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千円女優 -ゴールド・マジシャン・ガール-  作者: 7×3=1000円ライター。 と読まれる事もある
Prologue l・始まりは1000円
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「ねぇ、何してんの? わたしもまっぜて」

 そう声をかけつつ横から現れたのは高校時代の彼女。


「いや聞いてくれよ美紀、こいつがさー」

 カクカクシカジカ。


「あたしも教科書とかにこんな落書きしたなー」

 俺と千秋の顔に交互に目を走らせると、

 リアクションに困ったのか?

 そんな事を言う。

 嘘だ。絶対こいつは綺麗に使うタイプだ。あっても重要な場所に線ぐらいだろう。

 俺達みたいに、いつまでも中学時代みたいに一緒にバカやってよろこんでいられるタイプではない。


「じゃ、あたしはこれで」

「え、一緒にお昼食べようよ」

「あ、あたし他の人と約束してるから」

 いそいそとその場を去る千秋。


「ねぇ、あたし嫌われてるのかなぁ?」

「あ? うな事ねぇだろ」

「だって、なんか避けられてる」

「気ぃ使ってるだけだろ」


「あたし学校では遠慮しようか?」

「はぁ? なに言ってんだよ」

「だってあたしのせいで結崎さん、友ちゃんと喋りづらそうだし」


 たしかにアイツとはそれ以後も……

 クラスが変わり、

 美紀といる時間が増え。

 段々と千秋とは疎遠になっていきそのまま卒業。


 でもそれは別に美紀が悪いわけじゃない。

 アイツが避けるから……

 でもそれは別に千秋が悪いわけじゃない。

 では誰が悪かったのだろうか?

 俺が悪かったのだろうか?

 ただただ、単純に相性が悪かったという風に片付けられるものだったのだろうか?

 同じクラスに彼女がいたのに、

 違うクラスの女友達にどうやって会いに行けただろうか?

 廊下ですれ違う事はあれど日に日にずれていく視線をどうしたらよかったのか。未だに答えは出ない。


 なんて事を今までろくに思い出そうともしなかった。

 今は友達ですら無くなってしまった、当時のクラスメイトを思う。

 答えなんてのは出そうとしなくても結果は出るもので、

 迷っていて選択出来なければ時間制限付きで十中八九。

 何もしなかったという結果が――何も出来なかったという結果が。

 時間は待ってくれず、また時間を戻す事も出来ない。

 でも人間は日々に追われて忘れる。

 たまにこうやって思い出す事もあるけど。

 まぁ、また忘れるさ。

 ニワトリみたいにはいかないだろうけど。

 と千円札をひらひらさせ、団扇みたいに風を起こし、頬を扇ぐも何も吹き飛ぶ気配すらしない……

 お金が空を飛ぶイメージってよく見るよな?

 なのにこいつはニワトリみたいに。


 ネットで使えるのかググってみたところ、

 使えはしそうだが、自販機ぐらいでしか使いたくねぇなと。

 それに使ったらこれが誰かのところにいくんだよなーーそいつかわいそうだなぁ。

 罪になるのかは、意見が分かれててよくわかんねぇや。

 硬貨だと溶かすと犯罪だとか。

 故意な落書きなら、どっちにしろ犯罪だとか。

 どっちや? まぁどっちでもいいやーー


 捨てるべきだろうか?

 いいや、お金を捨てるなんてそんな風には教育されていないので皆無である。

 取り立てて貧乏というわけでもなかったがとても金に余裕があるというような家ではなかった。

 では使ってしまおうか?

 財布に再びしまおうか?


 携帯を操作し電話帳から

 アイツの名前を探す。

 残っていた。

 当然だろう? 消してないんだから。

 昔から変わっていない電話番号。

 別に携帯が変わる度に未練がましく登録を繰り返していたわけではない。

 一括でデータの移動をする為の自動処理に過ぎない。

 別に付き合っていた元カノの電話番号というわけではない。

 ただの女友達の電話番号を故意に消す方がおかしな話ではないだろうか?

 俗にいう意識し過ぎというヤツだ。気持ち悪いなお前。


 俺は、手に持ったままの野モリを見つめ。

 レッツ、○レッツ、テレフォンショッキング!!

 なぁに友達に電話をかけるだけじゃないか?

 今時、電話でだいぶ合っていない相手にかけるのは緊張するな……。

 どうせ出ないだろう。でも電話番号ってそんな変わるものだろうか?

 新規に変える状況でしか変わらんのではないか?

 無くしたらどうだろう?

 調べるか?

 ええい! 面倒くさい!


 散々迷ったあげく……

 俺は画面の発信マークを見つめたまま。


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