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五十六. 入ってきた少女

臨時復活期間を使って書きました~。

もしかしたら12月中は書き続けるかもしれません。

 水色と黒色の混じった藍色の風が風定と恭賀に襲い掛かった。

 その旋風は空を渡り、二人に天罰を与えているかのようだった。

 あまりの風の強さに、二人は吹き飛ばされてしまう。服はびりびりに破れ、傷もかなり大きな物だった。

「……なんであいつらあんなに怪我してるんだ?」

 水裟はそれが不思議だった。

 水裟が発動させる『氷の旋風陣』はただの吹雪といっていい技だ。その中に小粒の氷が何個も入っている。そして相手に襲い掛かる、まさにブリザードなのだ。なので、体が冷えて固まることは普通にあるが、服が破れたり切り傷が出るようなことは一切ない。

 そんな疑問に対し、冬菜があっさりと答えた。

「私の黒旋風には小粒程度の刃が入っているので」

「ああ、なるほどね」

 その刃が二人を切り裂いた、ということになる。そして二人は凍ってしまって動かない。まさに最高のコンビネーション技なのだ。


 しばらくすると風定が動けるようになり、恭賀を抱えて水裟たちに言った。

「今回は俺たちの負けだ。だが、次の戦争では負けねぇぞ」

 そう言って風定は暗黒の翼を広げ、地獄へと帰っていった。


「一件落着……だね」

「そうですね」

 二人は顔を見合わせ、少し笑った。すると冬菜が急に頭を下げ、お礼を言った。

「助けていただいてありがとうございました。……では」

 冬菜は水裟にそう告げ、水裟から離れていった。

「ちょーっと待て!」

 水裟が大きく手を広げ、そう言った。

 それに驚いて冬菜は振り返る。水裟はニッと笑って、提案をした。


「暗の水氷座に着け!」

「……は?」

 まさかの提案に冬菜はクエスチョンマークを浮かべる。そして少し俯いて考え出した。

「どうせ行くとこないんだろ? だったら、私たちの仲間になれ!」

「……ですが、私なんて何の役にも立ちませんよ。必要ないですよ、今の天国に私は」

「必要だから誘ってるんだ!」

「…………」

 そう言われて冬菜は再び俯いて考え出した。

 ――初めて……といっていいほどに心が揺らいでいる。絶対に存在しないであろうと思っていた人が目の前に存在している。自分を必要とする人。

 冬菜の心は、完全に偏っていた。一つの意見に。


 冬菜は綺麗な白い手を前に差し出し、決意の言葉を言った。

「よろしくお願いします。私が、姫を守ります」

 それに水裟はニッコリと笑って答えた。

「こっちこそ、よろしく」


 こうして、最後の水氷座、暗の水氷座も埋まって、一番寒い夏は明日を迎えた。

八「やっと次から私が出るんだな!」

水「まぁ、そうだね」

冬「何ですか? このテンション高い人は」

八「てめぇこそ誰だよっ!!」


次回、「五十七. 八千代さんが帰ってきた」よろしくお願いします!

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