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1.護衛任務



 クソがぁぁぁぁ!!!!


 親父(アイツ)ハメやがったなぁぁぁぁ!!!!!




 失礼。見苦しいところを見せてしまった。


 だがな。


 俺がこうなっているのには理由があるんだ。


 それを知れば納得してくれるはず………多分ね。






 まずは俺の話からだ。


 俺はリゲル・ノワール。とある伯爵家の次男だ。


 表向きは、まあ普通の貴族ってやつだな。

 領地があって、屋敷があって、社交とかしてる。


 だがしかし、うちの家系は代々、裏で"あること"をやっている。



 それが何なのかというと………暗殺だ。



 嘘だと思うだろ?


 俺も最初はそうだった。



 だが事実、これはちゃんと家の仕事だ。

 親父も兄貴もやってるし、俺も小さいころから訓練を受けてきた。


 剣、体術、毒、隠密。 まあ色々やった。


 それに、何回か仕事をしたこともある。


 あっ、ちなみに自慢ではないが、俺は歴代でも屈指の逸材と言われてるんだぜ?

 すごいだろ?




 まあとにかく、俺はそういう家に生まれた。




 さて、事の起こりは、親父が俺を呼び出したことだった。


 場所は親父の書斎。あの人がそこに俺を呼ぶときは、大体"仕事"の話だ。



 今度は誰を殺すんだ?



 って、最初は思ってた。


 でも、全然違う話だった。



 親父は、俺の顔を見るなりこう言ったんだ。


「リゲル。お前、学園に行け」


 ……は?どういうこと?


「学園だ。貴族の学園」

「いやいやいや」


 何を言っているのかさっぱりわからない。


「俺が? 学園? 何しに?」

「護衛だ」


 護衛。


 その言葉で、なんとなく話が見えてきた。


 聞けば、とある公爵家の令嬢を守る仕事らしい。


 その令嬢と同じ学園に入り、近くで見守る。

 表向きは同級生。

 裏では護衛。


 そんな感じの任務だ。


 ちなみにその令嬢、かなりの大物だという。

 ルミエール公爵家という、この国でもトップクラスの力を持つ家の長女なんだとか。





 なるほど……百歩譲って、その令嬢に護衛が必要なのはいいとしよう。

 貴族の世界って、結構物騒だからな……。



 でも一つ納得できないのは、なぜ俺がそれをやらなきゃいけないのかだ。


 それについて親父に色々聞いてみたんだが、全然答えてくれない。


 でもまあ、なんとなく予想はつく。




 結論から言うと、多分うちが暗殺者の家系だからだろう。


 それに、うちはあそこの公爵家と関係があるという噂も聞いたことがある。


 まあ、よくわからないけど、色々事情があるんだろう。


 親父は、なぜ俺が護衛として選ばれたのかは教えてくれなかったが、かわりにこの仕事は楽だということをやたらと強調していた。


「リゲルはただ、ちょっと見張っていればいいんだ」



 親父は熱弁する。


 見張るのは学園にいる間だけでいい。命がけの暗殺と比べれば楽だろう?


 と、いう感じに。


 熱弁すればするほど怪しさが増していく。


 しまいには、凄みをきかせた目でこちらを見つめてくる。



 あ、これ断ったら面倒なことになるな……



 というわけで、俺は考えるのをやめた。



 この後、はるかに面倒なことが待ち受けているとも知らずに……。







 数日後。


 俺が知らない間に着々と準備が進んでいたらしい。


 ルミエール公爵家に呼ばれ、令嬢と顔合わせすることになった。



 通された部屋で待っていると、扉が開いた。


 入ってきたのは二人。


 一人は金髪の少女。


 長い金の髪に青い目。

 姿勢も綺麗で、いかにも「お嬢様」って感じだ。


「はじめまして。エレノア・ルミエールです」


 静かで落ち着いた声だった。

 いかにも“公爵令嬢”という感じの気品がある。


 ……おお。


 ちゃんとしてる。


 いや、これが普通なのかもしれないけどな。


 世の中には「私は偉いのよ?」みたいな態度のやつもいるから。


「リゲル・ノワールです」


 一応こちらも挨拶したが、このご令嬢ほど綺麗なお辞儀はできない。


 なんというか、育ちの差を見せつけられている感じだな……。



 そしてもう一人。


 エレノアの後ろに立っている女性。

 黒髪ロングで背が高い。

 服装からおそらくメイドだと思われる。


 だが、なんというか、ただものじゃない雰囲気がある。


 多分、戦闘もできる人なんだろうな。

 家ではこの人が護衛も兼ねているのかもしれない。






 やがて顔合わせが終わり、エレノアが退出した後。



 そのメイドが俺を呼び止めた。


 どうやら護衛任務についての説明があるらしい。


「私はリディア。エレノア様のメイドです」


 落ち着いた声で自己紹介したリディアが、淡々と説明を始める。


「まず、リゲル様にはエレノア様と同じ学園に入学していただきます」


 ふむふむ。




 その後の説明も、特に目新しいものはなかった。


 ……最後のを除いてな。



「そして、リゲル様には護衛として十分な実力を身につけていただく必要があります」


 ……ん?実力?


 困惑する俺をよそに、リディアはさらりと恐ろしいことを言った。



「そのため、入学までの一ヶ月、訓練を行います」






 ……は?


 いやちょっとまて!!それは聞いてない!!




 抗議するのも虚しく、俺は無理矢理、訓練をさせられることになった。




 おい!!楽な仕事じゃなかったのか!?




 そんな『聞いて極楽 見て地獄』のお手本のようなことになったので、俺は冒頭のように心の中で絶叫していたのである。



 納得してくれたかな?



 さて、その後の一ヶ月は思い出したくもない。


 訓練の内容は色々あるが、戦闘訓練は比較的楽だった。


 主にリディアとの模擬戦をすることになるのだが、あの人結構強い。


 体術ではほぼ俺と互角だ。


「なんで『最強の暗殺者』がメイドと体術互角なんだよ!?」


 って思っただろ?



 が、一つ言わせてほしい。


 俺の本領発揮は体術ではない。



 実は、俺は闇属性の魔法に特別な才能があるんだ。

 それを使えば、リディアなど敵じゃない。


 まあ、詳しいことは後でわかると思うから、それまで待ってくれ。



 戦闘面は問題ない一方で、学力と礼儀作法に関しては本当にキツかった。


 貴族の学園でやっていけるようにと勉強とマナー講座をやらされたんだが、これがかなり厳しい。


 俺は今まで適当に済ませてきたんだ。


 だが、ここではそれは許されない。


 何度も厳しい指導を受けた。





 そんな感じで地獄の一ヶ月が過ぎ、ついに入学式の日となった。




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