険性?についてハスターとクトゥルフについて教えて貰っている。
「どうだ?一応今まででひととおり教えたが。なにか感じたことはあるか?」
「···」
彼女は強大な力を持ちすぎたせいで普通の少女のように···。
「自由に恋ができない···可哀そうな少女?」
「可哀そうとは何ですか!!」
聞きなれない声が部屋に響く。
速い、もうご本人の登場か。
「私はこれから幸せになるんですから可哀そうじゃないんですよ!」
白く長い髪をたなびかせ、窓を割り飛び込んできた一人の少女。彼女こそ···。
「おまたせしました!私こそがニャルラトホテプです!」バーン!(効果音)
「何にせよ窓を破壊したよね?直してもらえるかな?」
「あっ、ハイすいません」
ニャルラトホテプは手をかざし、窓を修復した。
「さて、先程から私の事について物凄く話していたので!もう我慢できなくて突入してしまいました!初めましてメイジさん!」
「お、おう。初めまして」
「とりあえず私と一緒に来てもらいましょうか!」
「え」
「そーれワーーーープ!!」
それを機にメイジの存在はアステラ上から消え去った。
·········
······
···
「···ここは?」
黒、視界いっぱいに広がるのは黒い世界。光も何も存在せず。
「えへへ、二人きりですよ、メイジさん」
背中に柔らかい感触。首筋に触れる柔らかい髪の感触。
「ニャラトホテプ」
「はい。私です」
「ここはなんだ?なぜこんなところに?」
ニャルラトホテプは俺の前に移動し、笑いながらこういった。
「ここは星間の空間。私の空間です」
よくわからないが全く未知の場所なのは分かる。
「それで?なんでこんなところに?」
「えへへ、メイジさん!今からテストをします!」
「テスト?」
「はい!今から私の真の姿をさらけ出します!それを見るだけです!」
「それだけ?」
「はい!あ、失敗してもちゃんと無事に返しますので1」
真の姿。これが恐怖につながるものだろう。
「さぁ行きますよ!へんし~ん!」
先程会ったばかりだが、少しでもこの少女の助けになりたい。




