プロローグ
世界は理不尽に出来ている。
人は生まれながらにして使命を持っていると聞いた事がある。
その考えは強ち間違いはないと私は思う。
物語の登場人物に必ず役割がある様に私達もきっと役割がある。
だけどね、その役割は分からないよね。知らない方が良い。その役割を知ってしまったら生きている意味が無いと思う。
ただ遂行する使命に感情は要らない。感情が入ると不都合が入り、物語はきっと破綻してしまう。
だから、人は何も知らずに生まれてくるのだ。自分で見つけ使命を果たす事が出来たらそれは奇跡であり、魅力ある物語と化すだろう。
なら初めから感情のない者に使命を与え物語を作れと思うかい?
そう思った君に問おう。
その物語に興味を引くか?見たいか?楽しそうか?
答えは言わなくてもいい。
神と言う存在が居たら、そんな理由で私達を生まれさせたのかもしれない。
だからね、私は認めない。
私の生まれて来た理由が死ぬ為であり、破滅する為に生まれ変わったなんて事実を許す事は出来ない。
私だって世界に産まれたからには生きたい。死にたくない。
なら私はこの世界の不都合にならなくてはならない。
遠い昔の記憶。
人は生まれた意味を探す為に生きていると聞いた事がある。
なら既に生まれた意味を知っている者はどうしたら良いのか問いたい。
その私の役割が世界を滅ぼすきっかけになるとしても使命として果たすべきなのか?
私はこの世界を知っている。
どの様な物語かも知っている。
だけど私はその役割を使命を果たしてやらない。
私は私の為に生きる。
ねぇ?だから世界は理不尽に出来ていると言ったんだ。