百五. それぞれの戦いへ
「黒暗定紋風雷斬!」
戦いが切って落とされると風定がいきなり容赦なく黒暗定紋風雷斬を打ち込んできた。水裟たちは咄嗟に躱し、違う場所へと着地した。平らだった地面が一気にへこんでしまう。
それからは雛流が何弾か発砲して反撃していた。
と、開幕を告げたわけだが、突然冬菜が水裟に話しかけてきた。
「姫」
「ん? どした?」
「……リベンジマッチ、してきていいですか?」
そう聞いた冬菜の視線の先には恭賀の姿があった。
冬菜はもともと地獄の使者だった。しかし、恭賀という新たな使者によって暗の黒暗座のシートを奪われたのだった。捨てられた、という意味では少し深い傷が残っているらしい。
「行ってきなよ」
「……失礼します」
冬菜は恭賀の方へ向かって足を動かした。
☆
「雷ノ鳥群!」
矢筈が剣を地面に突き刺し、雷の力を纏った鳥たちを一斉に放出させた。群というだけあって、かなり多くの数が飛び交うので、躱すのもそれなりに困難ではある。
まず初めに相手を翻弄させ、一気に袋叩きという作戦。決して不可能ではない。
地獄側もそのまま当たるわけにはいかない。鳥たちが放つ雷を躱している。
そこに、奏が一発矢を放った。
「シルバーアーチェリー!」
銀色に光る矢が地獄の音の黒暗座、由良の肩を少し貫く。由良も間一髪反応していたため、傷は浅い。
「……あなたが音の水氷座? あの時はいなかったけど、ちゃんと集まったんだ」
「氷川奏。どうぞよろしく」
「こちらこそ」
皮肉たっぷりの自己紹介を終えて、由良は腰に掛けてあった剣に手をつけ、奏に一気に斬りかかる。それを奏は山修行で鍛えられた瞬発力で躱す。そこから矢に指を引っ掛けて反撃――しようとした時だった。
「遅い」
既に由良は奏の後ろを取っていた。初めて見る地獄の速さ。
そして強さ。
「黒暗定紋風雷斬」
大きな黒の衝撃波が奏を襲った。
☆
水裟は矢筈が雷ノ鳥群で敵を抑えている間に、戦うべき相手、地獄の地奈姫の元へと駆けていた。前回の戦いでは人数でも負けていたため、地奈姫には指一本も触れられずに終わったのだが今回は違う。足早に地獄護廷7の包囲網を抜け出し、一気に地奈姫の元へとやってきた。
「お久しぶり、命拾いの水裟姫」
「お久しぶり」
「ここまで来れただけでも十分成長が窺えるわ」
「それはどうも」
「ただ、今度は命拾いのチャンスがないだけかしら」
そんなことを言って腰に納めてあった剣をスルリと抜く。そのまま剣先を水裟の方へと向け、
「さぁ、姫の戦争を始めましょう」
宣戦布告をした。
八「八千代と!」
水「水裟の」
八&水「こいつ誰だったっけのコーナー!」
八「さぁ、いよいよ始まった地獄最終決戦! そこで、作者も思ったことがあります!」
水「地獄護廷7の名前忘れちゃった☆ てへぺろ☆(棒)」
八「そこで、おさらいをしようというコーナー!」
水「コーナーというよりは設定の書きだし――」
八「さぁ、行こうではないか!」
姫:地奈
力:風定
知:雷紋
明:明莉
笑:小匙
音:由良
体:菅鬼
暗:恭賀
八「はい、コーナー終了☆」