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九話 外出。

すいません。かなり遅くなりました。

申し訳ありません。

九話 外出。



ユガ邸から少し離れた森林。

緑豊かでさまざまな動物が生息しているためか、学者や写真家等の人々が良く訪れる。

通称「ラファエルの森」

とてもネーミングセンスが無いと思われるような名前だが、実際にこの森を訪れて癒された者は数えきれないほどいる。

少し前から鬱病の治療のために適した場所だと医者からも絶賛されている。

癒しの天使の名前をつけられたこの森は人々から愛されていた。

しかし、いつも平穏なこの森にちょっとした問題が起きた。


この森の中を走る馬車の中から聞こえてくる悲鳴だ。

女性の物と思われる高いソプラノボイスがキンキンと森の中に響く。

木々の枝にとまり、囀っていた色鮮やかな小鳥たちはその音にビビり一気に空に飛び立ち、その他の生物は巣に潜ったり馬車のほうを見て威嚇なんかしたりしている。

しかし、そのとんでもない悲鳴も数分もしないうちに止んだ。

何事かとこの森の中を多くの食料品をもってユガ邸へと向かうゴリラ顔のユガ邸料理長ゴンザは馬車の前に立ちふさがった。


「そこの馬車。ちょっと良いか?」

「ええ、何でしょうか?」


馬を走らせていた定年間際の白髪まじりの温和そうなおじさんはゴリラ顔の巨漢にビビることなくその場に馬車を止める。


「さっきものすごい悲鳴が聞こえてきたんだがこの馬車からか?」

「ええ、その通りです。この馬車に乗っている三人のお嬢さんのうちの一人のものですね」


ほお……とゴンザは馬車に睨みつけるような視線をぶつける。


「ここはラファエルの森だということをわかっているのかね?そのお譲さんは」

「まあわかっておられるとは思いますけど……」

「よし、ちょっくら常識が欠如しているお譲さんに説教してやる」


とゴンザは言うと馬車の側面に回り込み、馬車についている窓のカーテンを開けた。


「あれー、料理長のゴリラがこんなとこでなにしてるのぉ?」

「ゴリラじゃありません。ゴンザです」

「いいじゃんゴリラでー」

「……よくありません。スーお嬢様」


カーテンを開けて最初に目にとびこんできたのはゴンザの務める食堂がある屋敷「ユガ邸」の主、スーだった。

白く輝く「灯り要らず」の少女の顔が目の前に現れてゴンザは眩しさのあまり目を細めた。

スーはなぜかにやにやしながら自分の少々ずれた眼鏡を左の人差し指でくいっと定位置にもどす。

定位置にもどす時に一瞬見えた灰色の瞳も白目と灰色の境目がわからないほどに白かった。


「お嬢様に聞きたいことがございます。この馬車から聞こえてきたと思われる悲鳴は何でしょうか?」


ゴンザは咳払いするとちょっと早口でスーに質問する。

スーはさっきよりもにやにやしながら自分の右隣りを白く細い指で指す。

ゴンザがスーの右隣りの人物に目を向けると、そこには全体が赤く、ふりふりのスカートが特徴的な「ユガ邸女従者服」を着こなしたオレンジ色の綺麗なストレートヘアーのなぜか「啜り泣いている」少女がいた。


「まったく……うちの従者ですか。ちょっくら説教しないといけないようですね」


ゴンザが鼻からフンと蒸気のような白い鼻息が勢いよく噴出する。

その目には火がともっており、説教をする気満々のゴンザの心がよく見えている。


「別にねぇ……そんなことしなくても良いよ。スー専属の人だし、それに少し驚いちゃっただけだからぁ」

「そういうわけにはまいりません。従者のなんたるかをそこの従者に説いてさしあげます。おい!そこの」


ゴンザの野太い声がスーの横の従者を指名する。

その従者は体をびくっと震わせると、ゴンザのほうに涙で汚れた顔をむける。

色白の顔に大きな若干つりがちな黄緑色の瞳、他の整った各パーツ。

それは絶世の美少女とも言える顔立ちをした少女であった。

今はぐしゃぐしゃになっていてその魅力が落ちているが。

一生懸命抱きしめている鞘におさまった刀はとても存在感がある。

刀よりも従者のある部分がかなり存在感があるせいか普段は目立たないが。

今も圧迫されていて苦しそうに見えるのは多分気のせいだと思いたい。

この姿を見てゴンザは「またえらく可愛いやつだなおい」と従者に同情した。

これなら悲鳴をあげても仕方がないなとゴンザは思う。

何せ、この従者は一週間前まで男だったからである。


「おい榊。何やってんだ?」

「料理長殿……拙者…………気がついたらこんな恰好をさせられていて……うう」


榊はこの屋敷を訪れて一週間。

言葉から何から何まで女に近づいているが「ござる」と「拙者」がぬけないのは武者だからか。

女になって日が浅いからか、まだこんな恰好にも慣れていない。

そもそも女の体に慣れていない。

屋敷に来た初日なんて目隠ししないとまともに風呂にも入れなかった。

それから日が経つにつれてマシにはなっていったけどそろそろ自分の体を見て鼻血を噴出させて風呂場を汚すのはやめてほしいとよくサヨに言われている。


「スーお嬢様の仕業ですか?」

「そうだよぉ。なかなか着てくれないからつい…………」

「酷いでござる。主」

「まあ、ドンマイだな。榊、お前も少しは慣れろ。な?」


榊は「えぐ……えぐ……」と子供みたいに泣いているが、そのうち泣きやんだ。

榊の前にいるサヨからちり紙を受け取ると盛大にチーンと鼻をかむ。

次にサヨからもらったハンカチで涙を拭うと榊は丁寧に畳んでサヨに返す。


「ごめんなさい料理長。私……まだ全然慣れていないものですから……つい」

「いや、それ以上は言わなくていい!じゃあな!それではお嬢様。失礼します」

「ご飯楽しみにしているよぉー!」


ゴンザはその場から全速力で立ち去った。

顔を真っ赤に染めながら。


(それにしても、女口調で話すとこれほどまでに威力があるとは……考えものでござるな)

「榊……なんかぁ同性のスーから見ても襲いたくなっちゃうような可愛さを振りまくのはどうかと思うよ?あ、たまには良いんだよ?しょっちゅうやられるとぉ……榊の身の保証ができないからねー?ほどほどにしてね?」

「心得たでござる」

(なんか羨ましいですね……)

「サヨ。なんか変なこと考えてないか?」

「いえ!別に何も……アハハ」


グサリとサヨの心に突き刺さるクランツの鋭い言葉と冷ややかな視線。

適当に返すサヨの額からは冷や汗がタラタラと流れていることはいつものことなので一同スルー。

再び馬車を走らせたおじさんは後ろから聞こえてくる楽しげ(?)な会話を聞き、微笑む。


目的地の町までの道のりは長い。










ところ変わってユガ邸内食堂。


「あぁ……あれは反則だろ」


とても元男だと思えないあのとても可愛らしい謝り方をした榊。

あの顔もやばければある一部分もやばい。

なんか動く度に効果音が聞こえてきそうでやばい。


「ああ……セーラ。お父さんは人としての道を踏み外しそうで怖いよ」


写真に写る我が子の写真に語りかけるゴンザ。

傍から見たら病気に見えそうなくらい必死に語りかけている。

その様子を「不幸にも」目撃したゴルドは回れ右をして食堂から出て行った。







九話 投稿しました。


なんかいつもよりももしかしたら短いかもしれません。

指摘、感想等一言お待ちしております。


それでは。


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