chapter5 鬼の起きぬ間に・・・
非常識な力を操る自称宇宙人、俺がやってきたと同時に転校してきた神出鬼没な病弱娘、ギャルゲのプログラムから飛び出したネコミミメイド、これって現実なのか・・・?
「・・・・まだあいつら起きてこないな。今の内にやっておくか。」
ちなみに今は午前四時である。一般の方なら惰眠に身を任せている状態であろう。だが俺は違う。
ひきこもりの端くれである俺にとって一秒たりとも無駄にはできないのだ。ちなみに、今から何をするのかというと、パソコンの前に座って小説の続きを書き出すのである。普段なら昼間にやるのだが、宇宙人の登場によって学校への登校を余儀なくされている(留年が嫌だという理由もあるが)のでこんな時間にやるしかないのである。えっと、どこまで進めていたかな・・・まあ書き出していこうか。
一時間経過。さっきから書きつつ消しつつを繰り返している。実のところ、ほとんど進んでいない。
―あ〜、やはり俺には才能はないのかな。・・・まあどうせ暇つぶしで始めたことなんだし、関係ねぇか。俺の小説を楽しみにしてくれる読者がいるわけでもねぇ。
さらに一時間経過。なんとなく書き進めてはいるのだが、先ほどから気になることがある。
俺の寝室からなにやらカリカリと音がするのだ。呪文のような音まで聞こえる。
まさか・・・とは思いたいがおそらくそうなのだろう。俺は音の主にばれないように扉をそっと開けてみた。
「・・・・・く時二十八分。手を止めて寝室へ・・・って、へぇぇぇ!?」
熊でも出たかのように俺の方を振り向いた。てめぇ、ずっと観測とやらをしていたのか。
「いえっ、いえっ、、あのぉ〜これはぁ〜」
宇宙人をどけて音の正体をじっくりと観察する。ほぉ、俺の行動が何から何まで書かれているな。寝た時間から寝返りを打った回数まで事細かにかいてあるな。なになに、寝言まで言っていたのか俺は。・・・ってかなり恥ずかしいぞこれは。
・・・なぁ。頼むから、この記録抹消してくれないか。恥ずかしくてお嫁にいけません。
「マサトさんのお願いですからデリートしたいのは山々なんですが、仕事なので・・・」
それは無理ということですか。
「はい・・・・ごめんなさいぃ・・・ぐすん」
いやぁそこで泣かれてもな。てかキャラクターが泣いてる所を文章で著すのって意外と難しいな。
「・・・んまぁわかったから、そのかわりそれを報告するのは上司だけなんだな?」
そうでないと困る。なんせこんなに恥ずかしい寝言だ。親に聞かれてみろ、ぶたれるかもしれん。
「えと、えぇとえと、確かに上司だけなんですけどぅ・・・・ひっく」
何か嫌な予感がするのは気のせいか・・・?
「このデータは宇宙公衆波に載せて送信するので途中でハッキングされるかもです。だからだから、地球の方のハムオタクの方に知られてしまう可能性が・・・」
ハム・・・っておい。非常識な事象を操る宇宙人が宇宙間交信に使うのは無線周波数かい。なんでそこだけ地球の技術なんだ。
「あの・・・それはいえません・・・・ぐすん、だって・・・読者の皆さんが悲しむから・・・うぇっ・・・」
わかった。もういい。お前の言う読者とやらが何なのかはよく判らんが言いたくないってことだな。
・・・っておい。もう午前7時じゃねえか。学校にいかないと・・・いけないんだよなぁ。
いきたくないのに。ただでさえいってないんだからいきづらいんだよ。