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七話 契約。

すいません。

来週から学校があるので投稿ペースが遅くなります。

それではお待たせしました。どうぞ。

七話 契約。



トントン。


「はい。どうぞ」

「失礼するでござる」

「失礼します」


榊は白い大きな木製の扉にサヨから教えてもらったノックをする。

中から低い、男性の物と思われる声が榊達の入室を許可する。

白い大きな木製の扉を開け、榊達は部屋の中へ入る。


〈こりゃこりゃ……真っ白でござる〉


榊は部屋の家具やら壁やら床やらが全て白で統一されていることに驚き、瞬きをする。

塵一つない、とても小奇麗で大きな部屋だ。

日光が大きな窓から燦燦と降り注ぐ部屋には比較的に手前のほうにある白い大きなピアノや、奥にある大きな長テーブルと白い大きな椅子が目立ち、他の物はタンスやクローゼットにショーケース等の白い家具が周囲の風景と同化していた。

部屋の奥には燕尾色のスーツを着た短い白髪の老紳士が機械的な動作で白いテーブルに置かれた白いカップに黒い飲み物を注いでおり、その隣には白い大きな椅子に腰かけた雪のように全身が白く、大きな白い丸渕眼鏡をかけた榊よりかは若干若そうな少女が榊達のほうを見てニコニコと微笑んでいた。

その丸渕眼鏡はまるでサングラスかと思わせるほどにレンズの白が濃く、瞳が全く見えなかった。

こうしてみると、部屋や眼鏡少女とは異なる色を持つ老紳士とサヨと榊はとても目立っていた。

まるでパレットの上の絵具みたいな感じだなとサヨはいつ来ても思う。


「おや?そこの黒い貴女は料理長の紹介にあった榊譲か?」

「はい。拙者の名は榊。以後よろしく」

「私の名はクランツ。そして、こちらのお方はスー・R・ユガ様だ」


スーと呼ばれた白い少女はぺこりと頭を下げる。

その姿を見て、榊も慌ててワンテンポ遅れながらも頭を下げる。


「あ、膝を床につけなくてもよいですよー。汚れちゃいますからねぇ」

「あ、つい癖で……ははは」


榊はこの床が畳じゃないにも関わらず膝を床につけて頭を下げた自分が恥ずかしくなった。


「そういえばー、榊さんって異世界の人なんですよねぇ?」

「よくわからないでござるが、そのようでござるな」


本当に榊は世界があーだらこーだらという難しいことはわからなかった。

本当に、これ以上いろんな情報が一日で榊の頭に入ってきたら容量オーバーで爆発するだろう。

んー?とスーは唇と思われるところ〈白すぎて、唇の赤みがほぼないため〉に人差し指をあて、考え込む。


「ねぇ、あなたは最初鯨の中にいたんですかー?」

「そうでござる。最初は地獄かと思ったでござる」

「へぇ。それで鯨の潮吹きによって吹きとばされて、海に落ち、見習いたちに釣り上げられたわけですね。なんか漫画っぽいなぁ」

「事実でござる」

「最初は漫画っぽいと普通の人は思いますからねー。そう思うでしょ?クランツ」


スーは隣の老紳士に尋ねる。

老紳士は短く「そうですな」という返答を無表情で返す。

その言葉を聞いて「そうだよねー」と実に軽い感じに会話をするスー。

まったく、変な組み合わせだなと榊は思う。

無表情で機械的な返答と動作をする老紳士の従者クランツ。

語尾をやたらのばし、実に軽い感じで会話をする表情豊かなスー。

なんか変な違和感を榊は覚えたが、いつも通り気にしないことにする。


「でも、スーは普通の人じゃないですから信じるんですよぉ」

「普通じゃないとは?」


えへへーとスーは年相応の笑顔をうかべる。

無邪気でとても可愛らしいが、言っていることは変だ。

「普通じゃない」とはなんなのか。

この言葉に榊は興味がわいた。

自分も普通の人じゃないという感じがする榊は目の前の普通じゃないという純白の少女、スーの発言がとても気になった。


「それはですねぇ…………スーは魔法使いだからですよー」

「魔法?妖術のような物でござるか?」


榊の質問にんー?とスーは説明を考えるが、途中で放棄した。


「妖術と同じというかぁ、魔法と妖術は魔術の一部?みたいな感じかなー?」

「よくわからんでござる。というかなんかおかしい感じが……」

「わからなくていいよ。あなたみたいな人はこんな黒いことなんか気にしないほうがいいよ」


語尾をのばさない、真面目な口調でスーは答える。

榊はなんだか曖昧に答えを言われただけではなんか納得できないというどこか気に食わないような表情をしていたが、スーの真面目な口調での答えだったのでひとまずここは黙っとくことにする。

榊のむぅーとしてる横顔を見たサヨはいつの間にか口元がにやけている自分に気づき、慌てていつもの笑顔に直した。

笑顔に直した際にサヨは鋭く刺さるクランツの冷ややかな視線に気づいていたが気にしない。

いちいち気にしていたら身が持たないからだ。

余談だが従者のなかではクランツの絶対零度の視線をまともに見た人は鬱になると言わており、数人の従者はこの屋敷から去ってしまう事態が起こったことがある。


「ま、妖術は置いといてぇ……スーのようなかなりレベルが高い魔法使いはこの世界に片手の指だけで間に合っちゃうほどしかいないんですよー」

「お嬢様のようにレベルが高くない魔法使いはそこらへんにごろごろいますがね」

「クランツぅ?そんな言い方は失礼だよー。魔法使いは皆頭が良い人ばっかりだし繊細な人が多いんだよ?」

「私は事実を述べたまでです」

「そんな冷たいことばかり言ってるから従者が泣いてでていっちゃうんだよぉ?少しは気をつけなきゃ」

「ははは。そんなこともありましたね」


クランツは笑って懐かしむような顔をしているようだが、実際には機械的に笑って無感情でぼそっと言う。ほぼ無表情なので大変気味が悪い。

榊はサヨにこの二人はなんだ?という視線を投げかけたが、サヨは困惑した顔でただただ首を横に振るだけである。

スーはぷーと頬を膨らませた表情から急に何かを思い出したようなはっとした表情になると「そうそう」と話を切り出した。


「そういえばあなたはここに働きに来たんですよねぇ?戦闘関係ですかー?」

「そうでござる。拙者には武しかないでござるから」

「別に仕事を覚えればそこのサヨみたいにメイドをやってもらっても構わないんだけどなぁ。美人だし」

「断るでござる」


榊にとってあんなフリフリの物を着るのはまっぴらごめんである。


「そうー?残念だなぁ」

「そうですな」

「クランツ殿まで!?」


スーだけでなく、クランツまでもが残念がっているのはなぜだと榊は思う。

さっきから顎鬚を右手で弄り、目を細めて榊を眺めては値踏みをしているようだ。

そんなクランツを見てサヨは心底驚いたような表情をしていた。


「とにかく、めいどだけはごめんでござる」

「じゃあ、私の専属のボディーガードで」

「クランツ殿は必要ないのでは」

「冗談ですよ」


クランツが初めて笑みを表情で表わした。

その笑みはまさにクランツと正反対の好好爺の笑みそのものであった。


「じゃあ、この屋敷の戦力であるユガ邸軍隊での勤務とスーのボディーガードで」

「ぼでぃーがーどとはなんでござるか?」

「簡単に言うとぉ、スーの護衛。あ、軍隊は必要な時だけ集まるから。鍛練は個人個人で。大体いつもスーの傍にいてくれればおっけーだよ」

「主の護衛でござるか。承知したでござる」

「それと……」


スーは榊の右手をとり自身の左手を翳すと、高速で何かを呟く。

呟くこと数十秒。

榊の右手に紅い二つの剣が交差したような紋章が浮かびあがる。


「はあ、この模様はなんでござろうか?」

「それはねぇ……スーの家の紋章だよ?契約の証し。色によっていろいろと役割が違うんだけどね」

「はあ。とりあえずこれからよろしくでござるよ。主」

「うん。よろしく」


榊は新たな主に仕えることを決意する。

そのきゅっと締まった凛々しい表情を見てスーはくすっと笑う。


〈クランツさん。あんな目立つところに紅って……〉

〈随分気に入ったのだろう。まあ私はこれから榊譲がお嬢様と仲良くなってくれることを祈ろう〉


サヨとクランツの従者組はひそひそと従者同士の話を小声でする。

主と新たな契約者の今後はどうなるのかは二人にはわからない。

そんな主と新たな契約者の幸せを祈るクランツの顔はとても優しかった。



前書きに書いたとおり、投稿ペースが遅くなります。

楽しみにしているかたは申し訳ありません。

(いますかね?)


指摘、感想などの一言お待ちしております。

それでは。

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