~成長~
シューンといちゃつきながら湖畔でお茶している俺達だが、ここでマップに一つの不可解な反応が現れる。反応は平凡な教師より大きく、一つのクラスに向かって一直線に進んでいる。
「んん?コイツそれなりに反応も強いし速いな、ちょっと弱らせるか『必中』『ファイアーアロー』『手加減』」
俺は空に手をかざし、魔法を唱えた。かざした掌からの炎の弓矢が出現し、上空へ飛んで行った。
「良し、これぐらいで大丈夫だろう、向かってる先はうちのクラスだしあれくらいならクラス全体でリンチすればいけるだろう」
ていうかさっきの上空に手をかざして攻撃する動き、ラスボスみたいだな。
そんなくだらない事を考えながらこの魔物をうちのクラスが倒してくれることを願っている。
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side???
遂に、遂にこの時が来た。俺の童貞を卒業する時だ。なぁに、主人公な俺なら相手もヤリ落ちるしその後もハーレム状態になるだろう。ふっふっふ、そのあとは酒池肉林だ。
狙うは王女がいる俺が担当しているクラス、王女を篭絡したら権力も手に入る。これは後々相当役立つだろう。それに王女は可愛かった。異世界万歳。
俺は今試験が行われる森を疾走している。最近獲得したばっかりのマップのスキルを使ってクラスをいる場所を一つ一つ特定した。二年のエリートコースが野営しているのは他クラスより深い場所だな。ふっふっふ、俺の授業が良かったのだろう。
!!魔力の反応!?
「どこだ!」
ドスッ!
「いってえ!」
右腕に激痛が走る。見ると右腕に火の矢が深く突き刺さっている。炎の矢は傷口を焼き、出血を抑えているようだ。
「くそがっ!」
思わずその炎の矢を手でつかみ、抜いてしまう。抜いた左手は火傷しており、精密な動きはできないだろう。どうやら攻撃はこれだけの様だ。
「フハハハハ!主人公な俺がこんな障害で止まるわけないだろ!」
俺は主人公、物語には障害があって当たり前だからな。これを乗り越えてハーレムを作るからこそ主人公だ!俺は走るぞ!〇ョ〇ョォ!
俺は持てる力の全てで駆ける。俺の童貞を美少女で捨てる夢を叶えるために!
·········
······
···
ふっふっふ、いるいる二年のエリートクラスの女子たちだ。みんな俺のヒロインとなる。更に監視している先生は二人、一人はこのクラスの担任、もう一人は···やったぜ。学園講師最かわの天使のミカエルさんだ。コレはキテる、いつも同じ魔法関連で言い寄ろうとしたがやんわり断られたからなぁ。魅力は何と言ってもそのたわわな胸ですな、ふんすふんす。
おっと、そんな事を考えている場合じゃない。俺だって休んでた期間、何もしなかったワケじゃない。生徒と講師二人を相手にするのだ、対策は完璧だ。
「『気配軽減』」
取りま一人の生徒を人質にとるところからだよなぁ?流石に講師は生徒を人質に取ったら攻撃はできないだろう。
「あれ?カケル先生じゃん」
「よっすカケル先生、そして同志よ」
「え?」
気配を消して侵入した筈なのに···なんでバレた?近くにいるのは男が多いががこの際仕方ない。
「おらっ!こい!」
「えっ!?」
俺はそこら辺にいた男子生徒を拘束しその首元にナイフを付き付ける。
「うわぁぁ!」
「きゃーー!」
その悲鳴や叫びを聞き、クラスの生徒たちが続々と集まる。
「クラスの奴らと講師の二人!コイツの命が惜しいならいう事を聞け!···そうだな···まずは男全員の拘束からだ!女子は男全員をロープで拘束しろ!」
「はぁっ!」
ドコッ!
「ヘブッ!?」
背中に強い衝撃、土の塊が腰を直撃していた。俺はその不意の衝撃から、拘束していた男子生徒を放してしまう。その男子生徒は飛び出してきた講師によって
「皆さん!やっちゃってください!」
瞬間、俺が見たのは360度、あらゆる方向から飛んでくる無数の魔法だった。