絡まれたぜ。
三時間程度歩いてやっと街が見つかった。
今は門番にチェックされているだけだ。
「身分証明書がないのか…?」
「うむ、持ってないんだ」
「うぅん、それは困るな。
銀貨3枚で仮身分証を作る事ができるが…持っているか?」
「これか」
銀色の硬貨を3枚置いた。
この銀の硬貨はポケットに入っていたものだ。
あの神も中々融通が利くようだ。
「よし…、行ってよしだな。
それにしてもお前、とんでもないほど美形だな。長年門番やったら俺だがお前レベルは初めてだぜ」
なんか褒められた。
「あ、ありがとナス!」
照れ臭いから取り敢えずそれだけ言って行くことにした。
–––
スゲェ。
THE・異世界って感じだ。
猫耳や長耳の美形…多分エルフだな、それに髭が長く背が小さい…あれはドワーフか。
色々な種族が観れる。
あぁ、ワクワクする。
取り敢えず近くにいる男性に声をかける。
「失礼、冒険者ギルドはどこにあるんでしょうか?」
「え?あ、あぁ。この道を真っ直ぐ行った所の2番目の右の曲がり角にあるぞ」
「ありがとうございます」
礼を言い俺はそこへと歩き出した。
なんか色々と視線を感じる。
まだ鏡とか見てないから俺がどんなイケメンか分からないんだが…。
「っと、着いたか」
防具を着た荒っぽい人達が出入りしている建物があった。
これが冒険者ギルドだな。
入るか。
失礼しまーす。
「おぉ…」
スゲェ。
正に俺が思い描いていたギルドだ。
感動するな。
しかし入った瞬間視線が物凄く集まった。
しかも現に今も集まっている。
取り敢えず受付嬢と思われる人の場所へと行くか。
「失礼します、冒険者ギルドへ登録したいのですが」
「…ァ、ギ、ギルド登録ですね…はい…」
何かオドオドしているぞ。
そうか、俺がイケメンだからか。
イケメンは辛いな!!ハハハハハハハハ!!!!
「そ、それではここにか、書いて下さい」
俺の顔を見ないようにしながら紙を差し出してくる。
大体名前や年齢、戦闘スタイル、出身地といったところだな。
取り敢えず名前はベリアル・デールフィング。
年齢は17、戦闘スタイルは近接全般、出身地は…………、忘れた。と書いておこう。
…いけるかな。
「はい、お預かりいたしました。
……冒険者ギルドについての説明は行いますか?」
「オナシャス!」
そこから説明が始まった。
まぁ簡潔にまとめるとギルドのランクはF〜Sまで。違反内容は大体マナーから外れた行為だ。
…それぐらいだった。
後は細かな金銭の事についてとかだ。
「ありがとうございました」
礼を言い俺は掲示板へと行こうとした。
「おい待ちな坊主。
テメェなんかがここに来るなんて百年早えぞ!ヒャッハハハヒヒフフフゥゥ!」
「ウェェェイイイ!!ガジンさんが行ったぞテメェらぁ!」
「おいおい!!ガジンテメェ!もう新人潰しかよ!お前嫉妬してんじゃねよ!ガジンそいつを叩き潰せ!!」
一気に騒がしくなった。
「おい坊主、有り金を全部寄越しな指導つけてやるからさ、断ったらこの場で叩きのめす!」
おいおい…テンプレってヤツですか…。
まぁいい、売られた喧嘩は買うまでだ。
「来いよオッサン、そのイケてねぇ臭い顔面をぶっ飛ばしてやるよ」
「殺す!」
そう言い殴りかかって来た。
俺はそれを片手で受け止め、お返しとばかりに回し蹴りをした。
__ドゴォッ!
オッサンは何回も回転しながら床を跳ねまわり、最終的に壁へと激突した。
周りが静寂に包まれる。
あぁ〜スッキリした。
しっかし今のは最高に決まったな。
ザマァねぇぜ!ファッキューガジン!
そして俺は冒険者ギルドを出て行った。