chapter7 お約束・・・ 第二小節
「・・・今までは均衡がとれていたんです。ですから私も表立った行動をとることはありませんでした。ですが、あの宇宙人がこちらに飛来してきて、その均衡が崩れてしまったんです。いうなれば今生物のほうが多い状態なんです。」
生物と死者の数の均衡が崩れると、どうやばいんだ?
「この世とあの世との境にはいわば扉のようなものがあります。その扉は生物の世界と死者の世界の両方から互いに押し合っていて、今はどちらも均等な力が働いているのでその扉が開くことはないんです。ですが、あの宇宙人の登場によってわずかですが生物の世界の方の力が大きくなってきています。このままでは扉が開くことになりかねません。もし扉が開いてしまうと取り返しのつかないことになってしまいます・・・」
・・・この後を聞くのは怖いがここにいるのは俺と精神生命体・ミハルの2人だけだ。俺が聞くしかあるまい。
「扉が開くと・・・どうなるんだ?」
すると、ミハルはしばらく間を空けて答えた。
その後の帰り道。今は午後一時だ。結局俺はあのままミハルが去っていった後も屋上で浅くも深くもない思考を巡らし、何の論理的解決も得ないまま家に帰った。
「・・・あら、ご主人様。お早いご帰宅ですね。」
「・・・・サボりだよ。」
「・・・何か考え事ですか?」
「・・・・まあいろいろとな。悪いがしばらく一人にしておいてくれないか。」
「わかりました。では居間の掃除でもしておきます。」
そういうのは俺がいないときにしておいてくれ。ずっと1人で暇してたってことじゃねえか。
「ところでミサキさんはどうなさいました?」
「・・・ああ、あいつにもいって後から帰ってくるようにいってきた。」
「それでは、ごきげんよう。」
そういうとツクヨミさんは居間へと向かっていった。俺は自室に篭って、パソコンをつける。
パソコンだけはあまり変化はなかった。唯一の変化といえば、ツクヨミさんの入っていたプログラムが変わっていたことだな。ためしに起動してみても、タイトルからネコミミメイドが消えていた。
・・・まあ小説でも書きながら考えとくか。
「もし扉が開くと、か・・・・・でも、やっぱ寂しいよな・・・なんだかんだいって、あいつがここにいることにも馴れちまってるし。」