九十五. 二人の仲と思惑
遅れてすいません!
テストがありまして、しばらくのPC禁止期間だったんです!
今日から開放ということで更新させていただきました。
かなりの急展開、というか早い展開ですがどうぞ!
いらっしゃいませ、ご主人様。なんて言葉が教室に響き渡る。
水裟は思っていたのだ。ブスかもしれないこの博打喫茶に来る物好きなどいるのだろうか、と。須永が親のためにやっているなんてわけは、まず、ない。親が今の子供の姿を見れば泣くだけだ。
つまり須永の狙いと言えば、カメラをぶら下げてリュックを背負い、痛いTシャツを着、鞄からはポスターがはみ出る。そんな奴らを狙っているのだ。一応ここは高校だということを理解してほしい。
「それがなぜこんなに繁盛する?」
なんてことを、レシートを巻きながら水裟は呟く。無理もないといえば無理もない。
そう、この3年E組の教室には、まさに先ほど記載したようなやつらが集まっている。迷彩柄の鉢巻き、リュックからはみ出たアニメのポスター。へそ辺りでぶらぶらしているカメラ。本当にそんな奴らが来ている。高校に何を求めているのだろうか。
かなり教室が盛り上がっている中、水裟はただ、レジのボタンを押し続けた――。
☆
それから数時間が経ち、出し物もひとまず休憩となり、生徒は昼ご飯を食べ始めた。ちなみに奏が泣いていることに関してはスルーする。
何やら口コミでそこそこ広がり、この出し物はそこそこ有名だそうだ。それを証明するかのように、次々と客が増えていった。その中にはレジ打ちがエグイ、みたいな意見もあったらしい。
さて、ここからはもう遊ぶだけの文化祭である。午後からは水裟はフリー。あっちに回ったりこっちに回ったり自由だ。これでこそ文化祭、という感じがする。
矢筈は午後からホットケーキをひたすら作るので遊べない。雛流は生徒会長なので遊んでいる場合じゃない。大牙は屋台で焼きまくっている。奏は吹奏楽部の演奏がある。
これらを踏まえて暇なのは――。
「――冬菜と八千代……」
また凄い二人が残ってしまった。そう思いつつも、呼ぼうとする水裟がいる。
☆
「うおおおおお! 屋台だぁあああ!」
「うるさいですね」
「うるさいわ!」
「言い返さないでください」
校舎から出た水裟、八千代、冬菜の三人は、グラウンドに立ち並ぶ屋台を見て歩きまわっていた。子供のように無邪気にはしゃぐ八千代と、それを罵倒する冬菜。予想通りの展開に、水裟も思わず口角を少し上げてしまう。
ただ、初めてあったときよりは距離が縮まっている気もした。何だか、小さい頃の水裟と八千代を見ている気分になった水裟だった。
そして最後に向かったのは体育館。今年は文化祭の締めとして、吹奏楽部が豪華なメドレーでお送りするらしい。
大人気アイドルグループの曲から懐かしの曲まで、幅広く楽しめる演奏だった。
特に大きなことはなかったけど、なぜか心に染みた文化祭だった。
それは、意外な光景を見たからだろうか?
☆
「ん~、どう思う?」
「何がですの?」
「炎石は世界を手に入れるために水氷輪を狙ったそうなんだ」
「これまた新しい意見ですわね」
「もしかしたら地獄も……」
「可能性はありますわね」
「調べてみる必要がありそうだな。資料がどこにあるか教えてくれんか? 海梨」
「ええ、お任せください――」