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バルヒェット公国 その1

 モリーの背はまるでビロードの絨毯のような感覚で、あまりの気持ち良さに那乃は何度も寝てしまいそうになって、その度に白親から『空飛んでるんですよ?死ぬ気ですか?』と怒られた。何か話していないと寝そうになる那乃の為に白親は那乃の居た世界の事をたくさん聞いて、眠気から気をそらしてくれた


 『見えますか?あれがバルヒェット公国です。もうすぐ着きますよ』


 白親に言われて見た先には元居た世界のまるで中世時代を描いた様な街だった。那乃がそれを白親にそのまま告げると


 『ならば那乃の世界は我々の世界より進んだ文明の世界なのかもしれないですね』


 と返事が帰ってきた。


 「でも魔法とかないよ?魔とかも居ないし…」

 『それは世界によっての特徴は様々でしょう。しかし那乃から聞いた民の生活水準からするとやはり那乃の世界の方が文明は進んでいるのでしょう』

 「そうなんだ」


 そんな事を那乃が考えている間にモリーがどんどん地上に向かって降りていく。


 『城の入口に降ろしてもらいますから』

 「うん。わかった」


 静かにモリーが地上に降りると、脚を折って那乃が背から降りやすくしてくれた


 「ありがと。モリー!」


 那乃はモリーの首に顔を埋めると、グリグリと顔を押し付け愛情表現をした。モリーもそれを喉をグルルと鳴らして喜んでいる。

 那乃がモリーから降りると、モリーは鼻先を那乃の身体に押し付け、その後「クゥーン」と一鳴きした後にまた空に戻った


 モリーが空に消えた後、周りを見渡すと突如空から現れた少女にそこに居た人達は戸惑い、騎士は剣を構えている


 「え…っと」

 『那乃安心して下さい。白親の使いで来たと言えば公爵まで話が通るでしょう』

 「わ…わかった…」


 那乃が息を吸い込んで話しかけようとした途端、騎士の一人が那乃に向かって言った

 

 「あ…貴方は…?」

 「あ…白親の、使いで…きました」

 「白親様の!?」


 周囲がざわめきに包まれ、騎士達が「すぐに公爵様にお伝えしろっ!!」と怒声を上げていた。そして気がつくと目の前の騎士が膝をついてこちらに頭を下げていた


 「え…あ…あの…」

 「白親様の使いの方とは存じなかったとは言え申し訳ありませんでした」


 グーラ帝国での待遇との余りの差に、那乃は戸惑うばかりだった。

 ここに白親が居るとわかればもっと大きな騒ぎになりそうだったので那乃は周りに聞こえない程度の声でそっとフードに居る白親に声を掛ける


 「ハクってそんなに偉いの!?」

 『…まぁ…人とは違いますから…』

 「凄いね〜ハク」

 『………』


 その答えを聞く前に、城の扉が開かれ中から騎士とは違う一目で高価だとわかる衣服を来た集団が向かってくるのが那乃の目にとまった


 『あれはこの国の高官達です』

 「え…偉い人…?う…あたし…先生とか…そういう類いの人苦手なんですけど…」

 『那乃心配しなくて大丈夫ですよ。グーラ帝国でのような事は絶対ありませんから。公爵の所まで案内してくれるでしょうから言われるままに付いていって下さい」

 「う…うん」


 那乃はそう白親に返事すると、その高官達の一団が自分の所へ来るのを見守った

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