二十六. 光に打ち勝つ闇
展開がクソ早くなってしまいました。
シャイニングブーメランは、地獄側に向かって一直線に飛んでいった。地獄の者たちは目が眩み、動けない状況にあった。冬菜でさえも目が眩んでいる。
「あの技……出せるか?冬菜」
「まかせてください」
そう言うと、冬菜が一歩前に出た。
「ダークアイ!」
ダークアイという技を使った冬菜は、目の色が綺麗な青色から黒色に変わり、シャイニングブーメランの光を全然感じずに立ち尽くしていた。そして、双剣を構える。
「黒暗定紋二刀流剣」
黒暗定紋二刀流剣で、シャイニングブーメランをあっさりと撥ね返してしまった。
あのシャイニングブーメランに全ての光を注いだ八千代に、もう光のパワーはなく、その場で呆然と立っているだけだった。
「そんな……精一杯のシャイニングブーメランが効かないなんて……」
「どんだけ強いんだよ……」
八千代と須永は動揺を隠せなかった。もう自分達にはこれ以上のパワーは出せない。
地獄側の雷紋は、蟻くらいの小さな剣を取り出し、2人が動けない隙に、水裟に技を仕掛けた。
「黒麻酔剣」
その小さな剣を、水裟に向かって投げた。水裟の肩に命中したものの、全然痛みは感じてなさそうだ。
「勝負に終止符を打とう。明莉、冬菜。やるぞ」
「了解!」
「了解です……」
3人は、剣を構え、一緒に剣を振り下ろした。
『黒暗定紋風雷斬!』
黒い斬撃が、水裟たちを襲った。大きな爆発が起こり、矢筈たちと同様、水裟たちの倒れた姿が見えた……
*
こうして、天国護廷7は誰一人動けるものがいなくなった。よって地獄の者が勝利となった。
風定たちが頭を下げながら、地獄の王と姫に言った。
「終わりました。獄等王、地奈姫」
「ご苦労だったな。皆のもの」
そう言って、獄等王は水裟に近寄った。
「ほう……これが水氷輪か……約束通りいただ……ん?」
獄等王は、強く水氷輪を引っ張った。
「抜けない……何故だ!?」
「水氷輪は、和月水裟を選んだからじゃ」
獄等王の質問に答えたのは、天国の王、天等王だった。
「どういうことだ?天等王」
「水氷輪にも心というものがあっての。本当に認めた奴にしか見せない現象じゃな」
王はスクっと立ち上がり、地獄護廷7の方に戻った。
「……ということは、どんなことがあっても抜けないと?」
「そういうことじゃ。諦めたらどうじゃ?」
そう聞くと、獄等王は高らかに笑い出した。
「天国はおもしろいものを発明したな。だが、陽月火裟にも起こったであろう現象なら……死んだら水氷輪は外れるじゃろう」
「まさか……!?」
「今から、天国の現姫、和月水裟を殺して、水氷輪をわしの物にする!」
それが地獄側の判断だった……
次話、地獄が出した決断の末……
水裟は殺されてしまうのか……!?
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