表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

chapter3 初めてにして久しぶりの学園

初めて久しぶりにこの学園にやってきた俺。だが日が重なるように転校生がやってきた。ただの偶然であることを願いたい。

この学園初日の昼休みがやってきた。俺は自分で自分のために弁当を作るなどという虚しいことはしない主義なのだが、都合の良い事にこの学園には購買部があったので、焼そばパンとフルーツ牛乳を買って屋上にでもいって食べることにした。

・・・とまあここまではいい。問題はこの直後に起きた。屋上へと通じる階段の手前は十字路になっていて、直進すれば階段なのだが右側には保健室があるのだ。朝のホームルームでいきなり吐血して倒れるという偉業(?)を成し遂げたミハルが保健室から出てきた。

―うわっ!?危ないなぁ〜。そういえば君は同じクラスに転校してきたサクラザカさんだったよね?―

みたいな感じで爽やかに挨拶をしようと思った矢先、なんとミハルは見事にすっ転げ、俺にもたれかかる形となってしまった。それだけならまだいい。青春と呼ぶにふさわしい実に嬉しいハプニングだからな。

問題は、もたれかかってきたところに朝俺に突っかかってきた委員長がやってきたことである。

「っ!?ハ〜ル〜キ〜く〜ん?初日だからいろいろと教えてあげようという気持ちはわかるけどねぇ〜!?」

誤解だ。貴方様はもの凄い勢いで誤解なさっている。

「何が誤解なのかな〜?いくら彼女が病弱だからって、いきなりそんな関係に持ち込むわけ?信じられない!!これは当局に連絡しないと!」

委員長・エミがいう当局というのが職員室であるということが判明したのは彼女が職員棟に向かおうとしたときだ。

「ま、待て!違う!これはだな〜、俺が飯を食おうと屋上に向かおうとしたらだな、保健室から出てきたサクラザカとばったり出会ってだな、それでサクラザカがいきなり転んで・・」

「・・・・ふ〜ん。目は嘘をついてないようだし、そういうことにしておいてあげるわ。」

・・・ふぅ。助かった。これで初日から変態男というレッテルは貼られずに済んだな。

「・・でも、一般生徒が用もなしに屋上に向かう事は校則で禁止されてるのよ。まぁ未遂だし、これからは気をつけることね。」

そうだったのか。いやぁ〜、あぶないあぶない。・・・って飯食う時間なくなるじゃねえか。

「うぅ・・・朝から何も食べてないし、おなかすいたよぉ〜・・・」

なんですかミハルさん?その媚びるような目は?

「焼きそばパン・・・一度食べてみたかったんですぅ・・・今からじゃ買いにいけません・・・」

それはお願いですか?それとも脅迫ですか?少なくとも俺の第六感はびしびし危険信号を発しているのですが。

「うぅ・・・転んだ所を助けていただいたのはありがたいんですがぁ、どさくさに紛れておしりさわりましたよねぇ・・・?」

そうなのか?一瞬のことで俺には理解できなかったが・・・こういった場合、男性側は圧倒的不利であることは明白だ。・・・ええい!

「じゃあ、これあげますんで。」

「・・・へぇ?いいんですかぁ?ありがとうございますぅ・・・」

美味しそうに食べる彼女の笑顔は百万ドルに値するね。しかし、俺の胃袋は容赦なく食物を要求してきた。・・・黙れ俺の胃袋。家に帰ったら好きなだけ納めてやる。


・・・・放課後。さっさと家路に着こうとした俺にエミが話し掛けてくる。

「ねぇ。そういえばあれ、どれくらいすすんでるの?」

あれってなんだ?俺はテレパシーじゃない。

「小説よ小説。パソコンで書いてるっていってたでしょ?早く見せてよ。」

ああ、あれか。家に引きこもってる間に暇だから始めたやつだな。実は、ある程度プロットが完成してから書き出すことにしていたから、実はまだ構想の一割もかけていなかったりする。タイトルも未定だ。

「えぇ〜?そうなの?つまらないなぁ〜。早く作っちゃいなさいよ。楽しみにしてあげてるんだから。」

そういってもらえるのはありがたいが、今はそれどころじゃねえ。自称宇宙人の身の振り方を考えるので精一杯なんだ。

「・・・まあいいわ。少しでも進んだら報告するのよ。いいわね。」

「どうしてそこまでせにゃならん?」

「い・い・わ・ね?」

・・・・・・はい。


帰宅途中。籠から解き放たれた鳥の如く軽快なステップで帰る俺に、ミサキがちょこちょこっとついてくる。俺の足が速いだけなのか、それともこいつがわざわざ俺の横にきたくないだけなのか。

「・・・なぁ。後ろ歩かれると気になるんだよ。せめてとなりにこいよ。」

というとミサキは、

「申し訳ありませんが、数日間はこうさせていただきたく存じます。マサトさんがどういった行動パターンを踏むのかを観測するのが私の仕事が故、横についてしまうと観測しづらいのであります。」

そうかい。じゃあ無理はいわないが。

結局家に帰るまでの数十分間、ミサキはずっと俺の後ろを歩いたり止まったりしていた。正直ウザかったね。だるまさんが転んだじゃねえんだ。俺が止まったら自分も止まる事ないんじゃないか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ