3.授業
……あった。
いきなり授業だった。
入学式のあとって、そのまま帰るものだと思っていたが、ここは違うらしい。
入学初日からしっかりと授業があった。
周りの奴らに合わせて教室に入っていく。
最初は歴史の授業らしいな。
まあ無難なところか。
……さて。
この授業を受けて分かったことがある。
この学園での授業についてだ。
ここの授業は……。
良く言えば、非常にレベルが高い。
だが……。
悪く言えば、やたらとムズイ。
というわけで、内容はほとんどわからなかった。
いや、まあ……俺は、授業を受けにここに来たわけじゃないから……。
護衛任務でここに来たから……。
だから授業がわからなくても問題ない……と思う。
ちなみに、護衛対象のエレノアは、ちゃんと授業を理解しているようだ。
先生の質問にも、完璧に答えていた。
まあ、そんな感じでなんとか最初の授業を乗り切った。
そして次の授業。
こっちはちょっと楽しみだった。
魔法の授業だ。
この世界では、魔法は珍しいものじゃない。
基本は簡単だ。
体の中の魔力を使い、詠唱をして発動する。
まあ、細かい仕組みとかはあるらしいが……正直よく知らない。
難しい話は専門家にでも任せればいいんだ。
大事なのは属性だ。
魔法には属性がある。
火・水・風・土・光・闇。
この六つ。
普通の人は、だいたい二つか三つ。
たまに五つとか使える化け物もいるけどな。
ちなみに俺は。
闇、光、風。
この三つが使える。
まあ、そこそこってところだな。
この学園では、魔法の授業も属性ごとに分かれている。
火の授業。
水の授業。
みたいな感じだ。
だから、生徒は自分が使える属性の授業を取ることになる。
……ここで一つ、俺は気づいたことがある。
もしかしてだが。
俺が護衛に選ばれた理由。
それは、エレノアと、魔法属性が同じだからなんじゃないか?
護衛なら、同じ授業を取らないといけない。
でも魔法の属性が三つ、全部一致するなんてことは滅多にない。
もし一致すれば、護衛としてかなり都合がいい。
……まあ、あくまで仮説だけどな。
……お、次の授業の教室に着いたようだな。
次は、闇魔法の授業だ。
扉を開ける。
中は少し暗い。
広い教室で、机がたくさん並んでいる。
そして前には先生が立っていた。
……あ。
コイツ。
入学式のときに見た、あの怪しいやつだ。
フード付きのマントで、体も顔もほとんど見えない。
どう見ても不審者。
いや、教師なんだけど。
「これから闇属性魔法の授業を行う」
声からすると男らしい。
淡々とした声だった。
そして授業が始まる。
まずは先生ーー名前はネロというらしいーーが黒板に魔法式を書きながら、説明をする。
今日は闇魔法の基本。"影"についてやるらしい。
影を実体化させて、形を変えたりして攻撃する感じのやつだな。
こういうのは俺の得意分野だ。
たしか、前に『俺は闇属性の魔法に特別な才能がある』って言ってたよな?
先生の説明が終わった後、ペアでの実習が始まった。
教室を見渡してみると……。
あ、いた。
エレノアだ。
やっぱりこの授業を取ってる。
ということは。
闇魔法も使えるってことか。
となると、俺の仮説、当たってる可能性が高いな。
光。闇。火。
全部同じかもしれない。
あ、そういえば。
俺が今までこの授業中エレノアから目を離してたことはリディアさんには絶対に言うなよ?
あの人にバレたら殺されちゃう。
結局、俺は近くにいた茶髪の青年と組むことになった。
ルーク・アストラというらしい。
ルークは気さくな良い奴だった。
「俺、三男なのに学園に行かされてさ……本当やめてほしい」
「わかる。俺も次男だけど親父に無理矢理行かされた」
ルークも本当は学園には行きたくないみたいだな。
この学園に入るのは主に長男長女だけだ。
だが、一部の力ある家は、迷惑なことに下の子も入学させるようだ。
ちなみに彼はアストラ侯爵家の三男。
かなりいいとこの出身だ。
「前の歴史の授業どうだった?全然わかんないよな?」
「それな。俺、半分寝てたわ」
ルークとは話も合うし、仲良くなれそうだ。
……あ、ちなみに俺たちはただ雑談してたわけじゃないぞ?
ちゃんと実習もしていた。
「黒影」
そう詠唱すると、手のひらに黒い塊が生成される。
影を実体化させる魔法だ。
本当は、無詠唱でもできるんだけどね。
だが、それをやると目立つ。
だからちゃんと詠唱しておいた。
護衛は目立たないのが一番だからな。
一方、ルークもなかなか上手かった。
周りの人たちは結構苦労していたし、こいつはかなりできる方だな。
後半になると、俺達は影を実体化した玉を作り、
ポン。
ポン。
と、打ち合っていた。
……ほぼ遊んでるな。
でもネロ先生は特に何も言わなかった。
まあいいだろ。
実習だし。
そんな感じで授業は終わった。
教室を出ようとして、ふと気づく。
……あれ?
なんか忘れてる気がするな。
そのとき、視線を感じた。
見ると、エレノアがこっちを見ていた。
しかも呆れた目で。
まるで。
「あなた、本当にやる気あるのですか?」
と言いたげな顔だ。
……あ。
そうだ。
俺、護衛だった。
……頼む。
頼むからリディアさんには言わないでくれ!!
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