四十六. リベンジマッチ
体の水氷心を持つものとして地獄の使者達に向かって走り出した大牙。リベンジマッチの開幕だ。
地獄の使者は矢筈を除いた天国護廷7と戦っていた。地獄の2人は近距離戦だが、天国護廷7で近距離戦は八千代のみ。不利かと思われたがそうでもなかった。新しい必殺技を手に入れた須永や、すさまじい威力を持つ奏、必殺技はないものの必死で援護する雛流、この3人の遠距離攻撃で楽な戦いになっていた。
しかし、地獄側も黒暗縄文風雷斬という最強の遠距離攻撃でなおかつ近距離攻撃である技がある。それには苦戦する一方だった。
近距離で戦う八千代にとってはかわすこともかなり困難だ。確実にかわさなければ大ダメージとなってしまう。何度もかわし続けているため息もあがり、動きがだんだん鈍くなっていた。
「これで終いにするぞ! 黒暗定紋風雷斬!」
鈍くなった体を動かすことはもう出来なかった。直撃するかと思ったその時……
「氷の舞!」
地獄の使者の後ろから冷たい風がやってきた。その風はみるみると黒暗定紋風雷斬を凍らせていく。
「水裟!」
「すまん、遅れた」
そしてその後ろから矢筈が現れる。
「雷剣!」
すぐさま斬りかかる矢筈。それにすぐに反応した地獄の使者2人は攻撃をかわした。するとその先には見覚えのない姿がある。
「やってやるぜ。負けっぱなしは趣味じゃないからな!」
「僕が言った通りにやってください! 大牙さん!」
「ああ、そのつもりだ!」
大牙は右手を強く握った。するとメリケンサックっぽい物から炎が流れ込んでくる。それが爪を包み込み、爪はたちまち炎を上げる。右手を大きく振り上げ、大牙は突っ込んでいった。
『ファイアクロウ!』
思いっきり裕史を切りつけた。裕史の肩からは大量の血が溢れ出した。その場で倒れてしまう。
残ったのは瑠璃だけだ。もちろん攻撃準備は整っている。
「行くよ! 八千代さん!」
「うん須永君!」
須永はドルフィンブーストを太陽に目掛けて発射した。それに向かって八千代と須永はジャンプした。水が太陽の光を反射してキラキラ光っている。そう、それはまるで、沖縄の海と太陽のようだった。
「新必殺……」
『エメラルドサンシャイン!』
そのブーメランを2人で精一杯叩き、目にも留まらぬ勢いで瑠璃に突っ込んでいく。もちろんドルフィンブースト以上だ。かわせるはずもなく、瑠璃はそのまま攻撃を食らってしまった。
その後、皆は顔を合わせてニッコリと笑った。
「裕史、情報は手に入れたか?」
「ああ、もちろんだ」
「ならいい。もう用はない。さっさと帰ろう」
「ああ」
地獄の使者達は意味深な言葉を発してから地獄に帰っていった……
翌朝、今日も野球部は必死で朝練をしている。水裟が回復したため、大牙も元気良く練習している。
水裟たちの登校に気づいた大牙はニッコリ笑ってピースサインをしてきた。
「なぁ矢筈」
「どうしたんですか姫?」
「私……やっぱ部活入らないわ」
「話の流れ的に入ってくださいよ!」
こうして体の水氷心を持つものはスカウト出来た。後は暗の水氷心だ!
次話、もうすぐ夏休み! 水裟たちの予定は?
八「実際ではもうすぐ終わるよね」
水「余計な事言うな」