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サバイバルゲーム その1

取引について更に皇帝から那乃に複数の条件がつけられた


*グーラ帝国以外の国で生活する事

*御子と一切接触しない事

*『魔』を断ち切った際のみ連絡する事

*一切の援助はしない事


 那乃に異論はなかった。ひどい扱いを受けた国と関わりを持ちたくはなかったし、要については多少罪悪感は無くなかったが、自分と違って優遇される立場に居る事と同じクラスと言っても数回しか会話した事の無い相手に対してそんなに依存感を持てなかった。

 そして今那乃は痛む身体を我慢しながら馬車に揺られている。行先は聞いていない。ただ目的地に付けば馬車から下ろされるという事だけが那乃に約束された事だった。

 那乃にとっては何でもよかった。あの恐怖の国から出れるというだけでどんな場所に下ろされても生きていける気がした。幸か不幸か兵士との会話でこの世界の言葉が理解出来るという事も那乃の不安を和らげる材料になった

 馬車の窓から固いパンと水袋を三度投げ込まれた。那乃はそれを一度には食べず、少しずつ食べ、残りは制服のポケットに入れた。

 


 そうして七日経った頃、ようやく馬車は止まった。開けられた扉の向こうに広がる鬱蒼とした森。那乃は恐怖を覚え扉と反対側に後ずさったが、従者に無理矢理下ろされた。そこには一秒でも長く居たくないのか那乃を下ろすと馬車はすぐに来た道を戻っていく。従者からの言葉は何も無かった。



 その頃グーラ帝国では皇帝と大神官が酒を酌み交わしていた。

 

 「宜しかったのですか?娘を生かしておいて?しかも『元の世界に返す』などと…」

 

 少しだけ表情を曇らせた大神官に皇帝は大きな笑い声を上げる


 「ふっはっは!小娘に何が出来るというのだ?『魔』を断ち切る?無理に決まっておろう?あんな小娘、我が殺さずとも送りつけた先ですぐ死ぬわ。それにあの小娘を生かして欲しいと震えて望む御子との約束もこれで違えてはいまい」

 「……」

 「『魔』など日の御子の加護がある今、我らには関係ない」

 「…恐ろしい御方ですな」


 口調とは違い、大神官の口元には卑しい笑みが浮かんでいた。娘はあの鎖国同然の『バルヒェット公国』に捨てられるのだからと自分の胸に浮かんだ不安など些細な事だと消し去った。そんな大神官に皇帝は同じような笑みを向け語る


 「それではそろそろ御子の様子を見に行くとしよう。娘に対する慈悲をより詳しく説明せねばならぬからなぁ。はっはっは。御子はわしに泣いて感謝するだろう」


 そう言い席を立つと、頭を下げる大神官を横目に頷き、重い身体をユラユラと要の部屋へ向けた。それを見て大神官は


 「日の御子も哀れよのぉ」


 と一人呟くのだった



 那乃は自分の下ろされた場所を見て少し安心した、「砂漠だったらどうしよう」とずっと不安だったのだ。

 

 「森があるって事は、水も流れてるはずよね…」


 ここが何処かなど後回しでいい。とにかく生命の維持が必須な今、水場を探す重要性を那乃はきちんと理解していた。そして近くに落ちていたしっかりとした木の枝を手に取ると余計な枝を排除し、簡易杖を作った。傷を負っている身体では水場を探す時間が長期戦になると考え、予めその為の対処をしておく。


 「あたし…以外とサバイバルいけるのかも?」

 

 元の世界でたまたま見たサバイバル番組の内容を思い出しながら、那乃はこの世界に来て初めて笑った。

あぁ…性懲りもなくまた出てきやがったおっさん…。


でもようやく那乃が笑ってくれましたvv

これから頑張ってくれると思います!

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