六十七. 太陽と海と雷と
矢筈と須永は右に続く階段を歩き、部屋を目指した。
温度に至っては左側と変わらず、炎石の中では平常に保たれている。
そして部屋に着くと、次は二人いた。二人とも女性である。
「ようこそ。私は右陽」
「私は左陽。二人とも炎石護廷7。さぁ、早速始めましょう、戦いを」
そう言って矢筈たちが準備をする暇もなく攻めてきた。
右陽と左陽は両サイドから二人を囲み、一気に挟み撃ちにする。
「はやっ……!」
須永は全く反応できなかった。矢筈も同様に。
右陽と左陽が拳をしっかりと握る。すると急に太陽の如く光だし、また、巨大化した。そのまま矢筈たちを押しつぶしに掛かる。
『太陽圧縮!』
その大きな拳に両サイドから押しつぶされ、大きな爆風が巻き起こった。それからも分かるように相当大きな威力なのだ。
押しつぶされた矢筈と須永はよろめきながら立ち上がり、ようやく戦闘態勢になった。
「行きましょう。須永さん」
「了解!」
そう言って矢筈は剣を構えて右陽と左陽に向かって駆けていった。
その剣に雷を走らせる。普段は雛流との連携技に使う技を単体の技として使用する。その雷剣で斬りかかるも、あっさりと右陽と左陽はかわしてしまう。
だが、それも作戦の範囲内である。というかあの技であっさり当たってもらっても困る。
「弧を描け! ドルフィンブースト!」
矢筈が斬りかかったときに出来た僅かな隙を利用して須永がブーメランを発射させた。華麗に海を泳ぐイルカの如く、速いスピードで右陽と左陽を狙う。
右陽と左陽は矢筈の攻撃をかわした僅かな反動、隙を突かれ、うまく回避することができなかった。
そのままドルフィンブーストはクリーンヒットし、右陽と左陽も少し傷ついた。
「うっし! 準備は出来てるだろうな?」
「もちろんです!」
更にラッシュは続く。今度は矢筈が、先程右陽と左陽を斬り損ねた場所で剣を地面に突き刺している。柄には黄色の魔法陣が描かれ、そこから無数の雷鳥が飛び始めた。
「雷ノ鳥群!」
その鳥たちが雷を発射しながら右陽と左陽を傷つけていく。今回も、ドルフィンブーストの反動でうまく動けず、鳥たちの餌食となった。
そこでラッシュは終了した。太陽圧縮のときよりも凄まじい砂煙が捲き起こった。
だが、もちろんこれで倒れるはずもなく、右陽と左陽が立ち上がった。
「意外とやるもんですね。天国と聞いたのでてっきり弱い者かと」
そう右陽が言った。
するとまたもや二人ともの拳が光だした。
「本当にこの技を出すんですか? 右陽さん」
「しょうがないでしょ。出さないまま負けても意味ないじゃない」
そう言って二人は新たな技を放った。
奏「次回は私逝きます! じゃなくて……行きます!」
八「いきなり不謹慎に感じるんだが」
次回もよろしくお願いします!