五十四. 水神打撃と二刀流剣
水裟が加わり、再び戦闘は始まった。
冬菜が先ほどの戦いで傷を負ってしまったので、戦闘では珍しく水裟が前の方に出て戦闘を開始した。
すると、やはり攻撃国の地獄は、しっかり水裟たちの陣形を崩す体制をとってくる。もともと水裟たちの作戦は、冬菜に負担がいかないように水裟がカバーするというものだったのだが……最悪な状況になってしまった。なんと冬菜を倒すのに上がってきたのは風定だった。そして水裟は恭賀に進路を塞がれた。
「ほ~ら、僕を殴るんでしょ、お姫様?」
「なめやがって……!」
とかいいつつも、水裟には対策があった。親もおらず、実質1人暮らしの水裟は、みんなと違って旅行なんかに行かないのである。つまりは……天国に引きこもっていたのだ。
「ちゃ~んと殴ってやるよ!」
そう言うと水裟は胸の前で腕をクロスし、そこから勢いよく両腕を広げた。すると水裟と動きがシンクロする魔人が後ろに現れた。
そこから空へ飛び、手を握った状態で上に挙げて殴りかかる格好になる。
「天国引きこもり生活で身につけた技!」
『水神打撃!!』
その魔人をコントロールして、恭賀を思いっきり叩きつける。
地面がめちゃくちゃになり、大きくへこんでしまった。
恭賀からは大量の血が溢れ出した。そしてその場で倒れてしまった。
*
逆に冬菜は苦しい戦いとなっていた。力を失った自分と、地獄最強の力を持っている風定。敵わないなんて冬菜は理解していた。
それでも冬菜は戦い続ける。死んでも変わらないはずなのに生きるために戦い続ける。
ボロボロになりながらも、双剣を落とすこともしまうこともなく立ち向かい続ける。そして……
冬菜は決して風定に背中を見せなかった。
それで冬菜は覚悟を決める。今の体には負担が大きい技、それを使わざるを得ないと考えた。
「黒暗定紋二刀流剣!」
黒い大きな双剣へと化した冬菜の双剣。あの時楽に持っていた双剣は、今の体にはずっしりと重く感じた。
それでも双剣を落とすことなく、背を向けることなく冬菜は攻め続けた。
その行動にイライラし始めている風定は、さっさとケリをつけてしまおうと思い、剣に黒い妖気を纏わせた。
それに反応した冬菜も、双剣に黒い妖気を纏わせる。
そして2人同時に攻撃を放った。
『黒暗定紋風雷斬!!』
黒い2つの斬撃同士がぶつかり合い、大きな爆発が起こる。
煙がおさまったときに見えたのは、冬菜の倒れた姿だった……
ここで、重要なおしらせです。
この作品、和の水氷輪を、作者の事情により、しばらく更新停止、休載いたします。
少ないとは思いますが、読んでくださっている方にはご迷惑をおかけすることをお詫びいたします。
再開は10月中と考えています。
それまで待ってくださると嬉しいです。