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特別機関―暗殺課―  作者: 黒瀬 狗痲
第1章―鎖で縛られたモノ、手綱を握るモノ―
2/5

―taro matuyama―

1

―政府直属 特別機関 暗殺課―


 主な仕事内容としては、他国政府の要人・スパイ・テロリスト・その他不穏分子の殺害を目的としている。

 常に10人前後で活動し、極端に人数が減ると補充の為、士官学校や軍事施設、自衛隊員の中でも優秀な者を集め、適性試験を行なう。

 暗殺課は政府直属ではあるが非公式な組織である為、適性試験に不合格だった場合、受験者は例外無く抹殺される。

 しかし、前述のように殺害目的の組織なので、任務の遂行失敗や他国に拘束された場合は命を落とすことがある。

 その為、給料が良く、様々な特典が着く・・・・・・・・・・・・


 松山太郎が聞かされたのは、簡単に言えばこういうことだった。

 割と広めの部屋には、7つのオフィスデスクが綺麗に並べられているが、その机に乗っているものは薄いノートパソコンやクリップで留められた書類の束、たくさんの文庫本など様々だ。

 今、松山が座っている革張りの高級ソファは、この事務的な部屋には雰囲気的に合っていないのだが、そんな事は気にせずに松山の目の前に座る優男は柔和な笑顔を浮かべながら、松山に話しかけた。


「まぁ、ザッとこんな感じだけど理解してもらえたかな?」


 あくまでも、優しく説明した優男だが、松山の目はどんよりと沈んでいた。時折、優男の後ろに立つ人物を睨みながら、手渡された書類を表面的に眺めている。


「で、あんた誰だよ。ついて来れば説明するんじゃなかったのかよ?」


 静かに怒る松山を宥めるように優男は明るい調子で言葉を返す。


「俺は室田正志。でまぁ、あっちの御嬢ちゃんは黒瀬狗痲で、君達の試験で

射撃手やってたのが向こうにいる白いコートの白藍灯樹、あっちでパソコン弄ってる美女が琉川麗心。それで、君が聞きたいのは何かな?大まかなことはさっき説明したと思うんだけど?」


 松山は勢い良く立ち上がると、室田と名乗った優男の後ろにいた病人のような少女に向かって歩き出す。

 肩甲骨の辺りまで伸びた白髪に、アルビノのように白い肌。暗く輝く紅い眼の下に濃いくまを浮かべた少女―黒瀬狗痲は黒いコートを纏った痩躯をゆっくりと向かって来る松山に向ける。


「何で、そんな人の命を弄ぶような事が無表情で出来るんだよ!?」


 松山の吊り上った眉のある額には僅かながら青筋が浮かんでいる。しかし黒瀬はそんな松山に臆することは無い。

 今にも黒瀬に掴み掛りそうな勢いの松山に、一番奥のオフィスデスクで銃の清掃作業を行なっていた白藍灯樹が口を挟む。


「うるせぇな、お前。俺らをそこ等の殺人鬼と一緒にするなよ?」


 銃を分解しながら、白藍は松山を睨む。鋭い眼光に怯んだ松山に、白藍は続ける。


「一時の感情の昂りや快楽を求めて人を殺す正常な人間と、俺らみたいな冷静に人を殺す異常者をお前の常識に当て嵌めんな。俺達、少なくとも俺や狗痲は快楽を求めて人を殺しているんじゃない」


 銃からシリンダーを外し、それをオフィスデスクに置くと白藍は大股でズカズカと黒瀬の隣に並ぶ。そして2~3cm低い位置から松山の顔を覗き込み、挑戦的な目で言い放った。


「俺達は仕事だから人を殺すんだよ、新入り」


 松山は白藍の挑戦的な目から自分の目を逸らした。勝負が着いた所で、ノートパソコンに向かい合っていた琉川は、赤く染め上げた髪を掻きあげながら気だるそうな口調で言葉をかける。


「狗痲ちゃんと灯樹君はそろそろ任務だから早く準備して頂戴?あと正志は早く死んで」


「会話の流れを見事にぶち切ったな麗心」


 了解、と白藍はデスクに戻り銃の部品を軽く拭き手際良く組み立てていく。黒瀬は軽く松山を見た後、少し広めの黒いコートの袖口から純銀製の大きな銀爪を、デスクに置いてあった布でこびり付いた血を軽く拭き取り、赤黒く変色した布を徐に投げ捨てた。

 室田は琉川のジョークに少しショックを受け、顔が青ざめる。


「で?」


 白藍の問いかけに、青ざめていた室田が疑問符を浮かべる。


「そいつの面倒を誰が見るか、だ」


 その言葉に黒瀬が同調するように、言葉を付け足す。


「そうですね。私と灯樹は今から任務ですし、琉川さんは皆に指示を出さなければなりませんし、室田は今から佐原補佐官と打ち合わせ。他の方達も全員出払っていますし、現状、誰も彼の面倒を見ることは出来ません」


 室田は頭を悩ませ、助けを求めるように琉川を見る。

しかし琉川は化粧を施した顔を嫌そうに歪め、


「い、や、よっ?だってそこのボウヤ、私のこと後ろから刺したりしそうじゃない」


 室田は溜息を吐き、仕方なしに黒瀬と白藍の方を向き、笑顔で指示した。


「よし!お前等、松山君も連れて行け。今回の任務は御嬢ちゃん1人でも対処出来るだろう?白藍はフォローしながら、そいつの面倒を見てろ」


 グッジョブ!と親指を立て、室田は逃げるように部屋を飛び出す。部屋を飛び出す優男の姿がみえなくなり、白藍が舌打する。


「クソッ、あの優男。仕方ねぇか、行こうぜ狗痲」


「うん。じゃあ琉川さん、行ってきます」


 手を振る赤髪の美女は、松山にウインクして一言。


「灯樹君に撃ち殺されないようにね?新入り君☆」


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