不穏な流れ
血族は分家から優秀な者を養子にしたり、本家に向かいいれ、優秀な血を残していく。
これは血統を気にする人達には当たり前の様で私のような一般市民には理解できない事。
例えば、優秀な魔量や魔力を増やす為に血を薄めない血族があり、強さそこ血族に必要だと主張し、自分より強い者を血族に取り入れたりと色々な思惑や考えがある。
そこに本人の考えや意志は無く、血を守る為に血族の者は血の為だけに相手がどんな人間だろうと受け入れなければならない。
「ねぇ、11時から五條朱莉と薬師丸大毅の決闘があるらしいよ」
知った名前に私は顔を上げる。
サクラを舎弟にしてから私は報道部とも仲良くなった。
サクラの幼馴染の由香里は私ともサクラの為に報道部の部室を利用して良いと部長から許可を貰っている。
報道部は学園の情報が集まる為、私は報道部の皆をすぐに受け入れた。色々な情報をもたらす報道部に私も多少報道部へ情報を提供する。ウィンアンドウィンな関係だ。
「朱莉と誰が戦うの?」
「おや?五條さんと知り合いなのかい?」
私が朱莉の決闘に興味を示すと部長がニヤリとこちらを見る。
彼女は中々のやり手だと思う。
私から血族の情報を聞き出す為に面白い話を持ってくる。
彼女からしたらどの血族の者が更に分からなくなる程、私は情報通みたいだ。
まぁ、知識として設定なら大まか内容なら全て覚えているのでどの血族の事を聞かれても答えられる。
私も情報を流す理由が私への情報の撹乱だし、本当にダメそうな情報以外を流しているので漏れて他の血族から報復なんて事は大丈夫だろう。
「私の初めての友人だよ」
部長はへぇ〜と目を細める。
「血族同士の友人とは珍しい。ますます君がどの血族の者が分からないな。なら君は学園や私達の事は疎く良く知らない様だし今回の五條さんの決闘について話そうか。君も聞いていた方が良いと思う。君に有益な情報だったらまた血族の話を聞きたい」
「ふむ、良いよ。部長がそういうのなら今回の決闘って何かあるの?」
私の言葉に部長は微笑む。
「ご名答。今回の決闘はちょっと特殊でね、五條さんが負けたら薬師丸と結婚しなくちゃいけなくなる。五條家は強い者を排出する一族である事を誇りに持っている者が多い。薬師丸くんは超越者の中では1位のランキングだからね。決闘内容を見ると五條さんは不利だね。総合では9位だ。それなら五條家にも良い相手だと思うが彼はグズなんだ。この言葉に報道部の名をかけても良いぞ。彼の情報を口にするだけで自分まで嫌気をさす。だから、血族には相手にされなかった。だから、彼は五條家の分家の朱莉くんを狙った。血族に取り入れた恩恵は凄いからね。さて、詩音くんに有益だったかな」
私は部長の話を聞いて考える。
「部長、一つ聞く。朱莉は負けたら今後どうなると思う?」
部長は少し戸惑った雰囲気を出すが答えてくれた。
「そうだね、無類の女好き彼なら良くて性奴隷、悪くて薬師丸の周りの奴等にも弄ばれた後は彼女次第かな?」
不愉快な言葉にぞわっとする。
ひぃっ!と周りから声がしたので周りを見ると皆が怯えていた。どうやら、知らずに怒りで威圧が漏れていたみたいだ。
「……ごめん、イラついてしまった」
「詩音くんは温厚だが怒ると怖いと言う情報を手に入れだから大丈夫だ。皆も怒らせちゃダメだぞ」
部長がからかう様に場を和ませてくれたので周りの部員も私に怯えがなくなった。
「私には古いやり方は合わない。血を強める為に個人を捨てるのは悲しい」
「そうかい?中々合理的ではあると思うよ。今は世界が安定しているから良いものを今後異世界から侵略がまた始まったら強くなきゃ生きてけないからね」
「四鬼家の始祖は吸血鬼って知っている?」
「唐突だね。知っているよ」
「四鬼家は老いる事のない一族ってのは知らないでしょう?四鬼家は自身にとって一番の身体つきになったら成長しなくなり老いる事もない。寿命はあるみたいだけど何千年と生きれる血族だからあって無いようなモノ。だから、四鬼家は長い刻の中で生きることに飽きた子孫はまず感情を捨てた。次に死に場を求めた。永遠に近い時間を生きることができる血族はそうして生きるようになった。四鬼家が身内を殺されて報復するのは自分も殺してくれる相手かもしれないからかもしれないから。まぁ、私には理解出来ないけど。この話は部長的に満足?」
「あぁ、こんな血族でも知らない話を聞けたのは幸運だ。五條くんには悪いけど私の求めている知りたい情報だよ。それにしても四鬼家にますます関わりたくなくなったよ」
部長は苦笑する。
「その決闘って辞める事は無理なの?」
「もう決闘を止める事は出来ないけど、詩音くんは血族なんでしょう?決闘後にそれをチラつかせて交渉するしかないかな?五條家がこの決闘を許可したのだなら朱莉くんはもう頼れるのは自分だけだからね。これから決闘見に行く?」
私は頷いた。
向かった先で勝負は一瞬だった。
双剣使いの朱莉と大剣使いの薬師丸の戦いはスピード重視で手数が勝負の朱莉には相性が悪かった。
薬師丸は超越者であるポテンシャルで大剣を上手く使いこなしていた。それに彼は防御に特化した超越者らしく、朱莉の攻撃は全くダメージにもならなかった。
私も決闘場に向かい朱莉を見守ったが負けてしまった。
「お前の負けだ。今からお前は俺のモノな。ククク」
横たわる朱莉に見下し言葉にする。此奴が薬師丸大毅か。気に入らない。
私は平穏に過ごしたかった。
戦いも嫌いだし面倒事に首を突っ込みたくない。
だけど友人の不幸を見て見ぬふりをして平穏に過ごすのは違う。
「ねぇ、少し良いかな」
薬師丸はああん?っと私に睨みつける。
「そこの朱莉とは友人なの。今回の決闘は無しにしてくれない?決闘をして私が勝ったらね。それとも私に負けるのが怖い?後から何を言われても面倒だからそっちの条件で戦う」
かったるそうに薬師丸は言葉を吐き棄てる。
「おぃおぃ、何を言ってんだ?なんで俺が面倒な事受けなきゃならねぇんだ?」
そう言うと思っていたので彼だけに分かるようにフードから顔を出す。案の定、薬師丸は私の顔を見るとひゅ〜と見る目を変える。
「私が負けたら私を一生貴方の好きにして良い。ただ、子供が出来たら一族に渡す事だけはこちらの条件として出す。どうかしら?」
「あぁ、良いぜ。俺の条件でお前が俺のモノになるって言うなら仕方ねぇ。決闘してやるから今日の15時に決闘場に来い。今日は付いてるぜ。海老で鯛を釣るってこういう事を言うんだな。ハハハ」
「分かった」
「じゃ、宣言し合おうぜ?無しでしたってなる前にな。戦闘科3年の薬師丸大毅だ。決闘申請を出す」
決闘は違いにフルネームを名乗り合いデバイスで承認するまで正式な扱いにならない。
「戦闘科1年、四鬼詩音。決闘申請を承認する。決闘内容はそちらで決めてよい。どんな内容だろうと私が勝つ。では15時に」
私が名乗ると周りがざわついた。私は面倒になる前にその場を離れた。




