三十. 矢筈の反抗
三十話達成だ~!
これからもvazは頑張りますので、よければこれからも読んでください!
(最終話ではありません)
では、三十話どうぞ!
次の朝、皆は地上で春休みを満喫したりしているが、水裟だけは、天国でずっと何かの練習をしていた。そんな水裟の姿を矢筈と王は不思議そうに見ていた。
「姫は何をしているんでしょうね?」
「さっきからずっと水氷扇を上に上げてるの~」
水裟はさっきからずっと水氷扇を上に上げている。
それは、昨日の夜……
水裟は、水氷の指輪についての本をずっと読んでいた。でもパラパラ読みで、何かを探しているようだった。
「あった! こういうのが見たかったんだよ!」
その内容は、氷の旋風陣。氷の風が、自分を包み込み、防御に使えるし、使い方によっては攻撃にも使える。そういった技だった。
で、それを今ずっと練習してるのだが……
「なかなか出来ないな……」
水氷の指輪の本の通りにやっているはずなのだが、なかなか出来ない。
やり方はというと、水氷の指輪を身につけている右手で水氷扇を持ち、高く上に上げたら、足元から冷たい風が発生するのというものだった。簡単そうで、楽にできると思っていたが、なかなか足元から冷たい風が発生しない。
そんな時、矢筈がやってきた。
「姫、そろそろ休憩しませんか?」
「ダメだ……もっと強くならなきゃ……」
「……そうですか」
水裟の返事を聞いて、矢筈はテラスに戻っていった。
*
一方、雛流は、生徒会室で生徒名簿を見ていた。
何故かというと、水氷心スカウトに向けて、生徒の事をよく知っておこうというためだ。これは、水氷心のためにもなるし、生徒会長としても大切なことなので、都合のいい作業なのだ。
雛流は、主に、文化クラブの音楽系を中心に見ていった。
雛流の考えでは、吹奏楽部、軽音楽部、ジャズ系の3つの部活が、絶対音感とリズム感に優れている人が多いだろう。そういう考えだ。
「……で、さっきから雛流ちゃんは何してるの?」
「へ!?」
そう声をかけたのは、副会長の沢田翔子。
「何かニヤニヤしながら生徒名簿見てるね……まさか恋?」
そう言ったのは書記の天海修也。はっきり言って2人ともドSだ。
「ね? 誰が好きなの?」
そう言って、修也が迫ってくる。
「そんなんじゃなくて……」
「じゃあ、どんなんなの!?」
どんどん迫ってくる修也。ドSにとっては、楽しい展開なんだろう。
「ほら! 生徒会長として、生徒の事は知っておかなきゃダメでしょ?」
その返事を聞いた修也は、あっさりと引き返した。……だが!
「でもさ、雛流って生徒の名前全員知ってるよね?」
今度は翔子が迫ってきた。それと同時に、修也も迫ってきた。目がこの上ないほど輝いている。何て綺麗な目をしているんだ! 出来れば違うときに見たかった!
「……帰る」
そう言って、雛流は猛ダッシュで生徒会室を出て行った。こう思いながら……
(あいつらいつか殺す)
*
八千代は家でゲームをしていた。須永も家でゲームをしていた。どうやら2人はWI-FI通信で遊んでいるようだ。
「おおー! 須永君強いね~」
「八千代さんのスモークもやるじゃないか!」
どうやら2人は大乱闘 スマッシュシスターズXをやっているようだ。
他の3人と違って、思いっきり春休みをエンジョイしていた……
*
水裟は、まだ練習をしていた。かれこれ5時間くらいやっている。その上、昨夜は、水氷の指輪の本を読んでいたため、2時間しか寝ていない。朝ごはんも食べていないのだ。
その時、また矢筈がやってきた。
「姫、そろそろ休まないと体が持ちませんよ?」
「ダメだ……強くならなきゃいけないんだから……」
「……どうしてそんなに強さにこだわるんですか?」
「私が弱いせいで……矢筈や八千代、須永が大怪我をしてしまったんだ。海梨姫だって、私があんな行動をしたせいで死んじゃったんだろ? それでも海梨姫は、私を姫と認めてくれた。だから、姫として強くならなきゃいけないんだ……」
「……姫は必ずしも強くなきゃダメですか?」
「当たり前だろ! 火裟姫、海梨姫、誰もが強かった。だから私ももっと強くならなきゃいけないんだよ!」
「それは間違いです!」
「間違いなんかじゃない!」
「姫の本当の姿は……」
「矢筈だって、本当は私が邪魔だろ!? お前のためでもあるんだよ!」
その時、矢筈が思いっきり水裟のほっぺを叩いた。その反動で、水裟は後ろに倒れてしまった。
矢筈は……唇をかみ締めながら、テラスに戻っていった……
おお……急展開……
次話も頑張ります!