見られて恥ずかしい事ってあるよね!
制服の上からマントを羽織り、コレで杖さえあれば魔法使いファッションだよね。
灯華からマントを渡された時は良く分からなかったがマンモス校と言えど私の様な美少女が居たらすぐに覚えられちゃうかもしれないと言う配慮だった。
うん、自分で美少女って言っちゃうのと思うでしょう?
物語の設定では超美人で敵なのが惜しいと言われ続けたキャラなんだよ。それを美少女と言わなきゃ前世の私に失礼だよね。
でも無表情が台無しにしている。無表情だが顔の作りが良いから許すみたいな感じだね。
何故ファッションの話をしたのかと言うと実は学園に只今絶賛通い中なのですが中庭で昼寝したり校内を人に会わずにうろちょろしたりしているが授業を受けれないとなると凄く暇だと言う事実に私は気づいてしまった。
なら目当ての友達作りに励めばと思うでしょう?
いやいや、ムリムリムリ!
いきなり、ヘイボーイ!ミーとフレンドオーケー?って言えない。
そう考えると同じ教室で同じ勉強するって互いの共通点があり話しやすくなるし、部活動もそうだ。
このどうしようもない事実に私はなす術もなく、校舎から離れて寂れた公園みたいな場所に黄昏ています。
前世と違ってこの世界には娯楽が少ない。アニメも微妙だし、薄い本も少ない。
このやるせない気持ちをどう表現しよう。
好きなアニソンでも歌って発散でもしようかな。
この世界で存在しない歌を私は数曲熱唱した。私の持てる全てを使った気がする。
30分後は歌ったのではないだろうか?
歌うってスカッとするね。
モヤモヤした気持ちが晴れ晴れになった。
満足したところで後ろを振り向くと女の子が私をポーッと見ていた。
……うん、見ていた。
は、恥ずかしい!私、この子に気付かず熱唱していたよ!
もう穴があったら入りたい!
もうね、顔が真っ赤になる位恥ずかしい。まぁ、私は無表情だけどね。
今の瞬間ほど、無表情な顔に感謝をしまくった。
「凄く綺麗な歌ですね!歌詞もそうですがメロディも素敵ですし、誰の歌なのですか?」
目をキラキラさせた女の子から質問されてしまった。
前世の歌です。銀河の妖精の歌です。アニソンです。なんて言っても分からないだろう。
……どう答えよう。
「……この世界では私の歌」
……うん。嘘は言っていない。
私しか知らない歌なのだから仕方ない。
「あなたの歌なのですか⁉︎すごいすご〜い!私感動しちゃいました!歌も上手いし歌手さんなんですか⁉︎」
……無垢な眼差しが痛い。尊敬の念が辛い。
このハイスペックな身体に初めて恨めしいと思ってしまった。
これが普通のまたごく普通の前世の私が歌ってたとしていたらちょっと雑音をどうにかしてくれない?って言われるだけなので恥ずかしくも罪悪感も無かったはずだ。
とりあえず違う事を伝えよう。
私はそんなに尊敬出来る存在じゃないんだよ。
「違う。歌は好きなだけで歌手じゃない」
「貴方にとっては当たり前なのですね!私の様な凡人には先程の歌に心奪われちゃいました!やはり、凄いのに謙遜してしまうのは貴方がいい人って事ですね!是非私とお友達になりませんか?」
……うん、この子が良い子なのは分かったけど私はそんな尊敬される人間じゃないよ。
それにしても友達になりませんか言われたよ!
やっふぅー!
友達承認ってどうするんだっけ?マイページからフレンドリストに……ってこれはソシャゲーだった。
えっとなんて言えばいいのだ!
困っていると女の子はあっと声に出して話を続けた。
「すみません!私だけはしゃいでしまい私の自己紹介がまだでしたね。私の名前は五條朱莉です。宜しければお名前をお聞きして良いですか?」
……なんと同じ血族の学生でした。