世界は違えど同志はいる!
檻の中に入っている私。
それを眺める複数の生徒。
……ふぅ。
さて、何があったのかを話そう。
午前中の事だった。ふらっと学校内を散歩していた。
勿論、マントの効果があるので私は気づかれない。
そんな中、私は奇妙なモノを見つけたのだ。
バナナと水泳用ブーメランパンツとゴーグルが落ちていた。
普通なら素通りものだと思う。
しかし、娯楽に飢えた私には何かのメッセージかの様に思えた。
この世界って普通に秘密結社とかあるのだから私の考える同志が居てもおかしくない。いや、いない事がおかしいのだ。
私は周りを探った。
するとまた近くに青いツナギが落ちていた。
そう、落ちていたのだ。これは工芸部の制服だ。それが廊下に落ちている事がおかしい。
誰かが意図的に置かない限りね。
ここまで来ると私は確信した。
これは同志達の集いの場への参加、いや招待だ。この程度の謎も解けない様じゃ同志とは言えないと言う事ね!
私は更に周りを見渡す。
すると本が落ちていた。
手作り感あるその本を震える手で抱き抱える。
そして、恐る恐る開くとそこには探し求めていた楽園が描かれていた。
……ついに見つけた。私は見つけたのだ!
荒削りだがちゃんとした私が求める薄い本!
世界は違えど同志は存在する!
読み終えるとタイトルの横に上と書かれている事実に感激する。まだ続編がある!
私はそれから周りを探し見つけた。
そして、拾おうとした瞬間、柵が落ちてきた。
そのまま捕まる私。
見上げると目を丸めている者、ジト目で見つめている者など何とも言えない表情の生徒達が居た。
つまり、困惑していた。
「……えっと、確か今回の記事にするタケシを捕獲する為のホイホイ大作戦でしたよね?マントの変態が釣れたんですけど」
誰かがポツリと言う。
私マントの変態じゃないよ!
この世界の最先端のゲイ術家だよ!
まぁ、そんなのは些細な事だ。
ゲイ術なんて理解されない。
私だけが理解していればいいのさ。
私はそれよりも大事な事があるので尋ねる。
「……この作者は誰?」
そう、同志の生存確認だ。
そう言うとオドオドした女子生徒に皆の視線が集まる。
……やっと巡り会えた!
「えっと、あの、わ、わたわた、私が描きました。報道部の皆さんに協力を求められまして」
「これは常に描いてるね?」
オドオドした女子生徒は恥ずかしそうにコクコクと頷く。
「是非、続きをお願いしたい!私は詩音と言う。君とは類友になれそうだ。よろしくね」
「えっと、私は山里サクラです。私は旧人類ですが良いのですか?」
「何を言う。ゲイ術に種族の壁なんてない。ただ、愛する者、愛さない者の二択であり私と君は同じ同志なのだから旧人類なんて些細な事だ」
オドオドした女子生徒改め、サクラはちょっと嬉しそうに笑う。きっとこの趣味を分かってくれる者が居なかったのだろう。
「……あの、2人の世界に入っている中で悪いんだけど質問。詩音さんは血族だよね?そのマント特殊な者だし一般人には手が出ない魔具だと思うし、サクラは旧人類だけど本当に友達になるの?これでもサクラの幼馴染として聞かなきゃいけない」
旧人類とは言葉の通り今までの人類だ。
魔法がこの世界に適応されてから様々な設定が出来た。
その中の一つが超越者だ。
これがこの世界の人類だ。
人間は身体の数パーセントしか使えないと言われているが身体が強化され、リミッター解除された人類の事を言う。
異世界の様にレベルアップはこの世界には存在しない。それは血族だけが引き継がれた能力だ。
超越者は初めから強い。しかし、強いだけで身体を鍛え、自分の力を発揮させなくちゃいけない。
旧人類はただの守られるだけの存在となったこの世界では差別の対象になっている。
だけどここにいるという事は何かしらの才能があるのだろう。
それに同志であるのだから私の答えは決まっている。
「旧人類だからって何?不都合はない。寧ろ戦うのは反対。腕怪我して描けなくなる方が私に不都合。なんなら私が守る」
そう答えると周りはあり得ないもの見たと言う表情をする。
私はこの世界の常識で測らないでほしい。こちとら数週間前までここで言う旧人類の記憶持ちなのだ。
「なら師弟登録してあげたら?強くなる為に血族や実力者の傘下に入る事で庇護も得られるって奴なのだけど」
「要するにサクラが私の舎弟になるのね。構わないわ。何か申請でもあるの?どうするの?」
「……舎弟。随分と古い言葉ね。学校から支給されている携帯端末から登録出来るよ。からかうつもりで教えたのに本当にするの?」
「問題ない。それより、血族ってだけで怖れられるって聞いていたけど違うのね。あっ、サクラの登録するから申請頂戴」
サクラはごそごそと端末を弄る。その間に報道部のサクラの幼馴染に私は聞いてみた。
「血族は確かにそう思われやすいけど私達報道部にとっては血族のスクープこそご褒美だし、関わらないから怖いだけよ。皆同じ人間だもの。私が血族にビビっていたら私がサクラから怖れられるのと一緒になってしまうもん。だから、私は血族は怖がらない。四鬼家を除いてね」
……私廃嫡されたけど四鬼家の名を名乗れるし本家の子供だけど大丈夫かな?
まぁ、言わなければ大丈夫だろう。
「何故、四鬼家は怖いの?」
「そりゃ、感情もない冷徹な一族で狙われたら死を覚悟しなきゃいけない血族なんて怖がらない方がおかしい。出来るだけ関わりたくないよ。詩音は血族だから分からないだろうけど四鬼家と戦って生き残れるのは血族でも難しいって聞いたら尚更だね」
「そう、なら四鬼家に狙われない様にしなきゃね。サクラ、私の苗字を他人にバラしちゃダメだよ。私の家は苗字をバラしちゃいけない血族だからね」
早いうちに手を打っておこう。
サクラにバレても他の人にバレなきゃ大丈夫だろう。
四鬼家に狙われたらとか聞いているから尚更口は硬くなるはずだ。
案の定、私の苗字を見てサクラは凄い表情になった。
周りがギョッとする位に。
「なら、私は帰るからまた明日お宝見に来るね。サクラも何かあったら私に言いなさい。これでも最強だからね」
そう言って檻の柵に手を当てる。
「なにしても無駄だよ。開けるから待って。その檻はミスリ……ル……せ、何でもないです」
私はサクラの幼馴染の話しを聞かずに柵を広げて外に出る。
「またね」
サクラは蒼白になりながらコクコクと頷いていたけど壊れてないよね?




