四十七. 夏休み
夏真っ盛りの時期。影月高等学校はもうすぐ夏休みを迎えようとしていた。というか今日が終業式だ。そんな時の3-E教室……
「もうすぐ夏休みだし、どこか行こうよ! 海とか、海とか、海とか!」
「分かった八千代。海はなしだな」
「酷い……」
水裟と八千代、奏と雛流の4人で夏休みの計画なんかを練っていた。とにかく遊びのことしか頭にない。
ただ、一応は受験生。夏期講習や勉強などでなかなか日にちがあわなかった。
そしてその日のHR……
担任の鈴木先生が話をしている。とりあえずは皆帰りたがったいる。まぁ普通のことだろう。
*
ミスター・チョークの地獄のHR、そして校長のお話夏の1時間SPを聞いて、やっと帰れる時間になった。今日はどの部活も休みで、水裟は天国護廷7の6人を帰りに誘った。
「珍しいね、水裟ちゃんが一緒に帰ろうなんて」
「まぁね」
奏や大牙といった新学期になって新しく入ったメンバーももちろんいる。そこで水裟が急にピタッと止まった。
「矢筈! 準備は出来てるか?」
「OKですよ。奏さん、大牙さん、動かないでくださいね」
矢筈は両手に白い物体を持っている。そうぶつかったら背中から白い翼が生えてくるやつだ。奏と大牙はまだ天国には行ったことがないので、とりあえず1度は連れて行っておこうという水裟の考えだ。
矢筈は白い物体を思いっきり2人に向かって投げつけた。すると白い翼が背中から生えてくる。もちろんしまうことも出来るので学校に行くにも生活にも困らない。
「よし! 今から天国に向かう。2人とも気絶しないように!」
「「アイアイさー!」」
水裟たちは翼を広げ、天国に行った……
*
どんどんと上空へと進んでいく水裟たち。そしてやっと見えてきたところで「あれが天国だ」といい皆がそこに着地する。そこには天等王が出迎えてくれた。
「おお、久しぶりじゃな。水裟、お前は六話で約束したことを簡単に破りおって……」(もちろん六. 学校に戻ろう 参照)
「ああ、そういやそんなのあったな~」
「はぁ……まぁいいじゃろう。そこの2人が音の水氷座に着く者と体の水氷座に着く者か……ってそこの男気絶しとらんか?」
よく見ると大牙が気絶している。天国にやってきた途端に気絶したそうだ。このまま魂の墓に入れるか……
大牙はほっといて、皆はテラスに行って話し合いをした。王が話し始めた内容は残った水氷心についてだ。
残る水氷座は暗だ。実はこれがすごい難題なのだ。天国護廷7が完全に完成したのは第16代の火裟姫の時代のみ。その他の姫たちは暗以外は集まったものの、暗の水氷心を持つ者が集まらなかった。その例が海梨姫である。海梨姫は暗の水氷心を持つ者のみ集められなかった。そう考えるとやはり火裟姫は特別に感じる。
「そこで聞きたいんじゃが、暗の水氷心を持つ者の特徴を満たすものはお主らの学校にいるか?」
暗の水氷心を持つ者の特徴は、本当の1人ぼっちで物静か。だが心のどこかで助けを求めている人だ。前からも言っているように、影月高等学校には本当の1人ぼっちという人がいない。物静かな人はもちろんたくさんいるが、心のどこかで助けを求めている人もいない。ということは……
「暗の水氷心を持つものは外部の人っていう事になる」
「そういうことよね……」
「それってかなり難しくない?」
雛流、水裟、奏の天才3人が悩んでいるのを新鮮だな~といった感じで見ている八千代と須永。
「そこでじゃな。お主らの中に夏休みに旅行に行く人もいるじゃろう。その時に特徴に当てはまる人物を見つけたらすぐに皆に連絡するように!」
今年はただの夏休みが送れなさそうだな……と思う皆だった。
八「次回予告。ついにやってきた夏休み! そしていきなりの日曜日! 皆でプールに行くことに! 次回、和の水氷輪、四十八. プール。絶対読んでね!」
奏「というか最近後書きで八千代ちゃんよく出るよね」
八「後書き王に私はなる!」