五. 氷の舞
水裟が水氷輪をはめた途端、姿が変わった。
青と水色と白が混じった綺麗な和服。
氷と水を基調にした扇。
「王……あれは……?」
「忘れはせん。あれは『和の水氷輪』だ。昔、『陽月火裟』という姫がいた。その者が一回見せた姿……それが和服に扇と、和の格好をしていたため、和の水氷輪と呼ばれている。その姿は、見てるだけで冷気が伝わってくる美しさだという」
(見てるだけで冷気が伝わってくる美しさ……どんなんだよ!!)
矢筈は心の中でつっこんだ。
「はっ、姫か何か知らねぇが……勝つのは地獄だ!!」
地獄の使者は暗黒の剣を空に上げた。
「黒暗定紋風雷斬!!」
暗黒の剣が水裟を襲う。
「姫……危ない……」
矢筈が叫ぶ。
水裟は扇を前に突き出した。
その扇を使って扇ぎだした……
すると、扇がれた黒暗定紋風雷斬の波はたちまち凍っていく……
「あれは……氷の舞!!」
「氷の舞だと!?」
「王……氷の舞って……」
「氷の舞……扇で扇いで出した風は、水氷輪の影響で、凍りつくような温度の風となる。それは、何もを凍らすという……」
凍って動かなくなった黒暗定紋風雷斬。
封じられた地獄の使者は驚いた様子だった。
その地獄の使者に水裟は寄って行った。
「もう終わりにしましょう、この戦いは。あなたたちの負けです」
「ちっ……氷の舞とは……予想外だ」
「一旦退くとしよう」
「最後に名前を名乗ってやる。俺は黒沢風定」
「僕は暗上雷紋だ……」
「じゃあな。今度は絶対水氷輪を奪ってやる」
そういい残して、2人は帰っていった。
水裟は、水氷輪の能力を使って矢筈を回復させた。
「ありがとうございます、姫」
「いえいえ……」
バタッ!!
「姫!!」
「完全に姫の水氷心が受け継がられたようだな……」
「え? じゃあ……」
「ああ。こいつは、天国の53代姫だ」
「53代姫か……あっ、そういや……」
「どうした? 矢筈」
「王って陽月さんの時代に和の水氷輪を見たんですよね?」
「ああ、それがどうした?」
「歴史で習いましたが……陽月姫って……16代目ですよね……」
「……」
「王っていったい……何歳なんですか!?」
王は後ろを向いて言った。
「乙女に年を聞くなんて最低よ……」
そのまま天国に帰っていった。
(男じゃねぇか……)
矢筈は、水裟を抱えて天国へ行った……
次話からやっとあらすじに書いているほのぼの生活っぽくなります。
次話は……まぁ今週中には更新したいと思ってます。