六十四. 突如の炎石の使者
またバトルに入っていきます。
二学期に入り、更に天国での技磨きの日々が多くなってきた。
というのも、なんだかんだ言って地獄戦はもう半年後なのだ。遠そうで近い時期に来ていた。
残暑が厳しい中、ひたすらに技を放ち続ける。
◇ ◆ ◇
すると急に暑さが増してきた。いや、熱さと言うほうが正しいだろう。太陽のある方向を全員が向く。すると、炎の雲に乗った人が水裟に襲い掛かってきた。
「なっ……!?」
突然の行動に全員が驚く。全員が瞬時にかわすのだが、その炎の使者はピンポイントで水裟を狙い、水裟をさらっていった。
「俺は炎石の使者、炎道紅蓮。水氷輪を奪いに来た。このとおり、水氷輪と姫はいただいていくぜ」
紅蓮はそう言って炎石へと向かっていった。
しかし、天国護廷7はただボーっと見ているだけではない。奏が弓を構え、紅蓮に狙いを定めて発射する。
「ブロンズアーチェリー!」
銅色の矢が紅蓮に襲い掛かる。それに反応した紅蓮は手のひらを差し出し、炎で簡単に焼き払ってしまった。
「嘘……」
「余計な事しない方が身のためだぜ」
それから天国護廷7はどう抵抗することも出来ず、ただ見つめるしかできなかった。
■
「……急に何だったんでしょうか……」
いまいち状況を把握できていない天国護廷7一行。それもそのはず、いつもどおり技を磨いていたときに突如現れ、素早く水裟をさらっていった。いきなりすぎる出来事に頭の中で整理がつかずにいた。
そんな時、雛流が口を開き、今分かることを整理し始めた。
「とりあえず今分かっていることは、あの男の名前が炎道紅蓮。出身は炎石という場所。水裟をさらった目的は水氷輪の奪取」
そう考えると、親切に自分から色々と墓穴を掘ってくれている。特に場所は貴重な手がかりだ。水裟を取り返しに行くことが可能になる。
「行きますよね? みなさん」
矢筈が他のみんなに聞く。
『もちろん!』
そう言い返し、炎石での戦いが幕を開けた――――
◇ ◆ ◇
天国から空を飛べる遊覧船に乗って、天国護廷7は炎石へと向かっていった。近くなるにつれて気温が上がってくるのがよく分かる。まだ炎石についてもいないのに、冷房の効いている遊覧船はすでにサウナ状態だった。
みんなが汗を拭きながら、炎石への到着を待っていた。
しばらくすると炎石に到着し、みんなが一斉に降りる。
炎石は本当に気温が高い。いや、高いというレベルではない。矢筈たちも天国の使者で、なおかつ道具を使わなければすぐに溶けているだろう。
頂上からはプロミネンスのようなものが飛び交い、その周りにはコロナのようなガスの層もある。まさに太陽そのものだった。
入り口からも凄い熱気が伝わってくる。
今矢筈たちは、天国の特産物、『冷却の翼』という、背中からどんな熱さにも対応できるという優れものを使用しているため、炎石でもいつもどおりに立っていられた。
「……行きましょうか」
矢筈がそう言う。他の天国護廷7のみんなも無言で頷き、炎石へと入っていった……
八「おいおい、またバトルに入るのかよ」
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八「あ、そうか。水裟いないのか」
次回もよろしくお願いします!