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朱莉との日常

「しおんさぁ〜ん!今日も来ちゃいました!お昼ご飯作り過ぎだので一緒に食べましょう!」



パタパタやってくるのは朱莉だ。見えない尻尾を振っているみたいで犬みたいだ。私の心情は飼い主だね。

ここ2週間近く、この寂れた公園の様な場所で朱莉と密会をしている。

朱莉は人懐っこくすぐに私は受け入れた。

意外にも朱莉は私と同じ学科の戦闘科らしい。

と言うより血族は戦闘科に属さなければならないそうで戦いが苦手でも戦闘の中でもそこそこ強いらしく来る外敵からこの世界を守る為に頑張っているそうだ。

さて、この話で気になる部分が出てきた。

血族は負けてはいけない風潮があると聞いていた。

朱莉は五條家の分家にあたるのでそれに該当はしないそうだ。

ただ、数年前までは血族に有利な条件での戦闘ばかりだったが新人類と対等にする為に改善があったらしく、今では負けてはいけない風潮はないそうだ。

対等に戦える事で血族と人との壁が少しは縮まったそうだ。

それでも本家の者達は桁違いに強いそうで授業を免除されている者は多数いるそうだ。

……うん、私だね。


あの出会った日から休み時間に毎回ここに私に会いに来るのだから私はこの場所が居場所になってしまった。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あっ!貴方の名前だけでも良いですよ!三条家の魔導防具を身につけているので血族の方だと分かっています。五條家は他の血族と違い名を明かしてはいけないとルールはないので名乗りましたが本来は名前だけ名乗りあうものですからね」



おっと危ない。四鬼の名を名乗る所だった。



「それに三条家の特注品のマントなんてうちの本家でも持ってないです。五條家より格の上の血族の方に失礼なのは分かってますがさっきの歌を聞いてから是非ともお近づきになりたいと思ったのです!だ、だめですか?」



うるうると涙を溜める朱莉。

……それはズルい。



「……詩音。私は詩音と言う。貴方は朱莉ね。私と友達になってくれるの?」




そう言うとぱぁっと笑顔になり、ハイと元気よく頷いた。



「ありがとうございます!詩音さん……素敵な名前ですね!」



「ありがとう、朱莉も素敵な名前ね。それで特注品のマントってコレは血族なら持っている物じゃないの?」



私はこてんと首を傾げる。



「詩音さんが持っているのは三条家の魔具の中でも最高品質のマントで他国の王族に献上されたりする品物ですよー。阻害認識にフードを被れば識別不可の効果があります。しかも登録制なので個人でしか使えないので他人は悪用は出来ないです」



……灯華はなんて物を渡したんだよ。と言うより嘘つかれた!

血族を証明する色とりどりの髪を見て私は思った。

魔力によって体質が変わるこの世界で黒髪は少ない。

私の髪質は銀と紫のまだらだがこれだけカラーズ達がいるのだから浮かないと思う。解せぬ。



「私の事は周りには余り喋らないでね?」



「はい!私が一人占めします!」



私は心の中で思わず苦笑した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


最初は変な子のイメージだったけど普通に可愛らしい女の子だった。血族だからとか関係無しに朱莉とは付き合いが長くなりそうだと私は思った。



「朱莉は戦闘科だよね?ランキング戦は参加しているの?」



「はい、戦うのは嫌ですが戦闘科なら200位内に入っていないと退学になるのでランキング戦は参加しています。本家はランキング戦は免除されますが五條家の本家の方は戦いが大好きでランキング戦に参加しております」



なんだが大変だねぇと思う。

この世界戦いが娯楽だから学生同士の決闘を中継したりと決闘中も死なない様にフィールドを改良したりして戦いに関する様々な設備が発達している。

……死なないフィールドなんて意味が分からないよ。

魔法なんでも来たれだね。

そんな技術があるなら異世界からの侵略者へ対する技術ももっと発達させろ。



「私も戦うのは嫌い。平穏が一番だ。私にはここで朱莉に歌を聴かせる時間が楽しい」



「はい!私も詩音さんの歌を聴く為に学校に来ている様なものですから!」



朱莉が笑ってくれる。私も表情を作れたら朱莉と一緒に笑いあえるのに今は無理だ。


表情ってどうやって作るもんだろう。




「でも私もずっと詩音さんと一緒に過ごしたいです」



しみじみ言う朱莉に私はまた一曲前世で聞いた歌を歌ってあげた。

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