七十四. 雷の球体
受検終わったぁああああ!(これを予約したのは3月6日です)
自由って素敵w
これからもがんばりますのでよろしくです^^
狂った笑いを浮かべる熱刃。それに体が反応しない雛流と大牙。文字通り、絶体絶命だった。
熱刃はゴーゴーと燃え盛る部屋を歩き、雛流と大牙の前までやってきた。そして、ドンッ、と音を立てて地面を踏み、熱刃は右足に力を溜めた。
「この技で殺してあげます~」
そう言った熱刃の足にはどんどん周りの炎が集まってきていた。この状況、熱刃の得意技から考えると、間違いなくその足で蹴ってくる。灼熱の足で蹴ってくる。
このままでは本当に死んでしまう。大切な仲間を助ける前に死んでしまう。
そういう思考が雛流と大牙に廻った。その思考、反射的に体が動いたのは大牙だった。
震える足で再び立つ。恐れた震えでなく、疲れた震えだった。もう大牙の体は限界に近かった。しかし、このまま水裟を助けれずに倒れるわけにもいかない。そして、ほぼ動けない状況の雛流が殺されるわけにもいかない。なら、少しでも動ける自分がやるしかない。
大牙は自分の先についている鋭い爪を熱刃に向けた。あいつの足に炎が溜まる前に、俺の爪に集めてやる。そう思いながら。
しかし、熱刃の足にはもうたくさんの炎が集まっていた。大牙の爪に溜まった炎は少量。勝負は誰にも、手に取るように分かった。
――大牙が押し負ける。
それでも大牙は突っ込むしかなかった。大きな熱刃の足に。蝋燭とキャンプファイアーくらいの差だ。
熱刃の堅い靴が大牙の堅い爪にぶつかる。音だけで、火花が散っているのが分かるくらい、鈍い音が部屋に響き渡った。
結果は――大牙が押し負け。
大きな炎の熱刃の足が大牙の顔に近づいていく。
――終わった。
大牙はもう諦めていた。力でカバーできるなんてものではない。熱刃の力が絶大すぎる。
――ここまでか……。
「十分だよ。大牙君」
と、大牙が諦めて技を食らおうとしていた時、部屋の端っこから声が聞こえた。
「朝希……?」
そこには、先ほどまで動けないほど傷を負ったとは思えないほどしっかりと立った雛流の姿があった。その手には知の雷電銃。銀色のツインガンがあった。
「雷球銃!」
銃口をすぐさま熱刃に向け、発射する。
熱刃は大牙にしか意識が行っていなかったため、雷球銃に反応するのが遅れてしまった。
黄色の電気で纏われた球体が熱刃に襲い掛かる。それが熱刃の前に迫ったときが、熱刃の勝利から雛流たちの勝利に裏返った瞬間だった。
☆
部屋は焦げていた。灼熱、ファイアクロウ、炎の足で蹴るやつ、雷球銃。こんなに焦げる要素があれば焦げるのも当たり前なのだが。
「いつの間にあんな技覚えたんだよ?」
「この前」
「大雑把だなおい!」
「ま、勝ったしいいでしょ」
「……まぁな」
まだ動ける雛流と大牙は部屋から出、他のメンバーとの再会を目指した――。
次回は矢筈&須永です。