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弐拾壱話 鬼神伝説

毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回…………お久しぶりですとか、遅れてスイマセンとか言っている気がします。

期待している読者の皆様(去ってしまったかもしれませんが……)お待たせしました。 

最新弐拾壱話、はじまります。

弐拾壱話 鬼神伝説




 草木も育たない、荒野の中で、昔、自分は誰かに質問された。 

 

「何の為に戦うのか――――――――」と。

 

 何の為に―――――金の為、名誉の為、家族の為、等々様々な理由があるが、この時、自分はこう答えた。


「生きる理由を知る為」と。


 その答えを聞いた誰かは「ふうん」と頷くと、腰に携えていた自身の得物を抜刀した。

 

 自分は、その誰かの得物の長い刀身を見て思わず身構えた。反射的な動作での構えだ。得物を下段に構えた誰かを見つめ、自分は神経を張り詰めた。

 

 「では□□よ。――――――――拙者と戦い、生きる理由を見つけてみせよ!」と、声を荒げて、その誰かは下段に構えたまま音も無く、五十メートルもの距離を一歩で詰め、自身の得物――――刀を斜め上に斬り上げるように斬りかかってきた。

 

 自分は、その誰かの動きを見抜くと、裸足の足を滑らせてシュッと刀を斬り上げた誰かの側面へと回ると、脇腹を狙って一発、手刀による突きを放つ。その突きは、綺麗に……まるで脇腹に吸い込まれるようにすうっと、その誰かの脇腹を貫いた。肘の少し手前辺りまでが、その誰かの血で紅く、染まる。

 

 その誰かは、顔を激痛で歪めながらも…………手刀で貫いた自分を見て、笑う。

 

 「□□、そなたは…………良い目をしている。流石は、拙者の□□か」

 

 その時、自分は“多分”こう言った。「自分は、もうお前の□□では無い」と。

 

 その言葉を聞いた誰かは、声高らかに笑った。

 

 「ああ、そういえばそうだな。そなたは、もう拙者の□□では無い――――――――今の拙者は――――そう。鬼神だ」


 その誰かの額から生えた雄々しい乳白色の一本角。天をも貫くと思わせるその角は、どこからどう見ても……人間の持つべきモノではない。脇腹を貫かれているのに声を荒げたりもしなく、ただ醜悪な表情で嗤う。痛みなんか忘れてしまったかのようなその表情は、正しく鬼だった。

 

 「そなたに貫かれた拙者の脇腹――――思っていた以上に痛くは無いなあっ!!」

 

 脇腹……で一旦言葉を切る誰かは、一呼吸置いた後に、一気に早口で叫ぶ。その雄々しい咆哮は、荒野の罅割れた大地に響き渡り、その亀裂を肥大化させる。

 

 咆哮した誰か……もとい、鬼神は――――――――自分の、脇腹を貫いた腕を筋肉を締めあげることによって切断する。肉や骨を押しつぶす音が自分の腕から聞こえてくると共に、凄まじい嫌悪感が自分を襲う。自分は、嫌悪感から逃れる為に鬼神から離れた。

 

 鬼神はクツクツと嗤う。

 

 「さて、片腕で拙者と戦うつもりか?」

 

 自分は考える。片腕…………利き手の右を潰された自分は、圧倒的に不利になるであろう。果たして自分は…………力の差が歴然としている、神の名を冠するモノに対してどうやって対峙したものか。

 

 「そのつもりだ。何せ、数多くの戦士を倒してきた自分の…………生きる理由を見つける為にだ」

 

 鬼神は相変わらず嗤う。

 

 「生きる理由…………か。そなたは、もう見つけたのではないかな?」

 

 え?と自分は言葉に詰まる。鬼神は狂ったように嗤い続け、自分は……ただ困惑する。


 「そなたの生きる理由…………それは、拙者に殺される為にだ」

 

 それは生きる理由にはならないのではないか、そんなモノ見つけてはいない――――――――と考え、言おうとした瞬間…………

 

 目の前の鬼神が、ゆっくりとした動作で、自分の脇を歩いて通った。一歩一歩確かめる様なその動作はとてもわざとらしかった。自分の脇を歩いて、自分の背後に回った鬼神を見ようと、自分は振り向こうとしたが――――――――出来なかった。

 

 なぜならば、視界が宙を舞っていたからだ。高いところから落ちるように、視界に映る景色がころころと変わり……頭全体に、何かにぶつかるような衝撃が来た瞬間…………色鮮やかな視界は、黒く塗りつぶされた。

 

 ブシュウ―ッと血を噴き上げる頭の無い体を見た鬼神は、自分の刀に付着した血を刀を振るうことによって落とすと、静かに納刀した。

 

 顔から笑いを消して、鬼神は荒野を彷徨う。





 広大な森に囲まれた大きな屋敷で、純白の少女が、自分の身近な従者達を捕まえて絵本を読んでいた。

 「鬼神伝説」という題名のその絵本は、数百年昔から今に至るまで存在するこの世界の鬼神のお話が描かれた絵本である。大分古い絵本なのか、随分紙が脆くなっている。

 ちなみに、この絵本に出てきた荒野は、この屋敷からずうっと東に行った島国の約半分の面積を占めている荒野であり、鬼神はいまだにそこで彷徨っている。血を求めて、強者を探して。

 「めでたしめでたしぃ」と、純白の少女―――――この屋敷の主である スー・R・ユガ は、最後まで絵本を読み聞かせるとパタンという音をたてて絵本を閉じた。

 「全然めでたくない気がするのですが…………」

 「同感でござる」

 と、そんな主に反論するように呟くのは――――この屋敷の従者の一人である サヨ とこの屋敷の実質的な将軍である 榊 の二人だ。人を斬り殺しておいてめでたしめでたしは無いだろうと、二人は思う。

 その発言に、スーは口を尖らせ「ぶー」と可愛くブーイングをした。ジト目で、二人の顔を交互に見つめる。その視線は「何が不満なのさっ!」と誰が見てもそう感じ取れる視線だった。従者と将軍は、ポリポリと頬を掻く。どう伝えたら良いか迷っているようだ。

 「いいじゃん。カッコいいじゃんこの鬼神。男らしくて」

 「…………そういう問題では無いのでござるがなあ……………………」

 この屋敷――ユガ邸の将軍であり、鬼神である榊は溜息を吐く。

 「めでたいことがあるでござるか?この鬼神はやたらめったら人をばっさばっさと斬っているようでござるが……」

 「作中で、いっぱい人助けているよぉ?道に迷った老人に親と逸れた商人の子供に野党に襲われた貴族等々、色んな人を助ける為に斬り殺しているんだと思うけど」

 「助ける為だったら殺しても良いでござるか?…………人を殺さずとも助けることは可能でござる。………………斬るとしてもせめて足や腕一本」

 「斬り落としちゃダメですよ、榊様」

 金色の長いツインテールを持つサヨは、榊を「めっ!」と叱る。戦が終わってから榊に対するサヨの扱い方が何故か子供の面倒を見る母親の様になっているのは気のせいではないか、と榊は思うが……気のせいでは無い。絶対ない。

 榊は「えー……」と軽くブーイングをするが、サヨの眼力によって抑えつけられてしまった。

 「もうおとぎ話の様なレベルの鬼神伝説ですが、お子様の教育的には多少よろしくない描写があるようですね。こんな暴力的なお話、お嬢様には合いません」

 「歳、それほど離れてないくせに。時々スーよりもお子様なところあるくせに」

 スーは嗤う。字はこれで合っている。泣きながら怒鳴りつけてきたりすぐに感情的になるところとか子供だ、とスーは思う。

 「…………それはそれ、これはこれ。お嬢様。人を斬り殺している描写を見てカッコいいなんて思ってはいけません。鬼神は戦闘狂。武を極め、その多くは血や力に溺れた異常者。人々に恵みを齎す正常な神とは違う、荒神です」

 「なんだか侮辱された気がするのは気のせいなのでござるか?」

 「榊様は例外中の例外です。悪を挫き、弱気を助ける可憐なる鬼神…………いわば英雄(ヒーロー)です」

 「だったらその絵本の中の、この世界の鬼神だって英雄(ヒーロー)だよ?ちゃんと救ってるよぉ?」

 「…………言いたいことは分かるのでござるが、サヨの口から出る言葉はどれもこれも支離滅裂な気が……」

 「うるさいうるさい!」

 スーが「ほら、子供っぽい」と嗤う。顔を真っ赤にしたサヨは、反論できずに俯く。そんなサヨの頭を榊は「よしよし」と撫でる。

 「榊様ぁ…………」

 「うん。少しサヨは黙っているでござる」

 榊は、涙で潤んだ瞳を自分に向けてくるサヨに対して言い放った。「お前じゃあ埒が明かないから少し黙ってろや」という意味を少なからず込めたその言葉はサヨを黙らせるのに十分だった。サヨは榊の胸に顔を預ける。

 「おい、なんて事をしているんだっ!」と、スーの傍で固まっていたクランツは、サヨが榊に泣きついている姿を見て叱咤した。比較的この屋敷の中では新人な榊にベテランのサヨが甘える事があってはいけないという意味を込めてクランツは言った。が……

 「そんな…………羨ましいことっ!!…………………して良いはずがない!」

 直後、クランツの腹からボゴォッという音が聴こえた。腹を押さえて、クランツはその場に蹲る。

 「……………………お祖父様。榊様に対してその変態発言は如何なものかと」

 「…………だからって、殴ることは無いだろう。シープス」

 その場に蹲ったクランツを無表情で見つめるシープス。昨日、スーの友人であるグリムリーパーによって興味本位で魔法をかけられて女に変えられてしまったという不幸な元青年従者である。接客等々の奉仕系の仕事が残念だったのと、この屋敷の中ではトップクラスの戦闘力を誇るとの理由から、スーの護衛に回されてしまった。

 ちなみに、クランツの孫である。全然似ていないが。

 シープスは、溜息を吐くと榊に向かって一礼した。

 「すみません、榊様。うちのお祖父様がおかしなことを言ってしまって………………」

 「いや、気にすることは無いでござるが…………しかし、本当に似ていないでござるなぁ」

 「……?何がですか?」

 「外見から性格の何から何まで」

 シープスは「あははは」と苦笑いする。

 「これは……もう仕方が無いことです。僕のお祖母様の方が、お祖父様よりも血が濃かったのでしょう。それに、母方のお祖父様とお祖母様の血も混ざっていますから、薄まったのでしょう」

 「そうか。薄まってくれて良かったでござる。度を超えた変態は害虫以下でござるからなあ」

 「…………虫ケラ以下……か」

 クランツはゴフッと咳込むと、その場に崩れ落ちた。近くに居たスーは、合掌する。

 「とりあえず…………」と、榊は息を吸う。

 「主。カッコいいというのは分かるが、殺すことはいけない事でござる。拙者、職業柄今まで数多の人を斬り殺してきたが、その度に罪悪感を覚えた。…………悪いことをしている人をやっつけるのは良いが、殺すことはいけない。罪を償わなければ、な」

 「……はーい」

 「うん。素直で宜しい」

 と、榊はスーの頭を撫でた。スーは少々捻くれているが物分かりが良い子供だ。間違った事を教えてはならない。

 「そういえば…………」

 「ん?どうしたの、榊」

 榊は、頬をポリポリと掻きながらスーに自分が疑問に思っていた事を尋ねる。

 「なんで鬼神伝説なんていう絵本を拙者達に読み聞かせたのでござるか?」

 朝の早い時間帯からいつもの護衛の面々を集めてわざわざ絵本を読み聞かせていたのだ。何か理由はあるのだろう、と榊は思っていた。そうでなければ暇だったとかただの酔狂だったとか…………榊の頭ではそれくらいの事しか考えられない。

 「知りたい?」と、スーは意地の悪い笑みを浮かべ逆に尋ねる。榊やシープスは頷いた。

 「しょーがないなあ!」

 スーは絵本を机に置くと、両手を大げさに広げて「実は!」と声を張り上げて皆の注目を集めた。視線が自分に刺さる中、スーは息を吸う。

 「鬼神の討伐命令が出たから」

 『は?』

 一同、声を揃えて『は?』と言った。スーの顔から意地の悪い笑みが消え、人形の様な無表情になる。

 「聴こえなかったの?……鬼神の討伐命令が出たからだよ」

 討伐命令?と、スー以外の者は頭の中で思い浮かべた。鬼神の討伐命令とは何だ、と。

 ふと、シープスが手を上げた。スーは喋る様に促す。

 「はい。今日の朝、新聞を見た仲間から鬼神の討伐命令が出たとの話を聞かされました。この世界各地の強者に向かって、東方の「黒雲の荒野」で彷徨っている鬼神を討伐しろ、と」

 「うん。でね、この屋敷にもその命令が来たんだよぉ…………榊とグリムちゃんに向けて」

 「拙者に?」

 榊は頭に?を浮かべる。なんで自分に来ているのだと、思ったからだ。

 「うん。この世界で一番大きな権力を持っているアズバ帝国の国王から直々の命令……いや、もうお願いかな?」

 「もう?」

 スーは溜息を吐く。もうどうしようもない…………という若干諦めの気持ちが入った様な……そんな溜息だった。

 「実はね……もう、この世界に居る強者の中で鬼神に太刀打ちが出来るのって榊とグリムちゃんくらいしかいないの。他の強者は殆ど殺されちゃった」

 「殆ど…………とは、共和国の剣聖と大傭兵団「焔」の団長と他の大賢者と神以外……ですか?」

 「うん。剣聖と団長はただいま二ヶ月ほど睡眠中で使えなくて、私以外の大賢者は研究に没頭中。グリムちゃん以外の神様は「地表人だけで何とか出来るだろう」とタカを括ってて動かない」

 シープスは驚愕した。この世界には、他にも強者がいっぱい居たのに、その全てが殺されたという事実に。

 榊は冷静な目で、サヨの頭を撫で続けながら……スーに問う。

 「肝心のぐりむは、どこに居るのでござるか?」

 「それが…………中の良い数人の死神達と一緒に他の世界を潰しに、さっき出てっちゃったからダメ。二日は戻らないよ」

 榊は「ふむ……」と呟く。

 「主には、命令とやらは来なかったのでござるか?」

 「来なかった」

 (榊嬢)

 スーが悲しそうな表情で首を横に振る中、意識を失って倒れていたクランツがすっと立ち上がり、榊に近寄って耳打ちをした。

 (お嬢様は、比較的戦闘向けの魔法使いでは無い。大抵の討伐ならこなせるが…………今回ばかりは相手が鬼神だ。足止めは出来ても、討伐は出来ない。それに、万が一お嬢様が殺されたらこの世界はピンチに陥る)  

 (ピンチ?) 

 (そうだ。お嬢様は、この世界で「白」の名を冠する魔法使いであり、大賢者の一人だ。「白」とは、回復等の「癒し」の最高峰の名だ。医療の最先端を行くお嬢様が殺されたら、そこで医療がストップすると言っても過言ではない程に)

 (大賢者であるのに問題は無いのか?)

 (ここで、話をするモノでは無い。現に、こうやった耳打ちでもお嬢様には聴こえているであろう。……この世界に関係すること…………とでも言っておこうか)

 「あ、クランツ。余計なことまで話さなかったぁ。ちょっと意外」

 「意外で結構です」

 クランツは、スーの傍らに立つと、石像の様に固まった。

 スーは、そんなクランツを見て溜息を吐くと、榊の瞳を見つめる。

 「で、榊は受けてくれるの?そのお願い」

 「ああ。良いでござるよ」

 榊はニッコリと微笑み、二つ返事で了承した。このことに、スーは驚愕する。

 「え!?…………受けるの?そのお願い」

 「ああ。他に、太刀打ち出来る者がいないのでござろう?…………それなら、拙者が行く。丁度最近暇だったから」

 暇…………そんな理由で戦うのか……とスーは震えた。確かに、他に太刀打ち出来る者が居ないからなのであろうが…………いくらなんでも簡単に引き受ける話ではないだろう、とスーは感じた。

 「い、いや……でも」とスーは他の案を言った。

 「共和国の剣聖や「焔」の団長を叩き起こすという事も出来るよ?…………というかそのほうが安全だよ。……………………まあ、両方とも寝起き最悪なんだけど、出来ないこと無いし……」

 「主は、拙者の腕が信用ならないか?」

 「え……」とスーは詰まった。榊のその発言に。

 「いやね、信用できないっていうわけじゃあ――――――」

 「ならなぜ止めるのでござるか?」

 スーの言葉は、榊の静かな問いに消された。

 「だって…………この世界の鬼神は、伝説になる程の力を持ってるんだよ?今までどれだけの人が討伐しに行って返り討ちにされたのか分かったもんじゃないんだよ?そんな危険な相手の所に自分の大好きな従者を送るなんて……そんなことできないよ」

 「だったら、最初からその命令を断っておけばいいのではないか。主以外の大賢者みたいに。剣聖や団長みたいに適当に理由つけても構わない。…………なんで断らなかったのでござるか?」

 「榊嬢……」

 「主は、拙者やぐりむ……と言ってもぐりむは居ないが…………その鬼神に勝てると思ってその命令……いや、お願を受けたのでござろう?でなければ最初から受けないだろう」

 「…………榊様。仰りたいことはよく分かりますが……」

 「なら黙ってろ」

 榊は、低い声で胸元のサヨを黙らせる。分かるなら黙っとけ。これが榊の考え方である。

 スーは、静かに口を開いた。

 「…………もしかしたら、死んじゃうかもしれないよ?」

 「………………戦場で死ぬ事……いわば本望でござるな。が……」

 榊はスーの頭を撫でる。 

 「従者を殺したくなければ、回復なり補助なり……サポートでもしてみたら如何か?」

 榊は意地の悪い笑みを浮かべ、そう言う。殺したくなければ精一杯護れとこの従者は言っている。普通、従者は主を護る側なのに…………その関係を逆転させようとしているこの従者の考えを聞いて、スーは溜息を吐いた。

「……………………一緒に戦うってことね。その場合、榊はスーを護ってよぉ?」

 「御意。……補償はしないでござる。絵本の伝説を聞いている中で、一瞬で距離を詰める歩法を使用することから……主は防壁の魔法で壁でもつくったり自身に不可視の魔法でもかけておくでござる」

 「いや、鬼神にはそんな子供騙しじゃあ通用しないよぉ。それに鬼神は榊と同じ武者。壁なんて在って無いようなモノだよぉ?」

 「ほう。同業者か。なら、壁は無意味か…………しかし、主の使う不可視の魔法は子供騙しでは無いでござろう?……主は大賢者の一人。神をも騙す不可視の魔法をかけることぐらい可能……いや、出来る。」

 「言ってくれるじゃん。従者の癖に、主にそこまで言うんだねぇ…………やるよ。必ず」

 「そうと決まれば、早速討伐に向かうでござる」

 「その前に連絡ね」

 何だか訳の分からないうちに、二人の間では決着がついたようだ。クランツは目を閉じて溜息を吐き、シープスはおろおろし、サヨは榊の胸から離れて机の上に在る白い電話の受話器を取って、帝国にこれから討伐しに行くという連絡をいれた。

 この時の二人の表情はとても明るかった。

 この数時間後に起こる戦いを、従者とその主は共に乗り越えるべく算段を立てる。

 


















遅くなってすいません。

学業や生徒会が忙しいとかの言い訳は無しに、謝らせていただきます。

夏休みにはいるので、比較的数日更新が容易になってきましたのでどんどん書いていきたいと思います。

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