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八十. 炎石最終決戦

 八千代はビー短を構え、その獣に突っ込んでいった。また、考えもなしに。

 冬菜も仕方がなく双剣を構え、大きな獣へと向かって走っていった。

 パッと見で、勝てる確率はほぼなさそうだ。獣がどれほどの力を持っているかは未知数だが、冬菜は結構大きな傷を負っている。八千代は普通に動けているのだが、無傷というわけでは決してないのだ。

 だがそれは「現時点」の話である。この部屋に続く道は四つある。その一つは八千代と冬菜が通ってきた道。という風に考えると、他のメンバーもやってくるかもしれない。

 僅かな希望を抱きながら冬菜と八千代は獣と向き合う。

「黒暗定紋風雷斬」

 黒い斬撃が獣に襲い掛かる。その斬撃は、獣に向かって飛んでいくとなると、蚊のようなサイズに見えた。

 獣にはもちろん当たった。体が大きいという長所を裏返すと、攻撃が当たりやすいという短所になる。それを冬菜は今利用したのだ。

「とにかく、攻撃を当て続けてください!」

「了解!」

 冬菜が瞬時に八千代に指示を飛ばした。命令するんじゃねぇ! とか八千代は思ったが、今は素直に承諾しておく。

「光撃斬!」

 太陽のような光を持った衝撃波が獣に襲い掛かった。これも獣と比べたら蚊のようなサイズだ。

 その衝撃波も獣には命中した。

 しかし、獣は全く痛そうではなかった。かゆそうに技が当たった部分を掻くだけだった。

 冬菜たちの攻撃は、獣にとって蚊が止まったくらいだった。たまに攻撃されたことに気づくくらい。

「…………」

 こんなのに勝てるのか、と冬菜は思う。それは八千代も同様だった。

 炎石のラストバトルは、なかなか終わりそうにない。


 ◇◆◇


 場所は移って廊下。その廊下は紛れもなく、冬菜たちが待つ部屋へ続くものだった。

 その道を、雛流と大牙はゆっくりと歩いていた。あまり激しく動かして傷口を開けるのも馬鹿な話だからだ。

「それにしても……結構長いわね」

「ああ、そうだな。ま、なんだかんだ言ってさっきの部屋が一番初めのところだったし、無理もないだろう」

 それを聞いて雛流は、はぁ、とため息を吐いた。ため息をしながらも、今は次なる部屋を目指して歩き続ける。


 ☆


 矢筈と須永も次なる部屋を目指して廊下を歩いていた。

「待っててね、八千代さん! 僕がピンチを救ってあげるから!」

「八千代さんピンチなんですか!?」

「そんな設定を望む」

「望まないでください!」

 もしかしたら望み通りになるかもしれないとは知らず、彼らも冬菜と八千代がいる部屋へ着実に歩を進めていた。


 ☆


 みんなが冬菜と八千代がいる部屋へ向かう中、奏は未だに同じ部屋に座っていた。やはり、一人で戦った疲労が重かった。そこで体が楽になれば行く、というようなものが、彼女の状態から見受けられた。


 こうしてそれぞれが動き出す。

 本格的に炎石最終決戦が始まる――。

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