二十四. 変わらない絆
水裟たちの方です。
今回は短いです。
光の技に弱い地獄の生き物。シャイニングブーメランは光の技なので、一見優勢に見えたが、暗の黒暗心を持つ冬菜が、暗闇で光を遮るという予想外の事態になってしまった。
水裟は、それの対策を戦いながら考えていた。
考えをしない八千代と須永は、シャイニングブーメランを連発していた。
だが、あっさりと消されてしまう。
「どうすれば……」
水裟は、考えが出てこず、焦りが募るばかりだった。
その時……
「うっ!」
水裟がその場で倒れた。地獄に攻撃されたわけではない。
「水裟!」
「和月!」
八千代と須永がこっちに寄ってきた。
だが、後ろでは地獄護廷7の3人が武器を構えていた。
「来るな!2人とも!」
「もう遅いですよ……いきますよ!明莉、冬菜!」
「「了解」」
『黒暗定紋風雷斬!』
後ろから、黒い斬撃が飛んでくる。
背中を後ろに向けていて、気づくのに遅れた八千代と須永がモロに食らってしまった。
そして、2人ともその場で倒れてしまった。
「はぁ、やはりこんなものですか」
雷紋がため息をつく。後ろの2人も、面倒くさそうな表情をしている。
雷紋が水裟の前に行き、再び口を開く。
「しかし……姫はこんな時に役にたちませんね。いきなり倒れるなんて」
「くそっ……」
手を強く握ることすら出来なかった。おそらく、水氷心の影響が出たんだろう。久しぶりに激しく動いたから……視界がぼやける……貧血かな……体が動かない……
「地獄の姫と違って、天国の姫は役立たずですね」
その言葉が水裟の心に刺さった。私が足を引っ張っている。八千代と須永は強いのに……結局ここでも1りぼっちか……
「ふざけたこと言わないで……」
水裟の前方から声がした。
「水裟は大事な仲間なんだ……私の親友なんだ……役立たずなんかじゃない!」
八千代が珍しく大きな声を張り上げた。須永以外は皆びっくりした表情だ。水裟もびっくりしている。
「その通りだ八千代さん……水裟は大切な俺たちのお姫様だもんな!」
須永も立ち上がった。
水裟は、声も出さずに泣いていた。
そして、また八千代に救われた気がした。今回は須永にもだ……
「天国の者たちはバカですね」
それは否定しない。
でも……誰にもない優しさと思いやりがある!
「勝つよ、須永君」
「OK!八千代さん」
2人は武器を構えた。
「光剣!」
光が注入されたブーメランを勢いよく空に投げた。
そしてそれを、八千代が思いっきり叩く。
『シャイニングブーメラン!』
いつもより強く叩かれ、多くの光が注入されたシャイニングブーメランが地獄護廷7の3人に向かって飛んでいった……
次話、矢筈の新技炸裂!