五十. 落ちてきた少女
五十話達成~!
早いな~。もう五十話か……
これからもよろしくです!
天国護廷7のほとんどのみんなは旅行や部活やらで日向町にいるのは水裟と矢筈と雛流くらいだった。雛流は生徒会の仕事で忙しいし、矢筈は天国での仕事や地上での仕事の疲れが出て、今は寝込んでいるらしい。どうやらしばらくは水裟だけでの暗の水氷心探しとなりそうだ。
今は夜の10時くらい。扇風機だけで過ごすにはなかなか難しい暑さだった。
そのまま眠れず、時間は0時になっていた。とりあえず起き上がった水裟は、眠たくなるために小説を読み始めた。しばらく読んでいると……
「ん? 何か外で大きな音がしたような……」
外でドシン! と大きな音がした。しぶしぶ窓を開けてみると、信じられないものが落ちていた……というか倒れていた。
「あれって……人じゃないか!?」
黒い服をきた可愛い女の子だった。おそらく日向町の住人じゃない。長い間日向町に住んでいる水裟だったが、1度も見たことのない少女だった。
ほっとくわけにもいかないので、水裟はとりあえずその少女を部屋の中に入れた……
*
しばらくすると目を覚ました少女はすぐに起き上がり、辺りをきょろきょろして、水裟の姿を見て驚いた表情を浮かべた。
「天国の……姫……」
「!? 何でその事を……」
水裟もその発言には驚いた。ということは……天国に関係がある人という事になる。水裟はじーっとその少女を見た。するとどこかで見覚えのある顔だった。綺麗な銀髪のストレートに長くのびた髪。キラキラ光る碧眼……
「もしかして……地獄の暗の黒暗座に着いていた人じゃない? 出来れば名前教えてよ」
「まぁ……間違ってはいないですね。名前は愛沢冬菜です。あなたは和月水裟でしたよね?」
「うん、そうだよ」
そう、この少女は暗の黒暗座に着いていた者だった。黒眼などの技でとても苦戦した相手だ。
「で、あんな夜中に、しかも道の真ん中で何で倒れてたんだ?」
その質問を聞いた冬菜は少し悲しそうな顔をして、普通に答えた。
「捨てられたんですよ地獄に。私みたいな力不足は必要ないという事でしょう」
水裟は普通に驚いた。あんなに強かった冬菜が捨てられたという事実に。それを聞いた後に冬菜を見ると、なんだか弱々しく、今にも綺麗な碧眼から涙が出そうだ。
するとスクッと冬菜が立ち、水裟の家から出ようとした。
水裟は無言で冬菜に着いていった。
「本当に行っちゃうの? 何なら私の家で休んでてもいいけど?」
「いえ、これ以上迷惑をかけるわけにはいけません。助けてくれたことを感謝します。和月姫」
「別にいいけど……」
そう言って冬菜はドアを開けて外に出て行った。ドアを開けた瞬間に太陽の明るい光が差し込んでくる。
すると、冬菜がその場でバタリと倒れた。
「おい! 大丈夫か!?」
水裟が駆け寄る。意識はあるようで「大丈夫です……」と小さな声で言った。このままほっとくわけにもいかず、自分の部屋に連れて行き、部屋を涼しくしてベッドに寝かせた。
そこで水裟は心の中で思ったことがあった。
(捨てられた1人ぼっち……クールで物静か……助けを求めてるかは分からないけど、もしかして……!)
ほとんどが当てはまった。暗の水氷心を持つ者の条件に……
水「え~、次話、逃走です」