chapter2 何気なくむかえた朝 第二小節
ただの悪い夢だと思っていたかったのに現実であったことに愕然とする俺。それで・・・
謎の電波少女・ミサキの功績によってどうやら俺は今まで在籍していた県立高校から今向かっている米原学園に通う事になったようだ。百聞は一見に如かずだからな。信じているわけじゃないが実際にこの身で体験しないわけにはいかない。制服だってあるのだからまあ入るまでは怪しまれないだろう。となりにいるこいつを除いては・・・
「何故です?私、どこかおかしな所がありますか?」
おおありだね。まず、身長がだいたい140cmあるかないかというところ。そして、そのサイズにあうブレザーが存在するということ。少なくともブレザーのSサイズっていうのは150cm以上じゃなかったか?更にこいつは、百歩譲って学生であるとしても、学生が所持すべき鞄をもっていない。つまり手ぶらで俺についてきているのである。
「その点ならご心配ありません。」
・・・聞きたくないが一応聞いてやる。何故だ?
「空気中に点在するアルゴンやキセノンに少し修正を加える事によって、書取用具や誤字修正用具に変形させることができます。少々エルグを多量に消費すれば、教科書と呼ばれるものも生成できますよ。」
さいですか。実に便利な機能ダネ。・・・・待てよ。空気からなんでも作れるんなら、もしかするとお金なんかもつくれるのか?
「それは無理です。日本国の経済事情に多大な混乱を招く結果になり兼ねませんから。多少なら地球上における事象に修正を加えることを許可されていますけど、貨幣を造幣することは多少ではすみませんから。残念ですがあなたの気持ちには答えられません。」
俺の気持ちをみすかすな。てか最後の一行は知らない人が聞いたら誤解するぞ。
「はや?それはどういうことです??」
知りたければ・・・そうだな。なんかのギャルゲでもやってみな。てかいつの間にか着いちまったじゃねえか。俺にとっては初めての場所だが・・・・
「・・・よぉ。もう来れるのか?」
ふと後ろから声を掛けられた。誰かと思い後ろを振り向くと、そこには俺の中学時代の親友がいた。
「そういやお前ここに通ってたんだな。
「何いってんだハル?・・・あぁ、そうか。休みすぎで記憶喪失になったんだな。まあいい、同じクラスのよしみだ。ついてこいよ。」
・・・本当にここに在籍している事になっているらしい。
「ふふふ、おそれいりましたか?」
ミサキのつぶやきは無視することにする。とりあえず親友についていく俺。ああ、ちなみにこいつの名前はタナカ・マサキ(仮名)だ。でもこれ以上の出番はほとんどないだろうから憶えておかなくていいぞ。
マサキに連れられていったところは1−Aとかかれた教室だ。なるほど。ここが”今まで通っていた、これからも通う”教室なんだな。まあ入るとするか。
中に入ると、それはもう知らない面子だらけなのだが、俺が入ってもあまり反応がない。「おお、ハルだ」とか「もう治ったのか?」という囁きが聴こえるくらいだ。つまり俺は結構歓迎されているほうだと解釈していいのだな。
「まあハルをつれてきてくれてありがとうなミサキちゃん。」
なに?こいつも普通に歓迎されているぞ?ていうか同じクラスという設定なのか?疑問に感じている俺にミサキが耳打ちする。
「間違っても私が地球外生命体だなんてこと誰にも言わないでくださいよ。もし言ったら・・・・ふふふ」
・・・・怖い。その行間はなんですか?
「あ〜、ホームルーム始めるぞ・・・ってマサトじゃないか。やっと来たな。もう単位も少ないんだから、あまり休むんじゃないぞ。」
俺とミサキが教室に入ってから少し遅れて名も知らぬ担任が入ってきた。
これからいったいどうなるんだ。・・・かったるいなぁ。